先週(7月13日週)の振り返り=161円半ば~162円半ば、わずか1円程度のレンジで小動き

日米金利差縮小・日本の長期金利低下などの円買い要因への反応は限定的

先週(7月13日週)の米ドル/円は161円半ば~162円半ばというわずか1円程度のレンジでの一進一退に終始しました(図表1参照)。7月もすでに半月以上経過しましたが、これまでは160.4~162.8円と、月間の値幅は3円を下回る程度にとどまっています。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年4月~)
出所:マネックストレーダーFX

先週(7月13日週)の注目点の1つとして、CPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)など米インフレ指標の発表がありました。これらはともに予想を下回る結果だったことから、米金利は低下し、日米金利差(米ドル優位・円劣位)は縮小しました。しかし米ドル安・円高の反応は限定的にとどまりました(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日米2年債利回り差(2026年4月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

このところの米ドル/円は、日米金利差よりも日本の財政規律を懸念した長期金利上昇に円売りで反応する傾向が続いているとされます。ただ先週(7月13日週)はそうした長期金利上昇も一服となりました。片山財務大臣などがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による円建て資産への投資拡大の可能性について言及していることが影響しているようです。しかし、これに対する円買い反応も限られました(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円と日10年債利回り(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

円買いが鈍かったのは、原油高再燃による「有事の米ドル買い」が理由ではない

これまで見てきたように、先週(7月13日週)は日米金利差縮小や日本の長期金利低下などの円買い要因に対する反応の鈍さが目立ちました。ではこれは、米国とイランの対立が再燃し原油価格が上昇したことや、いわゆる「有事の米ドル買い」が影響したのかと言えば、それも違うように感じます。

イラン戦争が始まった当初、原油価格の急騰は米金利急騰をもたらしました(図表4参照)。この結果、日米金利差は拡大し、米ドル高・円安をもたらしました。ただ、その関係は5月以降大きく崩れました。イラン戦争終結への期待から原油価格は下落したものの、それでも米利上げ見通しは変わらず、米金利の上昇傾向が続いたためです。

【図表4】WTIと米2年債利回り(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

以上のように見ると、原油価格の上昇再燃が米金利へ及ぼす影響は限られるようになったのではないでしょうか。実際に先週(7月13日週)の米金利は、すでに見てきたように米インフレ指標が予想を下回ったことに反応し、原油価格の上昇再燃を尻目にむしろ低下傾向となりました。

では、先週(7月13日週)の円買い反応を限定的にしたのは、「有事の米ドル買い」の影響でしょうか。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、買い越しがすでに過去最高規模に達するといった具合に「買われ過ぎ」が懸念される状況となっています(図表5参照)。

【図表5】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

また、例年7月以降は夏期休暇を控えポジション調整が入りやすいことを考えると、すでに「買われ過ぎ」の米ドルが、「有事」を理由にさらに買われるより、むしろポジション調整で売られる、「有事の米ドル売り」になる可能性すらあるのではないでしょうか。

論理的に説明できない円買い反応の鈍さ、継続性には自ずと限度あり?

以上のように見ると、先週(7月13日週)の円買いが限定的だったことを論理的に説明するのは難しいでしょう。為替市場における売買は常に論理的に説明できるものではありません。ただし、論理的に説明できない動きには基本的に限度があります。そう考えると、先週(7月13日週)のように円買いの反応が限定的にとどまる動きが継続するには、自ずと限度があるのではないでしょうか。

なお、CFTC統計の投機筋の円ポジションは、先週(7月13日週)にかけて小幅ながら2週連続で売り越し(米ドル買い越し)が縮小しました(図表6参照)。これは夏期休暇が近付く中で、例年通りポジション調整が始まっている可能性を感じさせます。根強い円安マインドから円買い反応が鈍い状況が続いています。しかし、円買い介入再開など何かのきっかけ次第で大きく米ドル買い・円売りに傾斜したポジションの調整が拡大し、米ドル安・円高が広がる可能性もあるのではないでしょうか。

【図表6】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今週(7月21日週)の注目点=「骨太の方針」決定に合わせて為替介入再開?

今週(7月21日週)の米ドル/円は158~163円で予想

今週(7月21日週)は、目立った米経済指標発表予定はありません。金融政策の発表はECB(欧州中央銀行)などで予定されていますが、今回ECBは政策金利据え置きが予想されています。むしろ来週(7月27日週)に日米の金融政策発表を控えていることから、金融政策が波乱要因になる可能性は、基本的には低いのではないでしょうか。

日本では、高市政権の経済財政運営と改革の基本方針である「骨太の方針」が閣議決定される可能性があります。「骨太の方針」は、財政規律への懸念から「長期金利上昇=円売り」の材料になる可能性があります。しかし逆に、それを当面の円売り材料の出尽くしのタイミングと位置付けて、米ドル売り介入を再開する可能性も注目されます。以上を踏まえ、今週(7月21日週)の米ドル/円は158~163円で予想したいと思います。