モトリーフール米国本社 – 2026年5月17日 投稿記事より
セレブラス・システムズ[CBRS]の華々しいIPO、株価は68%急騰
半導体大手エヌビディア[NVDA]はAI技術革命が始まって以来、信頼できるAI銘柄となっている理由は、同社がAIモデルの学習や推論など、AIの中核処理を支える高性能半導体を提供しているからです。アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]やインテル[INTC]など大手半導体設計企業もAIブームの恩恵を受けていますが、依然としてエヌビディアがリーダーとしての地位を堅持しています。
しかし今、2016年に設立された新興企業がこの巨大企業に挑もうとし、投資家の関心を集めています。セレブラス・システムズ[CBRS](以下、セレブラス])は、2026年最大のIPOとなる取引を5月14日に開始し、株価は68%急騰しました。同社は55億ドル強を調達し、初日の終値に基づく時価総額は約670億ドルに達しました。
エヌビディアとセレブラス、次の勝者はどちらか
このセレブラス・システムズの華々しいデビューを経て、より魅力的なAI銘柄は、市場の巨人エヌビディアか、それとも期待の新興企業セレブラスかどちらなのでしょうか。
エヌビディアの強み
AI市場を支配する圧倒的成長力
エヌビディアはAI半導体市場において支配的地位を占め、その強さが爆発的な利益成長につながったため、過去5年間に株価は1,500%急騰しました。エヌビディアは、毎年「最も高性能」と評価されるグラフィック処理装置(GPU)を製造しています。そのため、最高のAIツールを自社に取り入れたい大手テクノロジー企業は、こぞってエヌビディアのシステムを採用してきました。
その結果、エヌビディアの直近会計年度の売上高は2,150億ドルに達し、わずか3年前の270億ドルから急増しました。加えて、粗利益率が70%を超えるなど、きわめて高い収益性を誇ります。
技術革新と提携戦略で優位性を維持
投資家が大きな関心を寄せているのは、「競合する半導体メーカーが将来的にはエヌビディアの市場シェアを少しずつ奪っていくのではないか」という点です。これまでのところ、エヌビディアは、「継続的な技術革新」と「幅広い産業にわたり大きなプレゼンスを築く」という防衛策でその地位を守っています。
同社は毎年、半導体やシステムを進化させており、競合企業がエヌビディアの技術力を上回るのは困難になっています。エヌビディアはまた、多様な企業とのパートナーシップを築き、産業を超えてAI開発の中核としての地位を確立してきました。例えば、世界的な通信機器メーカーであるノキアとの提携では、最先端通信規格6Gや将来の通信システムの開発にAIを導入しています。
こうした取り組みによって、エヌビディアは今後も市場での優位性を維持し、AIブームが続く中で大きな成長を実現していく可能性があります。
セレブラスの強み
2026年最大のIPO企業セレブラス、高速半導体で市場に挑む
セレブラスは、今まさに注目を集めている新興企業です。IPOに参加した一部の投資家に早くもAI投資での成功をもたらしました。そして、これが新たなAI成功ストーリーの始まりにすぎないことを、初期投資家やこれから同社に投資をする個人投資家は期待しているのでしょう。
同社はAI成功ストーリーを実現するために必要なものを備えている可能性があります。セレブラスは エヌビディア製半導体よりもはるかに大型のAI半導体を提供しており、同社はこれにより驚異的な速度が得られると述べています。特に「推論」つまりモデルが回答を導き出す思考プロセスにおいて、セレブラス製の半導体は「先行するGPUベースのソリューション」よりも最大15倍速く回答を生成しました。
同社は目論見書の中で、「当社の高速AIソリューションは、この市場において大きな競争優位性をもたらすと考えている」と説明しています。
大型契約とクラウド戦略で拡大へ
こうした強みは売上成長にもつながっています。セレブラスの売上高は2022年の2,400万ドルから、2025年には5億1,000万ドル強に拡大しました。そして、顧客がこの比較的新しい企業に注目するにつれ、この勢いは続く可能性があります。セレブラスは2026年1月に、AI研究開発企業オープンAIに対し、複数年にわたりコンピューティング(計算インフラ)を提供する200億ドル規模の契約を発表しました。
また、セレブラスは顧客に対し、顧客施設内へハードウェアを提供するだけでなく、「セレブラス・クラウド」または「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」といった他のクラウド・サービス・プロバイダーを通じてコンピューティングにアクセスすることを可能にしています。
セレブラス、そして投資家にとって、成長はまだ始まったばかりなのかもしれません。
今、魅力的なのはどちらか、エヌビディアVSセレブラス
両社は共に、今後AI市場が拡大していく中で恩恵を受ける可能性があります。コンピューティング能力に対する需要は依然として旺盛で、AI市場の規模は今後数年で数兆ドルに達する見通しです。また、AIが現実世界の様々な問題解決に使われれば使われるほど、顧客がより多くのコンピューティング能力を必要とするようになります。
では、現時点でより魅力的な投資先はどちらなのでしょうか。セレブラスの将来は非常に明るいかもしれませんが、上場直後に株価が大幅に上昇したことを考慮すると、筆者は押し目を待って参入するのが良いと考えます。
重要なのは、セレブラスはAIストーリーの初期段階にあり、巨大なエヌビディアのような収益力や市場をリードする力をまだ備えていないことを念頭に置くことです。この新興企業は、安定した営業利益の創出とAI市場でのプレゼンスの拡大を目指している段階にあり、巨大企業エヌビディアに比べるとなおリスクが高いことも忘れてはなりません。
もちろん、エヌビディアの株価はこれまで大きく上昇してきました。しかし、同社の長期見通しと足元のバリュエーションを踏まえると、なお十分な上昇余地があると考えられます。本稿執筆時点でエヌビディアの予想株価収益率(PER)は28倍と、わずか数ヶ月前の40倍超から低下しており、成長株を求める投資家にとって見逃せない投資の好機を提供していると言えるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Adria Ciminoは、アマゾン・ドットコムの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ、アマゾン・ドットコム、インテル、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
