日経平均株価は大きく下落する局面も見られますが、足元にかけても株価が底堅く推移する「出遅れ高配当銘柄投資」の戦略を紹介します。
AI・半導体株の調整局面で注目したい投資戦略
7月28日の日経平均株価は前日比2,566円安の6万2,364円で取引を終え、終値ベースでは5月21日以来、およそ2ヶ月ぶりに6万2,000円台まで下落しました。6月22日に付けた高値7万2,353円からの下落にはさまざまな要因がありますが、大きく2つに整理できます。
日経平均が6万円2,000円台まで下落した2つの理由
1つ目は、中東情勢の悪化です。6月には、完全な戦闘終結と和平の実現を目指す覚書(MoU)が署名され、戦闘終結への期待が高まりました。しかし、その後は戦闘が再開されるなど、中東情勢は再び緊張感を増しています。
2つ目は、ビッグテック企業による過剰投資への懸念です。決算発表で示される積極的な設備投資計画に対し、その投資に見合う将来の利益を十分に獲得できるのか、不安視する見方が広がっています。特に、足元の企業収益や財務体力に影響を与える大規模な設備投資への警戒感が強まっています。AIは第4次産業革命を象徴する技術とされる一方で、株式市場にとってはこれまで経験したことのない大規模な投資テーマでもあり、その先行きに対する投資家の見方も大きく分かれています。
もっとも、中東情勢が落ち着かない限り、投資家心理が大きく改善することは難しく、AI・半導体関連株を中心に短期的には値動きの大きい展開が続く可能性があります。一方で、長期的にはAI市場の発展が期待されています。ただし、現在進められている巨額の設備投資が本当に将来の利益につながるのか、その評価が定まるのは来年以降になるとみられます。それまでは、投資家の見方が分かれやすい相場展開が続く可能性があります。
「出遅れ高配当利回り株」の選別が有効な投資戦略の1つと考える理由
こうした株式市場全体の状況を踏まえると、現時点では「出遅れ高配当利回り株」の選別が有効な投資戦略の1つと考えています。
図表1は、TOPIX、日経平均株価、日経半導体株指数の推移を比較したものです。日経半導体株指数は、日本の主要な半導体関連企業で構成される株価指数であり、日本の半導体関連株の動向を示す代表的な指標です。同指数は6月22日に高値を付けましたが、その後はAI・半導体関連株に対する先行きへの懸念が強まり、大きく下落しました。日経平均株価も同日の高値を境に下落基調となっており、足元の日経平均株価の下落は、AI・半導体関連株の下落による影響が大きいことが分かります。
一方、TOPIX(東証株価指数)もAI・半導体関連株の下落の影響を受けていますが、日経平均株価や日経半導体株指数と比べると底堅い推移が続いています。AI市場の長期的な成長期待は変わらないものの、短期的には関連株の値動きが大きくなりやすい局面です。そのため、現時点では下落リスクの大きいAI・半導体関連株を積極的に狙うよりも、株価が比較的底堅く推移しやすい高配当銘柄などを選別するほうが、効率的な投資と考えられます。
出所:QUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成
データで検証、出遅れ高配当株は底堅かった
そこで、実際に足元の出遅れ高配当利回り株のパフォーマンスを確認しました。図表2では、毎月末時点で入手可能な情報のみを用いて銘柄を分類し、翌月の日次パフォーマンスを比較しています。具体的には、予想配当利回りが高い上位20%の銘柄群に加え、前月末までの過去3ヶ月間の株価上昇率が上位20%の銘柄群と、上昇率が下位20%、すなわち出遅れ銘柄のパフォーマンスを比較しました。
結果を見ると、黒線で示した高配当利回り銘柄は、日経平均株価が高値を付けた6月23日以降も底堅く推移し、その後の上昇も比較的大きいことが分かります。また、青線で示した出遅れ銘柄(過去3ヶ月間の上昇が小さかった銘柄)も、高配当利回り銘柄とほぼ歩調を合わせるように推移し、図中の青い矢印が示すように、その後は堅調な上昇が見られます。
一方、赤線で示した過去3ヶ月間の上昇が大きかった銘柄は、2026 年6月下旬までは市場をけん引してきましたが、その後は利益確定売りなどもあり上値が重くなりました。図中の赤い矢印が示すように、足元では下落基調となっています。これに対し、出遅れ高配当利回り株は堅調な推移が続いています。今後もAI・半導体関連株を巡る不透明感から値動きの大きい相場が続くと見込まれるなか、株価の底堅さが期待できる出遅れ高配当利回り株は、引き続き有力な投資対象になると考えられます。
