財政政策の拡大期待を背景に株価が急上昇、債券市場には売り圧力が強まる
2月相場が始まった途端に日経平均の上昇が加速しています。2月9日(月)には史上初めて57,000円の大台を突破しました。
2月8日(日)に投開票が行われた衆議院選挙において、自民党が316議席にものぼる過去最多の議席数を獲得する歴史的な勝利を収めたことが主因です。これによって「責任ある積極財政」を標榜する高市早苗首相の信任が得られたことになります。
マーケットではさっそく財政政策の拡大期待を背景に株価が急上昇し、反対に債券市場には売り圧力が強まっています。指標である新発10年国債の利回りは、2月9日(月)の時点で前週末比+0.065%上昇して2.290%で取引されました。
同じく新発5年国債利回りは+0.060%の1.735%まで上昇し、過去最高利回りを記録しています。高市政権の看板政策である積極財政がインフレを助長しかねないとの警戒が広がっています。
それとともに食品の消費税を2年間ゼロにするという選挙公約も存在します。見返りとなる財源があいまいなままで、選挙戦の期間中も議論はほとんど深められることはありませんでした。国民会議を開いて議論することになっていますが、株価の上昇という熱気の裏側で、長期金利の上昇という冷静な市場の判断が広がりつつあります。
インフレによる金利の上昇局面では「高い市場シェア」と「財務の安定性」が評価ポイントに
インフレによる金利の上昇局面は、日本では久しく起こっていなかったため、銘柄選択の巧拙が問われます。そこで最も重視する評価のポイントは「価格決定力」と「財務の安定性」です。
原材料費や人件費、家賃、物流費などあらゆる経費の上昇を販売価格に転嫁できない企業は、それだけで時間が経つにつれて収益状況は厳しくなります。ブランド力や技術的な優位性があり市場シェアも高い企業は、たとえ上記のコストが上昇してもその分を顧客への販売価格に転嫁することが容易です。
株式投資における銘柄選択の際には「価格決定力」、ひいては「高い市場シェア」を有する企業を重視すべきです。
バランスシートの中身が良好な、財務余力のある企業も金利上昇局面では優位性を保つことができると考えられます。
借入金に依存する事業モデルは、支払金利が増加することによって利益の成長が抑えられがちです。とりわけ短期借入金のウエイトが高めの企業はその影響が大きくなりやすいものです。
現預金から有利子負債を差し引いたネットキャッシュの大きな企業、借入金の比較的少ないレバレッジの低い企業は、金利上昇局面では競争を優位に保つことができます。このような観点に基づいて銘柄をいくつかピックアップしてみました。
金利上昇局面で競争優位が期待できる銘柄4選
HOYA(7741)
日本を代表する精密機器メーカー。価格帯の高いメガネレンズ、コンタクトレンズ、内視鏡で構成されるヘルスケア分野と、半導体用マスクブランクスの電子材料分野が収益の2本柱。データセンター向けのHDD用ガラス基板も得意とする。どちらかの領域が落ち込むと他方が伸びるという万全の事業ポートフォリオを形成。現在は電子材料分野の需要が旺盛で業績は絶好調。自己資本比率が8割近くに達し、財務良好企業の典型例でもある。
三井物産(8031)
日本を代表する総合商社。資源エネルギー分野に強く、販売価格への転嫁が進みやすいことからインフレ期には特に力を発揮する。近年は資源エネルギー領域だけでなく、社会インフラ、再エネ、デジタル領域まで資本配分を一段と拡張し、ポートフォリオを改善させている。案件ごとに投下資本の回収が厳格に進められており、ROICなど資本コストへの意識も高いため、他の商社とともに金利上昇局面では真っ先に評価される。
東京瓦斯(9531)
都市ガスで国内トップ企業だが、2016年の電力小売りの全面自由化をきっかけに家庭向け電力市場にも参入。いまやガスと電力を合わせた総合エネルギー企業と位置づけられる。ガスを海外から調達して国内で販売するだけでなく、北米ではシェールガス事業、アジア大洋州ではLNG(液化天然ガス)事業など、海外では資源権益の開発も行っている。大阪瓦斯(9532)と並び、今や日本で有数の資源開発企業と見ることができる。
大塚ホールディングス(4578)
大塚製薬、大鵬薬品工業、大塚食品を傘下に有する持株会社。自己資本比率は72%に達する財務安定度の高い優良企業。抗精神病薬「エビリファイ」は特許切れとなったが、抗精神病薬「レキサルティ」を筆頭に、次の成長を支える大型新薬が次々と登場。専門色の強い治療薬と並んで、消費者向け健康製品や化粧品も手がけており、独自色の強い製薬メーカーとして新しい価値を提供し続けている。
