目先の上値目安は112.27円処か
前回(2月18日)更新のコラム「米ドル/円の日足に「三役好転」の強気シグナル点灯!」で、筆者は米ドル/円の月足チャート上に描画可能ないくつかのテクニカル指標に注目しました。
一目均衡表の月足「雲」上限との位置関係を確認しながら、さらに「31ヶ月線が上向きで推移していることは見逃せないポイント」、「仮に同線(31ヶ月線)を上抜けてきた場合には、次に200日線や89日線、そしていずれは62ヶ月線が意識されやすくなる」などと述べました。
そして案の定、2月下旬から同月末にかけての米ドル/円は何度か111円台に乗せる動きを見せた後、28日には20日線と89日線をクリアに上抜ける展開となりました。足下では現在の62ヶ月線が位置する水準=111.90円処を試す展開となっています。
つまり、直近2週間のなかで、米ドル/円相場はいくつかのテクニカル指標が発していたシグナルの示す意味に忠実な値動きを見せ、テクニカル分析の結果が示していたいくつかの上値の目安を1つひとつクリアしてきたということになります。
それらを理解したうえで、目先の米ドル/円の上値目安を考えると、それは前回のコラム「米ドル/円の日足に「三役好転」の強気シグナル点灯!」でも述べたとおり、「昨年10月4日高値から年初の安値までの下げに対する76.4%戻し(=112.27円処)」ということになるでしょう。
ちなみに、おおよそ112.20~30円あたりの水準というのは、昨年10月下旬から12月半ば頃まで形成していたトリプルトップのネックラインが存在していた1つの節目でもあります。
三角保ち合いの上辺を上抜ける可能性
少し振り返ると、年初に生じたフラッシュ・クラッシュの翌日=1月4日以降の米ドル/円は着実に「上昇チャネル」を形成し続けています。今後もしばらくチャネル内での価格推移が続くならば、いずれは「昨年10月以降に何度もトライする場面があった114円処」を意識した展開となる可能性も十分にあり得ると思われます。
なお、114円処を試す過程では、2015年6月以降に形成してきた三角保ち合い(=トライアングル)の上辺を上抜ける可能性も浮上してくるわけで、その点は非常に興味深いところと言えるでしょう。
筆者は、以前から「米ドル/円がトライアングルを上放れする可能性」を想定し、2015年6月高値=125.85円からの調整局面は今年の年初につけた104.56円で終了した可能性が高いと見てきました。
2015年6月高値からの調整を「B波」とすれば、すでに「C波」がスタートしていると解釈することもできると考られます。そうであるとすれば今後の上値余地を想定する際においては、これまで以上に目線を上げておく必要もあるのではないかと考えています。
米中貿易協議の進展期待を背景にドル強気の流れ
現在、足下で生じているドル強気の流れの背景には、米中貿易協議の進展期待というものもありますが、何より米国内の景気に一段の拡大余地があると考えられることが大きいと言えるでしょう。
既知のとおり、先週28日に発表された昨年10~12月期の米GDP成長率・速報値は前期比年率2.6%と予想の2.2%を上回ることとなりました。思えば、昨年12月は米景気の先行き悪化懸念が過度に強まって、急激な株価下落が生じたことから、年明けに米連邦準備理事会(FRB)が政策方針の大転換を打ち出しました。
実のところ足下の景気はそれほど悪くないのに、米金融政策は正常化への足取りに急ブレーキをかけてしまいました。
その後どのようなことが起こるのでしょうか。それは1月21日公開のコラム「米・日株価の戻り鮮明で基本ドル高基調が続く」でも述べたとおり、やむなく中銀が当面の政策方針をハト派寄りに戻そうとすると「そこから再び景気が走り始め、その後はしばらく中銀の政策が景気の『後追い』を続ける」。その結果、米国ではバブルの炎が一旦メラメラと燃え盛ることになると個人的には見ています。