第2次高市内閣スタート、「インフラ老朽化対策」は最優先項目

今回は改めて「インフラの老朽化問題」を取り上げます。

2月8日投開票の衆院選において、高市早苗首相の率いる自民党は単独で過半数を超える大きな勝利を収めました。

その熱気も冷めやらぬ2月18日、第2次高市内閣がスタートしました。その初日には、高市首相から各大臣へ、担当するそれぞれの政務において、今後の政策の基本となる指示書が手渡されました。

金子恭之国土交通相への指示書には、最優先とすべき第1の項目として「災害に強い地域づくり」と「効率的な老朽化インフラ対策」が挙げられました。インフラの老朽化問題はわが国が抱える大きな社会問題です。

八潮市の道路陥没事故から1年

2025年1月に埼玉県八潮市で起きた幹線道路の陥没事故から早くも1年が経ちました。トラックごと転落した運転手の方が亡くなるという大事故に至った原因は、下水管の老朽化とされました。

現場の道路は今も復旧工事のため通行止めとなっており、完全復旧にはあと5年から7年かかる見通しです。その間にも全国の上下水道の老朽化は少しずつ進行し、またどこかで事故が発生するリスクが高まっています。

耐用年数の50年を超えた下水道管は、地球1周分に相当

国土交通省によれば、全国の下水道管の長さはおよそ50万キロメートルにのぼり(2023年度末)、そのうち耐用年数の50年を超えたものは4万キロメートル、全体の8%にのぼります。

4万キロメートルは、地球1周分に相当します。八潮市の事故を受けて、国交省は2025年3月から全国規模で築年数30年以上、直径2メートル以上の下水道管を総点検する作業に乗り出しました。

老朽化の激しい下水管から修繕を進めるとしていますが、それだけでも対象となる管路は5000キロメートルにのぼります。これは北海道から九州・鹿児島まで往復する距離に相当します。これらの作業をすべて人間の目と手で対処していくには大変な労力が必要です。

時間経過とともにインフラ老朽化のリスクは増大、メリハリの効いた行政運営を

老朽化は不可逆的に進行します。築50年超の下水管は、今はまだ8%ですが、これがあと10年経つと全体の20%に拡大します。20年後の2042年には40%にまで増え、時間が経つごとにインフラ老朽化のリスクは確実に増していきます。

しかも問題は下水道管だけではありません。道路、トンネル、橋梁、港湾、河川、マンションにまで及びます。地方行政も職員不足という悩みを抱えており、各自治体の限られた予算と人材を効率よく集中投資しなければなりません。

リスクの高い案件に優先的・重点的に取り組むなど、メリハリの効いた行政運営が求められます。民間資本の活用、テクノロジーを駆使した遠隔監視など、資源を効率的に活用してゆく必要もありそうです。老朽インフラ対策に関連する銘柄をご紹介します。

インフラ老朽化対策の関連銘柄

日立建機(6305)

建設機械の大手メーカー。油圧ショベルでは国内2位で、世界でも第3位につけ、コマツと常に競い合っている。ショベルやホイールローダー、ロードローラーは道路の掘り返し作業で活躍。かつては「日立の御三家」と呼ばれたが、日立は株式を売却。2027年4月には社名を「ランドクロス(LANDCROS)」に変更する予定。日立から完全に独立した企業として、AIやロボットを活用した次世代の建設機械・鉱山機械メーカーを目指す。

【図表1】日立建機(6305):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月26日時点)

クボタ(6326)

トラクターや田植機など、農業機械の世界的企業。上下水道管に用いられるダクタイル鋳鉄管でも国内トップ。売上の8割は海外向けが占める。1890年の創業以来、130年にわたって食料(農業)と水(水道管)に取り組んできた。新たに2030年までの中期経営計画を策定し、営業利益率12%を目指すとしている。農機に自動運転機能を搭載した「スマート農業」の推進が躍進の原動力。ダクタイル鋳鉄管も安定して伸びる。

【図表2】クボタ(6326):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月26日時点)

ライト工業(1926)

法面(のりめん)加工や地盤改良など、特殊土木に強い建設会社。秋田県でトンネル防水のために創業し、現在は東京に本社を置く。トンネル工事のパイオニアとしてスタートし、現在は斜面の落石・地滑り防止や、軟弱な地盤を強化する地盤改良、地下水の環境事業など特殊な土木工事が中心。独自の工法を多数有する。受注高、手持工事高が安定して伸びており、今期も最高益更新が堅い見通し。売上高総利益率は22%に達する。

【図表3】ライト工業(1926):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月26日時点)

日水コン(261A)

上下水道を中心とした建築設計、計画のコンサルタント。顧客は地方公共団体が多くシンクタンク的な存在。インドネシアに現地法人を持ち、海外官公庁への政策提言も多い。都市の認可設計から、都市間の大規模な上下水道計画の設計、工事監理業務も行う。12月決算で、売上収益は第1四半期に集中。第3四半期は閑散期に当たる。安定した収益状況だが、前期は水道受注が急増したため、今期はその反動も。配当性向は50%が目安。

【図表4】日水コン(261A):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月26日時点)