自民党総裁選後、円安・米ドル高が進行

10月4日の自民党総裁選を受け、米ドル/円相場は週明けの10月6日、2円ほど窓を開けて円安・米ドル高でスタート。総裁選前は10月の日銀金融政策決定会合での利上げ観測がOIS市場で6~7割まで織り込まれ、米ドル/円相場は146円半ばまで円高が進んでいました。しかし、週明けからガラリと景色が変わり、153円台まで円安・米ドル高が進行しています。

高市氏が「金利を今上げるのはアホやと思う」と発言したのは2024年9月の総裁選の頃。現状のインフレ率、金利動向は1年前とは様変わりしていますが、このフレーズのインパクトが大きかったことから、高市氏の総裁選出馬で緩和的政策が長期化するとの思惑が急上昇。日銀の10月利上げ織り込みは20%近くまで低下しました。いわゆる高市トレードで円売りが加速したのです。

しかし、高市氏は10月9日のTV出演で「行き過ぎた円安ということを誘発するつもりはございません」と発言。この瞬間に米ドル/円相場は急落しました。しかしその後米ドル/円相場は反発し、再び153円台を回復しています。市場では高市トレードで155円から160円の円安を見込む向きも出てきていますが、果たしてこれは高市トレードなのでしょうか?

10月以降、反発基調を強める米ドル

10月1日から米政府の一部がシャットダウンされ、これは米ドル安材料だと解説されてきました。確かに先週(9月29日週)まで米ドル/円相場は円高・米ドル安が進行しており、シャットダウンの影響が米ドル売りに繋がったかに見えます。しかしDXY(ドルインデックス)をみると10月以降は米ドルが反発基調を強めており、円だけでなくユーロやポンド、スイスフランなどあらゆる通貨が売られていることに気がつきます。

実は今の米ドル/円の上昇は、円安だけではなく米ドル高も相まっての事象であり、むしろこの材料が今後の米ドル/円相場の牽引役となりそうです。10月9日の高市氏TV出演時の「円安誘発するつもりはない」発言からクロス円の上昇は止まっており、円キャリー取引トレードが活発化している様相にはないのです。

米ドル主軸で動く米ドル/円相場

「現在ヘッジファンドらが2025年末に向け米ドル高継続に賭けたオプションのポジションを構築している」と、10月9日にブルームバーグが報じています。米政府シャットダウンが始まるまでは警戒から米ドル売りが進みましたが、シャットダウンが明ければ米ドルが買い戻されるだろう、ということでしょうか。

「相場は知ったら終い」といいますが、その先を織り込んで動きます。米ドル/円上昇、円安・米ドル高は続きそうです。すでに高市トレードではなく、米ドルが主軸で動いていると仮定するならば、なかなかこのトレンドは終わりそうにありませんね。