なんと始まってから400年目に当たるという、将棋の名人戦が始まりました。徳川家康が1612年に初代名人を認めたのが始まりと云いますから、なんとも長い間伝統が引き継がれてきたものだと思います。チェスは黒と白と駒が分かれていますが、将棋の駒は王と玉以外は敵も味方も同じ仕様です。そして敵から取った駒を自らの駒として使うことが出来ます。日本は戦国時代も(比較的最近の)戊辰戦争も、ホモジニアスな環境の中での武将・親分間の覇権争いですから、争いとは云え、世界で通常行われてきた民族間の争いとは全く構図が違います。掴まえた捕虜も自軍の兵として使える。そんな発想が将棋にはある訳ですが、とても日本的で興味深いゲームです。しかもその名人位を400年も維持してきた。日本の、文化を生きたまま繋げていく力は凄いと思います。圧巻は式年遷宮の発想と仕組みですが、前にも書いたことがあるので今日はその内容は書きません。400年目の名人戦。大尊敬する羽生善治二冠を精一杯応援したいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。