データセンターは国の経済安全保障にも欠かせない重要インフラに
デジタル経済が爆発的に成長していることにより、データセンターが前例のないペースで増えている。世界経済フォーラム(WEF)のWebサイトに掲載されているコラム「This is the state of play in the global data center gold rush(世界的なデータセンターの「ゴールドラッシュ」、その現状とは)」と題するコラム(4月24日付)は、データセンターが単なるデジタルインフラではなく、高価値の投資資産でもあり、インターネットとデジタル経済の屋台骨だと指摘している。
コラムによると、現在、世界のデータセンター業界の市場規模は2427億ドル程度と推定されており、2032年までに5840億ドル以上に倍増すると予測されている。アマゾン・ドットコム[AMZN]、アルファベット[GOOGL]、マイクロソフト[MSFT]、メタ・プラットフォームズ[META]といったテック系大企業が先頭に立ち、投資を拡大している。
こうした施設は、世界のインターネットトラフィック(インターネットを通じて送受信される情報)の95%以上を処理していると推定され、数十億人のユーザーにリアルタイムの接続を提供している。また、データセンターは経済的競争力を左右するだけでなく、国の経済安全保障にも欠かせない重要なインフラとなっており、各国政府はデータの主権と管理をますます優先するようになっている。
データセンターの増設で注目される電力、エネルギー需要と原油価格の低迷
AI(人工知能)データセンター等の増設により電力、エネルギー需要が高まることが想定され、関連セクターにも注目が集まっている。その一方で、原油価格は低迷が続いている。米エネルギー情報局(EIA)が12月12日に発表した最新の見通しによるとによると、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は、2025年には平均で1バレルあたり65ドルであったが、2026年には51ドルと予測されており、いずれも2024年の平均77ドルを下回る見通しだ。
原油価格低迷の理由の一つとして挙げられるのが、米国における生産量の増加だ。1990年代から2000年代にかけて米国における石油産出量は低下傾向にあったが、2010年前後のシェール革命と呼ばれる技術革新、パーミアン盆地など世界屈指の掘削地域、資本や制度の環境など、いくつかの好条件が重なったことにより、米国はエネルギーの輸入国から主要産出国、輸出国へと立場が変わった。
米国で期待される石油パイプライン/ミッドストリーム企業とは?
そこで今回は、石油パイプラインを手がける企業を取り上げていこう。
米国市場に上場する石油パイプライン企業は、一般に「ミッドストリーム」と呼ばれる領域(原油、石油製品、天然ガスの輸送、貯蔵、ターミナル)を担う。採掘を行う上流や精製のように原油価格そのものに直接リンクするのではなく、輸送、保管等の手数料(タリフ)を積み上げるインフラ型ビジネスが中心だ。相対的に業績の安定性が高い。
米国株式市場に上場する石油パイプラインを保有、運営する企業には以下のような企業がある。
近年では、インフラ資産の売却やリースバックに加えて、統合や買収などの動きが活発化しており、再編期待もある業界だ。化石燃料に対する一定の需要が維持される限り、パイプラインなどを手がけるインフラには一定の需要が残る可能性が高い。さらに許認可や用地の取得など、新規参入が難しい業界でもある。
多くの場合、パイプライン輸送や貯蔵容量は長期契約によって定められるため、石油、天然ガス等の価格変動の影響を受けにくいとされている。現在のように原油価格が伸び悩む場合、一定の契約見直し圧力もあるだろうが、そうした中でも一定のキャッシュフローを生むことが期待できる。ただし、建設コスト、維持管理コスト、耐用年数を考慮すると資本集約的であり、借入金の負担や固定資産償却が重くなることがある。
データセンターの増設によって、光ケーブルはインターネットやデータ通信を長距離かつ大容量に伝える社会基盤となり、現代の「情報の血管」と呼ばれている。それに対し、石油パイプラインは、原油、石油製品を長距離かつ大量に輸送するエネルギー基盤で、「エネルギーの血管」に例えられる。AIやハイテク一辺倒のポートフォリオに対する現実的な分散先として要注目だ。なお、各社の株価バリュエーションはPER(株価収益率)で12~14倍、高いところで20倍台と出遅れていることにも触れておきたい。
石原順の注目銘柄
