「ホクホク発言」、「追加利上げに難色」、「米主導のレートチェック」
高市総理は、今回の衆院選挙中のいわゆる「ホクホク発言」によって、円安容認の考え方があらためて注目された。「円安は悪いと言うが、輸出企業にとっては大チャンス」「円安で最も助かっているのが外為特会(外国為替資金特別会計)で、その運用が今ホクホク状態」との発言だ。この後、高市総理は「円安を容認したわけではない」と否定したが本当だろうか。
2月25日付の毎日新聞は、高市総理が植田日銀総裁との会談で、追加利上げに難色を示したと報じた。早期の利上げの目的の1つは、インフレ要因である円安の阻止、是正だろう。その早期利上げに難色を示したということなら、円安になるよりも、さらなる利上げが本人的には嫌なのだろう。
また、同じ2月25日付の日経新聞は、1月23日に行われた日米の通貨当局による、為替介入の前段階の行為とされる「レートチェック」について、実現したのは日本からの要請ではなく、ベッセント米財務長官の主導によるものだったと報じた。これが事実なら、160円に迫る米ドル高・円安局面でも、日本政府には米国に協力を要請するほどの危機感には至っていなかったということになる。
米政権内にもある高市総理の経済政策への不安視
2月23日付の日経新聞は、1月のスイス・ダボスで行われた非公式の日米財務相会談で、ベッセント米財務長官が日本の片山財務相に対し、「高市首相はこのままならトラスやメイのようになってしまうかもしれない」と語ったとしていた。つまり、ベッセント長官は、財源が曖昧な大減税が株価急落をもたらした「トラス・ショック」再来の懸念を吐露していたというのである。
その上で、「要請もない」円安けん制の「レートチェック」を自らの意思で行ったということが事実なら、米経済に悪影響をもたらしかねない高市政権の政策リスクの排除を自らの意思で行ったということになる。結果として、高市政権の政策への不安視を示しているということになりそうだ。
「今金利を上げるのはアホやと思う」から考え変わらず?
高市総理は、2024年の自民党総裁選挙当時、「今金利を上げるのはアホやと思う」と発言し話題になった。それから約1年半が過ぎたが、上述の「追加利上げに難色」報道が事実なら、基本的な考え方はほぼ変わっていない可能性が高いのではないか。
この局面で利上げをせず円安が進んだ場合、それを円買いの為替市場への介入だけで止めるのは普通に考えたら難しいだろう。以上のように考えると、160円を超える米ドル高・円安も容認している可能性がありそうだ。
