氷見野良三さんの著された「易経入門」なる本を友人に勧められ読んでいるのですが、これがべらぼうに興味深い。易なるものは胡散臭い、もしくは奇怪なる文様、と云う印象以外は何も知らなかったのですが、自らの無教養にただただ恥じるのみ。
四書五経のひとつである易経は、占いの教科書のようでもありますが、6人からなるコミュニティの在り方と6人各自の役回り・関係など、要は社会のパターンを分析・説明するものとのことで、この本に於いてはソポクレスのギリシア悲劇を易経のどの卦(か)に当たるかを分析して、その卦について易は何と云っているかと実際の作品を比べています。驚くほどに呼応する部分が多く、古今東西を問わず人間社会の基本的な要素とパターンは同じなのではないかと思われる次第。
あまりにも面白いので、即席でいくつか易経の本を買い、それらも並行して読んでいます。加えて自らの状況を易に置き換えて考えてみるとか。思想や哲学は深入り厳禁と云うのが家訓(?)であるので、そこそこに抑えようとは思いますが、久し振りに面白いものを読みました。活字の世界は危険ですが楽しいですね。