先週(7月6日週)の振り返り=「骨太ショック」円安の修正で一時円高に
7月10日の閣議後会見に反応し、米ドル/円は最大で1円以上の下落
前週(6月29日週)、米雇用統計発表前後に160円半ばまで比較的大きく反落した米ドル/円でしたが、先週(7月6日週)はじりじりと上昇し、この間の高値である162.8円寸前まで米ドル高・円安に戻す展開となりました。ただ7月10日の閣議後の記者会見で、いわゆる「骨太の方針」の修正思惑から日本の金利が低下すると、それをきっかけに米ドル/円も161円台前半まで最大で1円以上下落する場面もありました(図表1参照)。
米ドル/円がこの間、2024年7月に記録した161.9円の高値を更新し、一時163円に迫るまで上昇したのは、日本の財政規律への懸念を受けた長期金利上昇が主因との見方が多くなっていました(図表2参照)。そうした中で、政府の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」を巡る動きが、大きな焦点となっていたわけです。
7月10日、城内経済財政担当大臣が閣議後の記者会見で、「骨太の方針」案で日銀の追加利上げをけん制したと受け止められるような表現になっていた部分の修正について言及しました。これをきっかけに長期金利は大きく低下し、それにつれる形で米ドル/円も米ドル安・円高に反応しました。さらに、片山財務大臣が「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による国内金融資産への投資拡大を検討する」と発言したことも、長期金利低下と円買いを後押ししました。
円反発の主因は、投機筋の円売り「行き過ぎ」の修正か
この間の長期金利上昇と円安が広がる動きは、「骨太ショック」とも呼ばれました。その「骨太ショック」が、7月10日を境に一段落したとの見方はまだ少ないでしょう。高市総理の積極財政への思いは強く、高市政権はなお高い支持率を維持していることを考えると、考え方が抜本的に変わる可能性は低そうです。
それでも、7月に入り円高に反応する場面も出てきたのは、基本的には円売り「行き過ぎ」の反動があるのではないでしょうか。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、売り越し(米ドル買い越し)が7月7日時点で12.3万枚となり、1週間前の15.5万枚から比較的大きく縮小しました(図表3参照)。経験的に15万枚以上の円売り越しは「行き過ぎ」懸念が強いものなので、何かきっかけがあれば、その修正で円の買い戻しが強まりやすい状況にあることを示しているでしょう。
165円を目指す円売り仕掛けはあるか、それとも円売りポジション縮小に転換?
そもそも7月の米ドル/円は、2022~2024年と3年連続の陰線(米ドル安・円高)になるなど、それまで続いてきた円安の流れが円高に反転しやすい傾向がありました(図表4参照)。これは、夏季休暇入りを控えたトレーダーが行き過ぎた円売りポジションの縮小に動いた影響が大きかったと考えられます。
以上、見てきたことを整理します。「骨太ショック」と呼ばれる「長期金利上昇=円安」の流れが転換する可能性はいまだ低そうです。ではそれを手掛かりに、165円を目指しもう一段の円売り仕掛けとなるのか。ただ通貨当局による円安阻止介入再開などで、当面の円一段安の可能性が低下した場合、投機筋はいったん円売りポジション縮小に動く可能性もあるでしょう。
政府は「骨太の方針」について、7月中の閣議決定を目指しているとみられることから、今週(7月13日週)もこれを巡って金利や為替相場が大きく動く可能性には引き続き注意が必要でしょう。
今週(7月13日週)の注目点=米インフレ指標発表、ウォーシュFRB議長発言など
原油価格下落で米金利上昇リスクも低下の可能性
今週(7月13日週)は、注目度の高い米経済指標の発表が多く予定されています。まず7月14、15日と6月のCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)の発表が続きます。イラン戦争終結期待から原油価格が比較的大きく下落した影響などにより、全般的に上昇率が前月より鈍化するとの予想が基本になっています。また、7月16日には米6月小売売上高の発表が予定されていますが、これも前月から悪化が予想されています。
以上のように見ると、今週(7月13日週)の米経済指標発表で、基本的に米金利は上昇よりも低下に反応する可能性が高そうです。イラン戦争の停戦を巡る協議はなお綱渡りのような状況が続いているものの、それが完全に打ち切りとなり、ホルムズ海峡が完全に封鎖されるようなことにならない限り、米金利の上昇は限られる可能性が高くなっているのではないでしょうか。
FRB(米連邦準備制度理事会)議長は、半期に一度議会で金融政策について説明することになっています。ウォーシュ新議長は今週(7月13日週)、初めてそれを行う予定となっていることから、それが米金利や為替相場にどう影響するかも注目されます。
今週(7月13日週)の米ドル/円は158~163円で予想
すでに見てきたように、当面の米ドル/円は投機筋が165円を目指すさらなる円売り仕掛けに動くのか、それともそれは難しいと判断し、いったん円売りポジションの縮小本格化に転じるかが最大の焦点ではないでしょうか。
日本の当局は、160円を大きく超える円安は国内的に許容できないと判断しており、それは最近にかけても変わらないとみられます。このため、「骨太の方針」などを手掛かりとした円売りが一段落するタイミングを狙い、米ドル売り介入を再開する可能性は高いのではないでしょうか。以上を踏まえ、今週(7月13日週)の米ドル/円は158~163円で予想します。
