現在のファンダメンタルズ:介入は出たものの根強い押し目買い
先週(5月4日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 155.020円~157.923円 156.702円
・ユーロ/米ドル:1.16765ドル~1.17962ドル 1.17871ドル
・ユーロ/円: 182.044円~185.037円 184.706円
先週(5月4日週)の為替市場:繰り返しの為替介入で米ドル/円は155~158円レンジに
先週(5月4日分)のレポートはゴールデン・ウィークでお休みでした。その間、重要なイベントが続いたため、今回はテーマごとに注目しておくべきポイントを示しておきます。
【1】日米金融政策決定会合
4月28日に日銀会合、4月29日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。どちらも事前予想通り現状維持となりました。ただ、いずれもタカ派寄りの内容であった点には注意が必要です。
日銀会合では現状維持に3名の委員が反対票を投じました。2名のタカ派委員に加え中立的な立場の委員1名が反対票を投じたことや、植田総裁会見でもタカ派なトーンだったことから、次回6月会合での利上げが確実視されることとなりました。
FOMCでは現状維持だったものの、3名のメンバーが緩和バイアスの文言削除を主張したことで、年内追加利下げの見通しは2026年12月FOMC時点でゼロとなりました。先週末時点で現状(3.5~3.75%)のまま年末を迎えるとみる市場参加者が85%、0.25%の「利上げ」を見込む向きが15%となっています。またパウエル議長は司法捜査が終わるまでは理事としてとどまるとしており、オブザーバー的な立場ではあるものの引き続きFOMCで1票を持つ状態が続きます。
【2】為替介入
4月30日、ついに実弾介入が入りました。3月30日に160円台半ばまで円安が進行した際には、三村財務官が財務官就任後初めて「そろそろ断固たる措置も必要」と160円台後半よりも円安水準での介入を示唆しました。4月30日に160円台後半へと入り込むと、片山財務相は「いよいよ断固たる措置を取るタイミングが近づいている」と、介入の水準が一段と近づいているという趣旨の発言を行いました。
その後、三村財務官が「最後の退避勧告」と、まもなく介入を行うと示唆する発言を行いました。ここまでで既に円買い戻しも出ていたところに実弾介入が入り、155円台半ばへと円高の動きとなりました。その後、GW中にも複数回の介入が出ましたが、155円台前半での異常なまでの底堅さと、一方で158円が近づくと介入という流れで、当面の米ドル/円のレンジとして155~158円がコンセンサスとなっている状況です。
【3】米国イラン停戦協議
停戦後も小競り合いが続き、米国からの提案に対してイランがどのような返答を行うか注目されていました。週末にイランからの回答があり、日本時間5月11日未明に「核施設解体は拒否」と米国が最優先としている項目にNOという返答があったことで、トランプ米大統領は不満を示しています。
まだ不透明な状況が続きそうだとの判断から、5月11日早朝の市場ではリスクオフで原油高・米株安、為替市場ではユーロ/米ドルを中心に米ドル買い戻しの動きから始まっています。
【4】ベッセント米財務長官来日予定
ベッセント米財務長官が来日し、首相、財務相、日銀総裁と会談を行うとの報道がありました。しかし、日銀総裁はBIS(国際決済銀行)会合出席で不在となるため、日米財務相会談が注目されます。4月12日に実施する方向で固まったようです。
メインシナリオはこれまでの日米協力体制の再確認。リスクシナリオとしては米国からの直接的な円安牽制発言(「150円よりも円安水準は行き過ぎだ」等)が出た場合、ここまで強いサポートとなっていた155円台前半を一気に下抜ける可能性もあるでしょう。
以上、重要イベントと注目ポイントについて簡単にまとめました。テクニカルにも変化が出てきましたので順に見ていきましょう。
米ドル/円チャート(週足):2週連続で移動平均線を下抜け、下降トレンドへ
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
