先週(2月2日週)は複数の不安材料が同時進行し「ソフトウェア売り」が連鎖

もし先週(2月2日週)のマーケットを一言で表すなら、「数字以上に怖かった相場」だったと言えるでしょう。週ベースの指数の下落幅は限定的であるにもかかわらず、投資家としてはすでに弱気相場入りしたかのような重苦しさも漂っていました。

先週ダウ工業株価指数は+2.5%上昇し、初の50,000ドルを超えて史上最高値を更新した一方、S&P500は−0.10%の下げ、ナスダック100は−1.87%下落となりました。

先週(2月6日)の時点では、S&P500は史上最高値からわずか1%安、ナスダックでも4.4%安程度にとどまっています。しかし、ここ1週間半のマーケットの動向はベアマーケットのように感じさせられます。新たなFRB人事への不透明感、金や暗号資産の極端な上下動、そしてAIによる産業構造の変化など、複数の不安材料が同時進行したため、実際の数字以上に心理的ダメージが大きかったというわけです。

その不安が最も顕在化したのがテクノロジー、とりわけソフトウェア株でした。生成AIの進化により既存ソフト企業の競争優位が崩れるとの見方が広がり、「ソフトウェア売り」が連鎖。S&P500ソフトウェア指数は1月29日の1日で−7.7%下落。その後もボラティリティの高い値動きをとり、金曜日には+2.4%と戻したものの、週ベースでは先週も−7.7%下落し、ナスダックの下げに大きな影響を与えました。

アマゾン・ドットコム[AMZN]が「好決算でも売られる」典型例に

個別銘柄ではアマゾン・ドットコム[AMZN]の動きが目立っています。決算は売上・需要ともに堅調だったものの、巨額の設備投資計画やクラウド競争激化への警戒から、発表後に株価は急落。1日で5%超下げる場面もあり、「好決算でも売られる」という典型的な期待先行の反動が起こりました。ハイテクの主役銘柄が崩れたことで、市場全体のセンチメントは一段と悪化しました。

さらに暗号資産も急落し、ビットコインやイーサリアムが大幅安。金価格の乱高下も重なり、投機資金の巻き戻しが同時多発的に起きたことで、「リスクオフ一色」の様相が強まりました。

もっとも、売り一辺倒だったわけではありません。ISM製造業景況指数が予想を上回る改善を示すと、米景気の底堅さが再評価され始めます。企業業績も総じて悪くなく、これまで発表済み企業の約8割がEPS予想を上回るなど、ファンダメンタルズ自体は健全です。貴金属や暗号資産が落ち着けば、株式には追い風になるはずで、極端な悲観論は行き過ぎだと思います。

2月6日には相場は全面高に、今週(2月9日週)は2大指標の発表と主要企業の決算発表に注目

悲観的なセンチメントに支配されたマーケットでしたが、2月6日(金)にダウ工業株30種平均が一気に1,200ドル超上昇し、史上初の50,000ドル台に到達。S&P500もこの日約2%高、ナスダック100も2%超反発と全面高となりました。エヌビディア[NVDA]やキャタピラー[CAT]、ゴールドマン・サックス[GS]など幅広い業種が買われ、売られ過ぎたテック株にも買い戻しが入りました。ファンダメンタルズの劇的改善というより、「行き過ぎた不安の修正」という色彩が強く、いわば「安心感ラリー」と言えるでしょう。

今週(2月9日週)はイベントが集中します。発表が延期されていた雇用統計(2月11日)と消費者物価指数(2月13日)というFRB(米連邦準備制度理事会)の政策判断を左右する2大指標が同一週に発表されるほか、約75社の決算発表が予定されています。

コカ・コーラ[KO]、フォード・モーター[F]、シスコシステムズ[CSCO]、マクドナルド[MCD]、アプライド・マテリアルズ[AMAT]など主要企業の決算発表が控えており、業種横断的に企業業績の実態が見えてくるはずです。