先週(2月2日週)の振り返り=一本調子で157円まで円安に戻す展開

「レートチェック」後も152円からはほぼ一本調子で円安に戻る

先週の米ドル/円は154円台でスタートし、その後一本調子で157円台まで上昇しました(図表1参照)。高市総理の発言が円安容認と受け止められたことが円売りの口実となったほか、衆院選での与党優勢の報道も円売りを試す要因になりました。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2025年11月~)
出所:マネックストレーダーFX

米ドル/円は、1月23日の日米協調「レートチェック」をきっかけに一時152円割れ近くまで急落しましたが、米ドル安・円高への戻りが一段落すると、その後はほぼ一本調子で米ドル高・円安となっていました。注目の衆院選挙では与党の勝利となりましたが、ではこの先の米ドル/円の行方はどう考えたらよいのでしょうか。

財政懸念による長期金利の上昇は変わらなそう=為替介入で円安を止められるか

2025年10月の高市政権誕生以降、11月までの米ドル高・円安は、基本的に日本の長期金利である10年債利回り上昇と連動するものでした(図表2参照)。このうち長期金利は2025年11月以降も上昇が続き、2026年1月には2.3%まで上昇、その後も高値圏での推移が続いています。これは、おもに日本の財政リスクを懸念した結果と見られています。

【図表2】米ドル/円と日本の10年債利回り(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米ドル/円は、2025年12月頃から上値の重さが目立つようになりました。これはおもに日本の通貨当局による円安けん制を受けた米ドル売り・円買い介入への警戒感の影響が大きいでしょう。そうした中で、上述のように1月23日、経験的に為替介入の前段階の動きとされる「レートチェック」が日本だけでなく、一般の予想に反して米国も行ったことで、為替介入への警戒感が一段と高まり、一時米ドル安・円高へ大きく戻しました。

「責任ある積極財政」を主張する高市政権ですが、それが財政リスクとして受け止められ、長期金利上昇が続いてきたため、選挙結果を受けた高市政権の継続により長期金利上昇の流れは変わらないのではないでしょうか。そうであれば、そうした長期金利上昇が示す財政懸念を背景とした円売りを、為替介入でどこまで抑えられるかが当面の焦点になりそうです。

米ドルにも「脆弱性」=米国の介入の可能性低い、日本も慎重か

上述の通り、1月23日、日米の当局は160円手前で為替介入の前段階とされる「レートチェック」を行いました。この先さらに160円を超えて円安が進んだ場合、いよいよ実際の米ドル売り・円買い介入に動くこととなるのか。

米国が「レートチェック」を行った際、ユーロ/米ドルはそれまで上値抵抗線となっていた1.18米ドルを超え、一時1.2米ドルまで一段高となりました(図表3参照)。米ドルから見ると、ユーロに対して一段安となったわけです。こうした中で、ベッセント財務長官は、「米国は断じて米ドル売り介入を行っていない。強い米ドル政策の立場も変わらない」などと語りました。

【図表3】ユーロ/米ドルの日足チャート(2025年11月~)
出所:マネックストレーダーFX

こうした一連の動きは、米ドルが円以外の通貨に対しても下落リスクのあることを確認するものだったでしょう。日本から見ると米ドル高・円安を懸念する状況が続いているものの、トランプ政権で「米ドル離れ」が指摘されるように、円以外の通貨に対しては、米ドルの地合いもかなり脆弱である可能性がありそうです。そうであれば、円安阻止への米国の協力もよほどの場合に限られるでしょう。実際の米ドル売り介入の可能性は低く、再度の「レートチェック」も特別の場合に限られるのではないでしょうか。

日本の通貨当局は、2024年までは単独で円安阻止を行ってきました。ところが、1月23日には「レートチェック」を行い、日米協調の形となりました。これは160円近辺での日本単独による円安の阻止は困難との判断によるものだったのではないでしょうか。

2024年までは、日本単独の為替介入で円安阻止に成功してきたことから、為替介入は円安阻止の「最後の砦」のような役割となりました。それが「失敗」した場合、いよいよ円安には歯止めがかからなくなる危険があるでしょう。そう考えると、この先円安が160円を超えた場合でも、日本の為替介入の対応も慎重になる可能性があります。

今週(2月9日週)の注目点=衆院選後の円安阻止姿勢、米国株も不安定

円安終了は2つのパターン=「限界」に達するか、米ドルが「自滅」するか

米ドル/円の循環的高値、言い換えると円安トレンドの終了パターンは、基本的に2つです。1つは、米ドル/円が過去5年の平均値である5年MA(移動平均線)を3割以上上回った場合で、経験的には循環的円安の限界圏に当たるため、円安の限界に達したところで終わるというパターンです。具体的には1998年、2015年、2024年などがそれに該当します(図表4、5参照)。

【図表4】米ドル/円の循環的高値(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
【図表5】米ドル/円の5年MAかい離率と循環的高値の関係(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

もう1つ、円安が限界に達する前に終わるのは、「バブル崩壊」などで米ドルが急落する、つまり米ドルの「自滅」により円安から円高に転換するパターンで、これに該当したのが2002年や2007年です。

足下の米ドル/円は5年MAを15%上回る程度にとどまっています。5年MAを3割上回って限界に達するまで円安が続くなら、180円まで円安が止まらないといった計算になります。そうなる前に、AIバブル破裂などにより米ドルの「自滅」が起こるのでしょうか。円以外の通貨に対して米ドル下落リスクが拡大していることなどを踏まえると、その可能性もゼロではなさそうです。

今週(2月9日週)の米ドル/円は155~161円で予想

今週は、衆院選挙後の円安阻止姿勢を試す展開が予想されます。一方、米国では不安定な動きが目立ってきた株価の動向などが注目されます。米経済指標では、小売売上高、雇用統計、CPI(消費者物価指数)など注目度の高い指標発表が予定されています。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は155~161円での不安定な展開を予想します。