2024年7月からの円安大反転=主役は投機筋の円「売られ過ぎ」逆流

2024年7月に米ドル高・円安が161円で一巡した後、わずか1ヶ月弱で約20円もの急激な円高が起こった。これをもたらした主役は、当時としては過去最高の規模に膨らんだ投機筋の米ドル買い・円売りポジションの逆流と見られた。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、おもにヘッジファンドの取引を反映しているとされる。161円の米ドル高・円安を記録する局面では、売り越し(米ドル買い越し)が過去最高規模の18万枚まで拡大していた。この大規模な米ドル買い・円売りポジションがほぼ1ヶ月で消滅する中で、この急激な円高が起こった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2024年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今回は衆院選挙後に円安が反転したが、投機筋の状況は2024年7月当時とはかなり違うようだ。CFTC統計の投機筋の円売り越しは、この間のピークでも4万枚程度に拡大したに過ぎなかった。その意味では、投機筋の円売りの反動に伴う円高は今回の場合は限られるのではないか。

2025年4月140円割れの円高=投機筋の空前の円買い拡大が主導

2025年1月から4月にかけて、158円から140円割れまで米ドル安・円高が進んだ。この局面でも、主役は投機筋だった可能性がある。ただここでの投機筋の動きは、すでに見てきた2024年7月とは全く違う、むしろ正反対と言っても良さそうだった。

2025年4月にかけての円高において、投機筋は空前規模の円買い拡大に動くことでそれを主導したと見られた。CFTC統計の投機筋の円買い越し(米ドル売り越し)は、2025年4月末にはそれ以前の最高、2016年に記録した7万枚をはるかに上回る18万枚近くにも拡大した(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション (2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

この時、投機筋が円買い拡大の手掛かりにしたのは日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小と見られた。2025年1月から4月にかけての米ドル安・円高は、まさに日米金利差縮小に沿ったものだったからだ(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円と日米2年債利回り差 (2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

以上を踏まえると、今回も日米金利差がさらに縮小に向かえば、それを手掛かりに投機筋が米ドル売り・円買いポジションを拡大し、米ドル安・円高が進む可能性がある。

当面の円高見通しは日米金利差縮小と投機円買い拡大に注目

日銀は3、4月にも追加利上げに動くとの見方が有力になっている。一方でFRB(米連邦準備制度理事会)は年央以降利下げを再開するとの見通しになっている。こうした日米の逆方向の金融政策によって、日米金利差が縮小する可能性がある。その場合、それを手掛かりにヘッジファンドなどの投機筋が米ドル売り・円買いをどこまで拡大するかが、この先の円高シナリオの一つの目安になりそうだ(図表4参照)。

【図表4】米ドル/円と日米2年債利回り差 (2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ただ、すでに日本の2年債利回りは1.3%以上に上昇しており、日銀の早期追加利上げをかなり織り込んだように思われる(図表5参照)。そう考えると、当面の日米金利差のさらなる縮小には、おのずと限りがあるのではないか。その場合、それを手掛かりとした投機筋の円買い拡大による円高も限られた範囲にとどまる見通しだ。

【図表5】日米の2年債利回り (2025年10月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成