4月以降急拡大した投機筋の円売り越し

ヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、5月26日時点で売り越し(米ドル買い越し)が11.4万枚に拡大、2026年以降で最高を更新した。同売り越しは、3月半ば頃までは5万枚以下と比較的小幅にとどまっていたが、4月以降は日本の通貨当局による為替介入で急激に円高になったことを受けて一時的に縮小したことを除くと、基本的に10万枚前後の大幅な売り越しが続くようになった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米ドル/円は、2026年1月に入ってすぐ160円に迫る米ドル高・円安が進み、これに対して日米の通貨当局は円安けん制の「レートチェック」に動いた。しかし、当時の投機筋の円売り越しは5万枚以下にとどまっており、このデータを見る限りでは必ずしも投機筋の円売りが主導した円安ということではなかった。

すでに述べたように、4月以降は円売り越しが10万枚前後に大きく拡大した。経験的に、円の売り越し10万枚以上になると「行き過ぎ」圏(図表2参照)といえる。その意味では、同じ160円を巡る米ドル高・円安局面ながら、1月と異なり、最近は投機筋の関与が大きくなっている可能性がある。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2005年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

通貨当局も注目する投機筋の円売り拡大

このように米ドル高・円安に投機筋の関わりが大きくなってきたことは、円安の阻止と円高への反転を目指す日本の通貨当局も、意識している可能性がある。2022年、2024年と日本の当局は為替介入で円安の阻止と円高への反転に成功したが、それには、短期売買を行う投機筋を円売りから円買いに転換させた影響が大きかったと見られたからだ。

2022年の円安阻止介入局面で、CFTC統計における投機筋の円売り越しは10万枚以上に拡大し、2024年の介入局面では過去最高規模の18万枚まで拡大した。このような投機筋の円「売られ過ぎ」の状況に対し、為替介入による円高誘導で円売りポジションの損失拡大懸念を生じさせ、投機筋が円の買い戻しに転換したことは、円安から円高への反転において大きく影響したと考えられる。

円高への反転で分岐点になってきた120日MA

投機筋の円売りポジションの損益分岐点として注目される米ドル/円の120日MA(移動平均線)は足下157円半ばで推移している。日本のゴールデンウィーク中に行われた為替介入をきっかけに、米ドル/円は一時120日MAを割れたもののすぐに120日MAを回復した(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

この先、為替介入を巡る攻防などにより米ドル/円が再び120日MAを大きく割れるようなら、大きく拡大した投機筋の円売りポジションについて、損失拡大を回避するための円買い戻しが強まる可能性があり、それが円高への反転における需給面での重要な要因となる可能性があり、注目される。