注2: 母集団はTOPIX構成銘柄。ただし金融業(銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、その他金融業)は除外
注3: 毎月末時点で入手可能な情報のみを用いて銘柄を分類した。高配当利回り銘柄は予想配当利回り上位20%、過去3ヶ月間の上昇が大きかった銘柄および上昇が小さかった銘柄は、それぞれ前月末時点までの過去3ヶ月リターン上位20%、下位20%とした
注4: 各銘柄群の日次リターンは、配当込み収益率(日次)を単純平均して累積したもの。銘柄の分類は毎月末に更新し、翌月の日次パフォーマンスを集計した
出所:QUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成
銘柄スクリーニング:11個の条件を満たす、出遅れ高配当利回り銘柄6選
高配当利回りで株価の下値リスクを抑えながら、今後の見直し余地も期待できる銘柄を選定
そこで出遅れ高配当利回り株について、以下の条件で銘柄スクリーニングを行いました。
メインの条件は以下の①~③で、出遅れ高配当利回り株を選別します。
①[指標]予想配当利回り:4.00%~、
②[株価]騰落率:対3か月前・~0.0%、
③[指標]PBR:~1.50倍
「①予想配当利回り4.00%以上」は、高配当利回り銘柄を抽出するための条件です。「②株価騰落率(対3ヶ月前)0.0%以下」は、出遅れの基準として、過去3ヶ月間で株価が上昇していない銘柄を選別しています。さらに、「③PBR(株価純資産倍率)1.50倍以下」は、株価が企業の純資産に対して過度に割高と評価されていない銘柄を選ぶための条件です。
PBRが低い銘柄は、企業価値に対して株価が相対的に割安と評価されている可能性があります。一方で、PBRが高い銘柄は、すでに将来の成長期待が株価に織り込まれているケースも少なくありません。そこで今回は、高配当利回りであることに加え、株価が過度に割高ではない銘柄に絞ることで、株価の下値リスクを抑えながら、今後の見直し余地も期待できる銘柄を抽出しました。
中間配当への期待、財務・業績面、流動性をカバーできる追加条件を設定
また、9月が近づくと、3月期決算企業では第2四半期末を迎え、中間配当への期待が高まる時期となります。そこで、④3月期決算企業で、⑤中間配当の実施が予想される企業を選びました。
さらに、財務面や業績面でも一定の条件を満たす企業に絞るため、⑥実績ROE5%以上、⑦今期コンセンサス営業利益増益率3.0%以上(コンセンサス3人以上)、⑧来期コンセンサス営業利益増益率3.0%以上(コンセンサス3人以上)の条件を加えています。
最後に、流動性を考慮し、⑨東証プライム市場上場企業のうち、⑩時価総額800億円以上の企業を対象とし、⑪金融業(銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、その他金融業)は分析対象から除外しました。
これらの①~⑪の条件で行ったスクリーニング結果を図表3に示しています。銘柄は予想配当利回りの高い順に並べています。銘柄選別の参考にしてみてください。
[詳細条件] [指標]予想配当利回り:4.00%~、[株価]騰落率:対3か月前・~0.0%、[指標]実績ROE:5.00%~、[今期コンセンサス]増益率(営業利益):3.0%~・3人以上、[来期コンセンサス]増益率(営業利益):3.0%~・3人以上、[指標]PBR:~1.50倍 なお、第2四半期での中間配当が予想されるのかは、別途チェックしている。
出所:マネックス証券ウェブサイト マネックス銘柄スカウター(2026年7月28日時点)
銘柄スカウターでのスクリーニングの条件設定について
ここからは補足的な説明です。読者の皆さんが投資候補として銘柄を検討する際に、ご自身で銘柄スクリーニングする方法を紹介します。皆さんが投資銘柄を探す際に、その時点で最新のデータでスクリーニングが可能になります。
マネックス証券ウェブサイトの「銘柄スカウター」を利用できる方は、銘柄スカウターの「10年スクリーニング」について、実際の銘柄スクリーニングの入力項目は以下の通りとなります(図表4)。
また、中間配当が予想されるのかの確認は、「銘柄スカウター」個別銘柄のページの「四季報を見る」のタブの「業績/株主構成」で確認ができます。ご参考ください。
