今回は2027年1月にスタート予定の「こどもNISA」の概要とその活用法について考えていきます。

「こどもNISA」の概要は次の通りです。

〇スタート:2027年1月
〇対象者:0歳~17歳(その年の1月1日時点で18歳未満の人)
〇利用できるのは「つみたて投資枠(未成年者特定累積投資勘定)」のみ
〇購入できる商品:成人NISAの「つみたて投資枠」と同じ
〇年間投資枠の上限:60万円
〇非課税保有限度額(0歳~17歳):600万円
〇保有する資産は成人NISA(つみたて投資枠)でそのまま運用可能

利用できるのは「つみたて投資枠」のみ

「こどもNISA」口座では成長投資枠は設定されず、利用できるのは「つみたて投資枠(未成年者特定累積投資勘定)」だけです。2025年12月19日現在、対象商品は347本。指定された指数に連動するインデックスファンドが279本、指定された指数以外の指数に連動するインデックスファンドやアクティブファンドが59本、そしてETFが9本となっています。「成長投資枠」は設定されないため、上場株式などは購入できません。

「つみたて投資枠」での投資となるため、例えば1月にお年玉をもらったので、その数万円で一気に投資信託を購入するといったことはできません。入学祝や児童手当などの資金を子ども名義の証券口座や銀行口座に入れておき、投信の積み立てをしていくことになります。

金融機関は変更できない予定

「こどもNISA」については、金融機関の変更はできない予定です(成人NISA移行後は変更可能)。「つみたて投資枠」で積み立てできる商品は金融機関ごとに異なるため、事前に確認した上で、口座開設を検討しましょう。

なお、「ジュニアNISA」と「こどもNISA」は別扱いとなるため、すでに「ジュニアNISA」口座を開設している場合でも、「こどもNISA口座」を開設することは可能です。

「こどもNISA」は引き出し制限はあるが、「ジュニアNISA」より柔軟な制度

「こどもNISA」は災害や教育目的であれば引き出し可能

原則、1月1日時点で18歳になる日の前日までは払出しはできません。

ただ、例外として、小学校6年生の12月(3月31日において12歳である年の前年以前の各年)より前は、災害等の理由であれば、資産を引き出すことが可能です。

また、小学校6年生の1月以降(3月31日において12歳である年以後の各年)であれば、災害に加えて、学校の入学金や授業料といった教育費目的であれば、資産を引き出すことができます。

手続きは親権者が行い、子の同意を得たことを証明する書類を添付することが条件です。具体的にどういう手続きになるかは未定ですが、なるべく簡易な手続きになるとよいですね。中学校や高校進学などでかかる教育費に使いたい場合には、積み立ててきた投資信託を一部解約して教育費に充てることができる、というイメージです。

「ジュニアNISA」の引き出し、一部の売却はできない

2016年にスタートし、2023年をもって廃止になった「ジュニアNISA」は当初18歳になるまで引き出し制限がありました。それより前に払い出すと、さかのぼって課税される仕組みでした。「ジュニアNISA」の廃止に伴い、2024年1月以降は払い出し制限が解除され、何歳でも引き出しが可能となり、課税もされなくなりました。ただ、「ジュニアNISA」の場合は一部の金融商品を売って引き出して使うことはできません。すべての金融商品を売り、口座を廃止する必要があります。

今回のこどもNISAは教育目的での引き出しであれば、口座を廃止することなく、一部の金融商品を売って、引き出しができる見通しです。

総枠は成人NISAと合算して1800万円

成人(1月1日時点で18歳)になると、自動的に同じ金融機関にNISA口座が開設されます。そして、「こどもNISA(未成年者特定累積投資勘定)」と、成人後のつみたて投資枠(特定累積投資勘定)・成長投資枠(特定非課税管理勘定)の簿価の合算額がNISAの非課税保有限度額1800万円を超えない範囲で成人のNISAを利用することになります。こどもNISAで利用した分が上乗せされるわけではなく、1人あたりの総枠は1800万円のままです。

仮に「こどもNISA」の総枠の上限である600万円(簿価)を利用していた場合、成人になって利用できるのは1200万円ということになります。「こどもNISA」で購入した投信を含め、売却した分は翌年以降に枠は復活します。

なお、現状の設計では「こどもNISA」のつみたて投資枠(未成年者特定累積投資勘定)と、成人後のNISAのつみたて投資枠(特定累積投資勘定)は別勘定になる予定です。

【図表】こどもNISAから成人NISAへの移行イメージ
出所:筆者作成

家族全体で資金用途の整理とリスク管理が必要

「こどもNISA」の活用にあたっては、18歳になるまで「災害等」と「教育費」以外の目的では原則引き出せないので、無理のない資金計画を立てる必要があります

・子どもが今、何歳か
・利用する目的は何か
・運用できる期間は何年あるか?
・ほかの口座状況(ジュニアNISA、未成年口座=課税口座)
・保護者の口座状況(NISAなど)

などをまずは整理しましょう。

例えば、お子さんが1歳で、18歳になるまで投資を継続したい(そのまま成人NISAに移行したい)ということなら、長期の運用になりますから、株式に投資をする投資信託を淡々と積み立てていけばよいかもしれません。

教育費を「こどもNISA」だけで賄うのはリスク大

ただし、NISA口座で投資信託の積み立てをするということは投資であり、価格は変動します。過去にも、株式投信を10年積み立ててもマイナス(元本割れ)になることはありました。「こどもNISA」だけですべての教育費を賄おうとするのはリスクがあります。個人向け国債や学資保険、預貯金などと組み合わせて準備することを考えましょう。

あるいは教育費については保護者のNISAの一部を活用し、こどもNISAは成人になるまで運用をし続けるという選択肢もあります。成人NISAはどんな用途でも利用できます。

優先的に引き出した方がいいのは「ジュニアNISA」口座や未成年口座(課税口座)

また、すでにジュニアNISA口座や未成年口座(課税口座)を開設している人のうち、資金が必要になった場合には、制度が恒久化される「こどもNISA」口座で運用していく資産よりも、「ジュニアNISA」口座や未成年口座(課税口座)で運用しているものを売却して引き出すことを検討しましょう。

海外出国時の扱いについては要確認

注意したいのは留学や保護者の海外転勤などで海外に出国する場合です。「ジュニアNISA」では成人向けのNISAと異なり、海外出国時の5年非課税の適用対象外でした(※1)。そのため、海外留学や保護者の転勤などで非居住者となると、「ジュニアNISA」口座内で保有する商品は、一般口座(課税口座)へ払い出されてしまいます。特定口座を開設している場合には一定の手続きを行うことで、帰国時に特定口座に組み入れることも可能です。「こどもNISA」についても同様の措置が取られるのかどうかは、注目しておきたいところです。

スタートは2027年、今から活用法を考えよう

いずれにしても、「こどもNISA」は家族全体で、資金をどう準備するか、使っていくかを考えることが大切です。そのためには、将来の資金需要を予想し長期で運用できるお金で投資する必要があるでしょう。

「こどもNISA」は2027年からスタートする予定なので、将来のライフイベントや予算などを整理して、どのくらい利用するのかを今から考えておくとよいと思います。

(注)2025年12月末に公表された「令和8年度税制改正大綱」を基に作成。記載された情報は変わる可能性もあります。

※1:成人NISAは2019年4月から海外転勤などにより一時的に出国する場合、金融機関に「継続適用届出書」を提出すると最長5年までNISA口座で商品保有が可能(対応は金融機関により異なる)。