米連邦政府の一部閉鎖と市場の反応

・10月1日から予算未成立により連邦政府が一部閉鎖となり、不可欠業務を除く多くの部署で業務停止と職員の一時帰休が発生している。

・投資家心理の悪化は限定的で、主要株価指数は史上最高値を更新。景気減速観測が早期の金融緩和期待につながるとの受け止めが株高要因となっている。

・雇用統計の公表は延期され、民間の雇用データが注目されている。内容は弱めで、先物市場では次回のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ確率が高水準となった。インフレ圧力は残存するが、雇用の冷え込みが明確になれば政策転換の根拠となりやすい。

政府閉鎖の歴史的経緯と過去局面の相場動向

・政府閉鎖は米国では半世紀近く繰り返されてきた政治的なイベントになっている。

・1970年代の新予算制度導入で予算の空白期間が生じ、当初は部分的停滞にとどまったが、1980年の法解釈変更で予算未成立時は職員の原則業務停止・自宅待機が義務化され、本格的な政府閉鎖が繰り返されるようになった。

・1980年代以降に閉鎖は10回発生し、最長は2018年12月~2019年1月の35日間である。

・2018年は減税後の景気過熱、金融引き締めの継続、通商摩擦の激化が重なり10月から株安に。12月は1931年以来の悪化となったが、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ打ち止め観測や悪材料出尽くしを背景に閉鎖開始後の12月後半から反発し、閉鎖期間中にS&P500は約10%上昇、その後5月に向けて回復した。

直近の決算見通しと注目点

・10月13日週から第3四半期決算が本格化し、まず金融機関大手が皮切りとなる。10月末までに指数採用企業の大半が発表予定である。

・S&P500で最大の時価総額を誇るエヌビディア[NVDA]は11月19日に発表予定。

・S&P500のEPS成長率は前年同期比約+7.2~7.3の予想で、前四半期の+10.8%からの減速見通し。ただしマクロは堅調で、予想は慎重に寄っている可能性がある。

・為替は第3四半期のドル指数が概ね横ばいで、前期ほどの押し上げ効果は見込みにくい。関税の影響は前期よりは出てくるのではないか。また、マグニフィセント7のEPSは前期+約28%から今期+約14%予想と減速見通しだが、上振れサプライズの余地は残る。

(※)マグニフィセント7:アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]