前回のコラム「「1ドル=200円」時代も覚悟。資産配分を見直し、事前準備を」は、おかげさまで2026年7月のマネクリの月間アクセスランキング第1位になりました。これは3月に続き、2026年に入って2回目になります。
たくさんの方にお読みいただき、本当にありがとうございます。これからも読者の皆様の投資のお役に立てるコラムを提供して参ります。
今回はシニアの資産運用について考えます。
シニアになると定期的なインカム収入が必要
40代くらいまでの若いうちは投資資金を積み増して資産を複利で増やしていくことが大切です。しかし、50代を超えてシニアになると、資産を増やすことよりも毎月定期的なインカム収入が入るような投資方法を考える必要が出てきます。例えば株式のインデックスファンドのような主にキャピタルゲインを狙う金融商品は、年齢とともにアセットアロケーションに占める比率を下げていくべきです。
シニア層が定期的なインカム収入を得られる投資信託として、毎月分配型ファンドがあります。かつて外国の債券を組み入れてその金利収入を分配金の原資にする毎月分配型ファンドが一世を風靡しました。分配金利回りの高さに注目した個人投資家の間で人気となり、一時は日本最大の投資信託となりました。
しかし、為替リスクや世界的な低金利の波に飲み込まれ、基準価額が下がってしまう結果となり、運用成績の低迷から残高は大きく減少してしまいました。分配金の原資が金利低下で減少し、為替の変動で資産価値が変動するのに、安定的な分配金を出す仕組み自体に構造的な問題があったと考えます。
毎月分配型ファンドが再び人気
公募の投資信託の残高ランキングを見ると、ベスト10にランクインしている毎月分配型ファンドが存在します。毎月分配型ファンドが最近また人気になっているようです。
ただ運用方法を見ると、外国債券ではなく、海外のバリュー株と呼ばれる、収益性の割に株価が低く配当利回りの高い割安株を組み入れています。
果たして、このような毎月分配型ファンドに投資すべきなのでしょうか?
投資信託は分配金の金額だけではなく、基準価額と呼ばれる1万口当たりのファンドの価値の変動も合わせて評価すべきです。
なぜならファンドの運用パフォーマンスがゼロであっても分配金は出せますが、その分基準価額は下がるからです。運用成果が上がっていないのにそれ以上の分配金を出せば、いわゆる「タコ配」になってしまいます。株価や配当金額、さらに為替の変動リスクがある中で、分配金を安定的に出し続けるのは無理があると考えます。
投資信託はコストを下げることが大切
毎月分配型ファンドのもう1つの問題は、コスト面です。
ほとんどがアクティブ型の運用で、プロのファンドマネージャーが銘柄を選択し運用しています。アクティブファンドはインデックスファンドよりも高い信託報酬がかかるのが通常です。
毎月分配型のアクティブファンドの中には、年間で2%近い信託報酬がかかるものもあります。これは全世界株式に投資をするような低コストのインデックスファンドの数十倍です。ここまでの高コストになると、ファンドマネージャーが独自の銘柄選定によってどれほど優れた目利きを発揮したとしても、運用成果を出し続けることは難しいでしょう。
インデックスファンドを定期解約する方法
運用成果を考えれば低コストのインデックスファンドは有益ですが、分配金が無いものがほとんどです。しかし、自分でファンドの一部を解約すれば、分配金を受け取るのと同じ仕組みを作ることができます。
コストが低く運用成績の良いインデックスファンドを毎月解約していった方が、賢明な資産運用と言えるのではないでしょうか?
投資信託を毎月自動で売却し現金化(取り崩し)できる「定期売却サービス」を提供している金融機関もあります。このようなサービスを使えば、毎月1,000円単位で自動的に解約していくことができます。NISA口座にも対応しており、売却益が非課税のまま、解約金を受け取ることも可能です。この方法を使えば、コストの高い毎月分配型ファンドを使う必要はなくなります。
ただし忘れてはいけないのは、そもそも株式で運用している投資信託から定額で資金を引き出すのは、株価や為替の変動率の高さを考えれば、合理的な方法とは言えないということです。
投信定期売却サービスを活用する場合は、解約金額を設定してそのまま同じ金額を受け取り続けるのではなく、定期的に保有している投資信託の資産金額を確認し、残高が大きく減少している場合は解約金額を見直すなど、柔軟に対応していくべきでしょう。
インデックスファンドは「ベター」な選択
インデックスファンドのデメリットや限界
最近はインデックス運用の優位性が理解されるようになり、個人投資家の間でも人気となっています。ただ、インデックス運用はベストな方法ではなく「ベター」な運用手法です。
市場全体の値動きに連動させるインデックス運用は、突出した高リターンを得られない代わりに、個別の企業リスクやファンド選定の失敗を避ける仕組みとして優れています。しかしインデックス運用にも問題点や限界が存在します。
例えば、市場全体が暴落する局面では、どれほど優良な企業の株式が含まれていても連動して資産価値が大きく減少するため、下落局面での防衛力という点では限界があります。
また、時価総額加重平均型のインデックスでは、割高に買われている期待過剰な銘柄や大企業ほどポートフォリオ内での組入比率が高くなります。一方で、割安に放置されている株式の比率が低くなるという構造的な歪みも抱えています。
それでもなおインデックス運用が評価されるのは、こうした問題点をあらかじめ理解した上で受け入れるならば、時間や労力といった非財務的なコストを抑えつつ、長期的には堅実な成果を期待できるからです。
完璧な手段ではありませんが、致命的な失敗を防ぎながら生活と資産運用を無理なく両立させられるインデックス運用を投信定期解約サービスと組み合わせて、上手に活用していきましょう。
