先週(12月15日週)はS&P500が+0.1%、ナスダック100が+0.59%上昇

先週(12月15日週)の米国株式市場は、週初に一時的なリスクオフが強まったものの、主要株価指数は50日移動平均線を割り込むことなく踏みとどまりました。12月17日(水)に売り圧力が一巡すると、18日(木)・19日(金)には買い戻しが加速し、相場の基調の強さを再確認する形で週を終えています。週間ベースでは、S&P500は+0.1%、ナスダック100は+0.59%の上げとなりました。

週初の下落を主導したのはテクノロジー株、特にAI関連銘柄でした。長期金利が再び上昇したことにより、将来キャッシュフローへの依存度が高いグロース株のバリュエーションが圧迫され、ナスダックは相対的に弱い動きとなりました。加えて、AI株が長期にわたりアウトパフォームしてきたことから、年末を前にした利益確定売りも重なりました。

経済指標を巡る不透明感のなかインフレ指標は改善

市場心理を不安定にしたもう1つの要因は、経済指標を巡る不透明感です。米政府機関閉鎖の影響により、雇用統計や消費関連データには多くの注意書きが付され、投資家が「どの数字をどこまで信頼してよいのか」判断しづらい状況が続きました。このため、FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策を見極めたいという様子見姿勢が強まりました。

こうした不安定な地合いの中で、市場を下支えしたのがインフレ指標の改善です。11月のCPIは総合・コアともに市場予想を下回り、インフレ再燃への警戒感が後退しました。これにより、「FRBが追加利下げを行える余地が広がるのではないか」という期待が浮上し、特に金利感応度の高いナスダック100が週後半にかけて持ち直したのです。

マイクロン・テクノロジー[MU]の好決算が週後半の株価反発のドライバーに

個別銘柄では、12月17日(水)の引け後マイクロン・テクノロジー[MU]が好決算を発表。業績が市場予想を上回り、ガイダンスも引き上げられたことで、AIおよびデータセンター向けメモリ需要の強さが改めて確認されました。株価は18日(木)・19日(金)の二日間で18%上昇。これは半導体セクター全体、さらにはAI関連株のセンチメント改善につながり、週後半の反発のドライバーとなりました。

わずかな買い需要でも株価が押し上げられやすくなる局面

残すところ、2025年の取引日数はあと7営業日となりました。米国株式市場では、クリスマス前後から年末年始にかけて、歴史的に相場が底堅く推移しやすいことが知られています。ファンドマネジャーやトレーダーが休暇に入るこの時期までには、年内のポジション調整(利益確定や損切り)は概ね完了しており、新たに積極的な売りを出す動機が乏しくなるためです。

需給面では「売り手が減り、下がりにくい」環境が整いやすく、わずかな買い需要でも株価が押し上げられやすくなります。2026年に向けてポジションを取り始める動きが年末から出始めても不思議ではないと考えています。