日本には懲罰的賠償金という概念がありません。そのような罰が、法の中で予定されていません。経済犯に対する罰金は、不当利得を返還させることが基本です。これは以前に何回かつぶやきで書いてきたテーマですが、経済犯の検挙率が100%にならない限り、マクロ的には経済犯罪はした方が得になります。少なくとも不当利得に検挙率の逆数を掛けた額、即ち検挙率が5%であれば不当利得の20倍、の罰金を課さなければ、刑事政策的には経済犯の抑止効果はない、或いは低いと云えるでしょう。検挙率を上げていくことには行政コストが多大に掛かります。もっと上手く、即ち効果的・効率的に、法律や制度を構築することが、経済犯罪を減らすためには肝要だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。