先週(12月15日週)の動き:米政府機関閉鎖の影響で内容に難はあるもののFRB利下げ継続観測高まりNY金は最高値更新、国内金価格も最高値更新

先週(12月15日週)のニューヨーク金先物価格(NY金)は取引時間中および終値ベースでの過去最高値を更新した。終値ベースでは12月17日に4,373.9ドルと10月20日に記録していた4,359.4ドルを上回り、12月19日には4,387.3ドルとさらに高値を更新した。前日12月18日には一時4,400ドルを超え4,409.5ドルと10月20日に記録していた取引時間中の過去最高値4,398.0ドルを更新した。週間ベースでは前週末比59.0ドル(1.36%)高で続伸した。レンジは4,297.4~4,409.5ドルで値幅は112.1ドルとなった。3会合連続の利下げとなったFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を受け水準を切り上げた前週の180ドルからは縮小した。

上昇の手掛かりの1つに地政学リスクの高まり

先週(12月15日週)の上昇の手掛かりとなったのはまず、地政学リスクの高まりだった。トランプ米大統領は「ベネズエラに出入りする制裁対象となっている全ての石油タンカーの完全かつ全面的な封鎖を命じる」と、SNSに書き込んだ。同国のマドゥロ大統領率いる政権を「外国テロ組織」に指定するとすでに明らかにしており、この地域で米海軍の展開が進み、地上攻撃の脅威が高まっている。先行して麻薬密輸組織のものとみられる船舶に対する米空軍の攻撃が伝えられていたが、地上攻撃となると危機レベルが上がることになり、金市場の反応が高まった。

主要な経済指標はいずれも利下げを促す内容

また、発表が遅れていた米主要指標がいずれもFRB(米連邦準備理事会)の利下げを促すとみられる内容になったことも、NY金を押し上げた。

12月16日に発表された11月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数(NFP)は6万4000人増で、市場予想の5万人増を上回った。一方、11月の失業率は4.6%と、4年超ぶりの高水準となった。9月の失業率は4.4%だった。失業率は家計調査(聞き取り)に基づくが10月はデータが収集されなかった。統計を巡る混乱を背景に、FRBによる利下げの方向性を大きく覆すものではないと受け止められた。

11月の米消費者物価指数(CPI)は総合指数が前年比2.7%で、3.1%の市場予想を大きく下回った。変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数が前年同月比2.6%上昇と、2021年3月以来の低い伸びとなった。雇用統計と同様に43日間にわたる政府閉鎖により10月のデータが収集できなかったため、いずれも前月比は公表されなかった。今回のインフレ指標は10月データの欠損などノイズが大きいため、FRBの判断に影響を与えることはないとの見方が支配的となった。その一方で、政府の公式データであり、この結果を受けFRBが2026年に少なくとも2回の利下げを実施するとの見方も強まった。

基本的には2026年中にFRBは中立金利(景気を過熱も冷やしもしない金利水準)まで政策金利を引き下げるとの認識が市場で広まっている。

米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁はこの日FOXテレビのインタビューで「たった1ヶ月の数字に過ぎず、単月の結果に過度に頼るのは望ましくないが、良い月だった」と発言。雇用情勢が安定を保ち、インフレ率が物価目標に向けて鈍化の軌道にあるのなら、政策金利を「かなり」の程度引き下げることに異存はないと述べたと伝えられた。

日銀は0.25%利上げで政策金利は30年ぶりの水準に 一方で円安進む

先週(12月15日週)12月19日の国際市場での話題は日銀の利上げだった。日銀は12月19日の金融政策決定会合で0.25%の利上げを決め、政策金利を30年ぶりの高さとなる0.75%に引き上げた。利上げを受けて日本の長期金利は2.023%で終了した。今後の金融政策について日銀の植田総裁は記者会見で、利上げ路線を続ける意向を示した。12月1日には「次の利上げの際には中立金利についての考えを明示する」と述べていたが、12月19日の会見で踏み込んだ発言はなかった。

市場では追加利上げの時期は不透明と受け止められ、主要通貨に対し円が売られた。12月19日NY時間の終盤に米ドル/円は一時157.78円まで上昇し、4週間ぶりの高値を更新し157.75円で終了した。ユーロ/円は184.79円と、過去最高値を更新。スイスフラン/円も197.23円と過去最高値を更新した。英ポンド/円は一時1.36%高の210.96円と、2008年以来の高値を付けた。

欧州通貨に対する円の弱さが際立つというよりも、米ドルが円以外の主要通貨に対し売られ、その米ドルより円が売られる構図になっている。そして国内金価格の押し上げ要因になっている。米ドル/円の円安方向の動きに対し、どこまで容認するか為替介入の有無に市場の関心は高まりそうだ。

国内金価格も最高値を更新

NY金の過去高値更新に加え、米ドル/円相場の円安傾向を受け、先週(12月15日週)の国内金価格も最高値を更新した。大阪取引所の金先物価格(JPX金)は終値ベースで12月15日に2万2055円と10月17日に付けていた最高値2万2030円を更新し、12月19日にはさらに2万2117円と上値追いとなった。一方、取引時間中の高値は2万2241円までで10月20日の2万2288円は超えられなかった。JPX金の週足は前週末比331円(1.52%)高の続伸となった。レンジは2万1652~2万2241円で値幅は589円と前週の491円から拡大した。ちなみに10%の消費税込みで表記される標準的な店頭小売価格も12月18日に2万3961円と過去最高値を更新している。

今週(12月22日週)の動き:2025年歴史的上昇の余勢を買い水準をどこまで切り上げるか注目

今週(12月22日週)の欧米市場はクリスマス休暇に入り全般的に薄商いとなりそうだ。それゆえ逆に金市場はNY金を中心に値動きが大きくなる可能性がある。すでに本日12月22日のアジア時間の取引でNY金は取引時間中の最高値を更新中である。同様にJPX金も最高値を更新している。

米経済指標では遅れて発表される12月23日の7~9月期GDP確定値があるが、注目度は大きくない。全般に2026年を見据えた期待先行のトレードが続くとみられる。年末にかけて意外な高値まで水準を切り上げる可能性もあるが、この時期のポイントはどのような取引具合で終了するかを見る点にあり、具体的なレンジ予想に大きな意味はない。