バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]、13四半期連続の売り越しで手元資金は3700億ドル超へ
米投資会社バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]は2月28日、2025年12月末時点の手元キャッシュ(現金同等物に米財務省短期証券の保有額を合わせた広義の手元資金)残高が3733億ドルと、1年前に比べて12%増えたと発表した。2025年10~12月期は上場株の売却額が取得額を上回り、31億6400万ドルの売越しだった。売り越しは13四半期連続となり、自社株買いも行わなかったため、結果として高水準のキャッシュが積み上がっている。
新CEOアベル氏による「株主への手紙」、巨額の現金は「投資撤退の兆候ではない」
2月28日付の日本経済新聞の記事「バークシャー、新CEOが初の『株主への手紙』バフェット流継承宣言」は、2026年1月にCEO(最高経営責任者)に就いたグレッグ・アベル氏が初めて執筆した「株主への手紙」を取り上げている。
手紙の中でアベル氏は、キャッシュの山を「投資待機資金」と表現して「金融市場に嵐が吹き荒れて他者が恐怖に駆られる時でも揺るぎなく投資できる」、事業投資や株式投資を通じて「米国債の保有よりも生産的な事業の所有を常に目指している」として、投資機会を常に模索している姿勢を示した。
アベル氏は株主への手紙の中で、バフェット氏が築き上げた「要塞のようなバランスシートを維持し、バークシャー社の基盤が決して損なわれないようにする」と述べるとともに、バークシャーの現金について「ドライパウダー(手元資金)」と呼び、「バークシャーの回復力を損なうことなく、資本を配分する機会は間違いなく増えるだろう。私の役割は流動性水準と資本配分が意図的かつ計画的であり続けるようにすることだ」と記した。
バークシャーが保有する多額の現金について、投資撤退の兆候だと指摘されてきたことについては「事実ではない」とし、「当社は引き続き多くの投資機会を評価し、株主の利益のために適切な投資機会を追求するために、忍耐強く規律ある姿勢を維持していく」との立ち位置を明らかにした。
※フォーム13F:米国で総額1億ドル以上を運用する大手機関投資家は、四半期ごとにSEC(米証券取引委員会)に、「フォーム13F」と呼ばれる報告書を提出し、保有銘柄を開示することが義務付けられている。これは米国市場に上場する銘柄が対象であるため、バークシャーが保有する日本の総合商社株などは対象外であり、その投資家のポートフォリオ全体を表すものではない。
バークシャーの最新ポートフォリオは?アマゾン・ドットコム[AMZN]を大幅削減
ニューヨーク・タイムズ[NYT]とリバティ・ライブ・ホールディングス・シリーズC[LLYVK]を追加
バークシャーは2025年10-12月期に、リバティ・ライブ・ホールディングス・シリーズC[LLYVK]とニューヨーク・タイムズ[NYT]の2名柄を新たに追加した。バークシャーが保有するニューヨーク・タイムズの評価額は2025年12月末時点で、約3億5200万ドル(約506万株)だった。全売却した銘柄はなかったため、保有株数は前四半期に比べて2名柄増加の39銘柄で、大幅な銘柄の入れ替えはなかった。
一方で、継続的に保有しているものの、持ち高が増減した銘柄はいくつかある。チャブ[CB]やプール[POOL]、シェブロン[CVX]などの保有株数は増加した。シェブロンについては保有株数を約800万株積み増した。同じエネルギーセクターでもオクシデンタル・ペトロリアム[OXY]に関しては株数に変動はなかった。ただし、期間中にオクシデンタルの株価が低迷したこともあり、評価額では7位に後退した。
アップル[AAPL]とバンク・オブ・アメリカ[BAC]の保有株数はそれぞれ約4%と約9%削減した。またアマゾン・ドットコム[AMZN]株に関しては、保有株数の77%相当を売却し、所有株の評価額は2025年9月末の22億ドルから、12月末時点で5億2500万ドルへと急減した。
アルファベット[GOOGL]株は株価上昇で保有評価額もアップ
第3四半期に取得が明らかになったグーグルを傘下に持つアルファベット[GOOGL]株には手を付けなかったものの、期間中に株価が上昇したこともあり、保有評価額は約43億ドルから約56億ドルに膨らんだ。
バークシャーは本格的にアベル体制がスタートした。アベル氏がバフェット氏以上に積極的な資本投下を行う可能性も想定される。3700億ドルを超える巨額の手元資金をどのように運用するのか。AI時代を見据え、鉄道事業やエネルギー部門での経験はどのように活かされるのか。その舵取りが注目される。
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