週足チャート(図表1)では、終値が移動平均線を2週連続で下抜けたことで下降トレンドが確定しました。今後は移動平均線(今週は157円台半ば)を上値の目安として考えていくこととなります。上ヒゲで抜けることがあっても週末終値で移動平均線を下回っていれば米ドル安の流れが継続するという見方となります。
一方で、今回の下げは2025年4月からの平行上昇チャンネルのサポートラインで止められました。テクニカルにも155円は強いサポートとして認識されます。ただし、逆に155円を明確に下回るようであれば、年初来安値をうかがう展開となるでしょう。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
米ドル/円チャート(日足):4月30日にデッド・クロスとなった後、5月7日にゴールデン・クロス
短期的な判断は日足で行います。
米ドル/円は介入が入った4月30日にデッド・クロスとなったものの、その後の底堅い動きから5月7日にはゴールデン・クロスが発生しました。しかし、このゴールデン・クロスは米ドル安の流れの中でダマシとなる可能性も高そうです。そのため、次のデッド・クロスを待って、米ドル/円は売りというスタンスのほうが良さそうです。
また週足で示したサポートラインと、年初来安値と高値との61.8%押しの155.383円が今週(5月11日週)は重なる水準となり、下値も限定的というのが短期テクニカルの視点です。
なお、週初の段階ではイランからの回答にトランプ大統領が不満を示しているため、米ドルが底堅い地合いで始まりました。しかし、5月14日には米中首脳会談が予定されていることもあり、どのように展開していくのか予断を持たないほうが良いと思います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
ユーロ/米ドル:週足移動平均は上昇トレンド、日足は方向感なし
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)では、ユーロ/米ドルは移動平均線の上側での動きを続けていますので長期上昇トレンドは継続中です。しかし、移動平均線の傾きがほとんど無いため、方向感が出ていない状況も4月27日週から変わっていません。また、引き続き拡散型ウェッジ(青)の中で、上値に関しては年初来高値と年初来安値との61.8%戻しとなる1.18242ドルがレジスタンスとして意識されやすい水準という見方も変化ありません。
日足チャート(図表4)では、ユーロ/米ドルは新たに緑のラインの拡散型上昇ウェッジを引いてみました。週足でも日足でも拡散型ウェッジが見られるということで、長期的にも短期的にも方向感が出にくい流れが続きやすいと言えます。
2本の移動平均線は5月8日にゴールデン・クロスに転換しました。ただ、最近はゴールデン・クロスとデッド・クロスを繰り返しているため、移動平均線で見ても方向感がはっきりしない状況です。3月安値と4月高値とのフィボナッチ・リトレースメントを引いています。現状では38.2%押し1.16814ドルをサポートに、4月高値1.18487ドルをレジスタンスとする流れにあるとみておけばよいでしょう。
ユーロ/円:週足は移動平均線下抜け1週目
ユーロ/円(図表5)は、上昇トレンド継続に黄信号が点灯しています。4月27日週の終値で移動平均線を下回って引けたものの、先週(5月4日週)終値では移動平均線を上回ったため、いったんリセットし、移動平均線では上昇トレンド継続です。
しかし、長期平行上昇チャンネル(黄色)のサポートラインは下回った状態となっています。そのため、今後上値が重くなると上昇トレンドに変調を来し、米ドル/円のように下降トレンドに転じる可能性があるという点は、注意しておきたいところです。
日足チャート(図表6)では、米ドル/円で介入が入った4月30日に大陰線が出現しデッド・クロスとなりました。ただ、5月7日には改めてゴールデン・クロスとなったことで、短期的には上昇トレンドとなっています。しかし、週足で見た通り、日足チャートでは明らかに長期サポートラインを下抜けての推移が続いているため、米ドル/円次第ではあるものの、次のデッド・クロスを待ったほうが良いのではないかと考えています。
いずれにしても米ドル/円での強いレジスタンス158円が、ユーロ/円では186円水準になると考えられます。同水準には下抜けた週足サポートラインもあることから、上値も限定的というスタンスでいたほうが良さそうです。
イラン情勢に加えて、日本の為替政策も気になる1週間です。今週も良いトレードを!
