米ドル円、中央銀行イベントの結果次第でレンジ相場を抜ける可能性

FOMC、利下げ幅と政策金利見通し(ドット・チャート)の変化に注目

今週の東京株式市場は4日立ち合いの中、日米の金融イベントを消化する窮屈な週となります。9月16日・17日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)では、米8月雇用統計の弱さや2025年3月までの雇用者数の年次ベンチマーク改定が下方修正となった結果などから利下げが確実視され、利下げ幅は0.25%が濃厚です。

そんな織り込みが進む中でも、利下げ幅が0.50%になった場合や、FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドット・チャート)の変化、パウエルFRB議長の会見などが焦点となり、市場の変動要因となります。

日銀会合:現状維持の場合、一時的に円安となり日本市場の下支え要因に

一方、9月18日・19日の日銀金融政策決定会合では政策金利は現状維持の公算が大きい。FOMCの結果に反応する市場の動向次第でもありますが、日銀の金融政策が現状維持なら円安方向に一時的に振れる可能性が高く、株式市場には下支え要因になるとみられます。

FOMCの利下げ幅によっては、日本株には逆風となる可能性も

ただ、FOMCでFRB(連邦準備制度理事会)が0.50%の利下げに踏み切った場合、為替市場では米ドル売り・円買いが強まることが予想され、日本株にとっては逆風(下落)となりかねない。その場合、日銀の金融政策が現状維持でも植田総裁の会見内容(年内の利上げの可能性を否定しないなど)を通じた一段の米ドル安・円高に対する警戒が強まり、日本株は短期筋による仕掛けやポジション調整の売りなどで不安定な場面が増えることも予想されます。

いずれにしても、米ドル円は8月上旬から狭いレンジでもみ合いが続いているため、中銀イベントを通じて、上か下かに強く動き出す可能性があり注意が必要なタイミングです。

米国の10年債利回りと米ドル円、分岐点に近く重要な局面か

月足の米ドル円チャートを一目均衡表の遅行スパン(現在の価格水準を26ヶ月前にずらして描いたラインチャート)といっしょに見ると、ちょうど遅行スパンと当時の価格水準(ローソク足)が接しています。

これは同じような波形で動いている米国の10年債利回りと同じ現象です。両者ともに分岐点に近い、と捉えることができる重要な局面になるかもしれません。特に10月に強く米ドル高・円安になるか、それとも強く米ドル安・円高になるか。その振れた方向に当面トレンドが発生することが予想されます。

10月に強く米ドル高・円安になる場合は、遅行スパンの方が当時の価格水準よりも高い「好転」状態を保てている可能性が高く、当面は米ドル高・円安方向に動きやすい。逆に、10月に強く米ドル安・円高になる場合は、遅行スパンの方が価格水準よりも低い「逆転」状態に変わる可能性が高く、当面は米ドル安・円高方向に動きやすくなるからです。なお、「逆転」となると、2021年5月以来の米ドル安への弱気サインが点灯することになります。

【図表】米ドル/円チャート(月足)、一目均衡表:転換線(橙色)、基準線(紫色)、遅行スパン(緑色)、先行スパン1(赤紫色)、先行スパン2(水色)
出所:マネックス証券ウェブサイト