【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 44,911.26  ▼11.01 (8/14)
NASDAQ: 21,710.67  ▼2.47 (8/14)

1.概況

昨日の米国市場では、主要3指数が高安まちまちとなりました。7月の米PPI(生産者物価指数)が市場予想を大きく上回る伸びを記録したことで、インフレの持続や、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ見通しに対する警戒感から売りが先行しました。ただ、その後は底堅い企業業績なども好感されて、押し目買いが下支えとなり、概ね小動きの展開となりました。

ダウ平均は31ドル安の44,890ドルで取引を開始しました。中ごろには200ドルほど下落する場面がみられるも、売り一巡後は下げ渋りました。取引終了間際に一時上昇に転じましたが、最終的に11ドル安の44,911ドルで取引を終了しました。

ハイテク銘柄比率の高いナスダック総合株価指数は、前日終値である21,713ポイントを境に一進一退での推移となりました。前日に最高値を更新していることから高値警戒感も売り材料となりました。一方で、S&P500株価指数は、1ポイント高の6,468ポイントでこの日の取引を終え、小幅ながら最高値を更新し3日続伸となりました。

2.経済指標等

8月の米PPI(生産者物価指数)は前月比0.9%上昇しました。事前予想(0.3%上昇)と前回の結果(0.0%上昇)を大幅に上回る結果となりました。また、食品とエネルギーを除いたコアPPIも前月比0.9%上昇しました、こちらも予想(0.3%上昇)と前月(0.0%上昇)を上回りました。一方、8月9日までの一週間の新規失業保険申請件数は22万4,000件となり、おおむね市場予想通りとなり、前週比では2,000件減少しました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうちヘルスケアや金融、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービスの4業種が1%未満の上昇となりました。一方、素材や生活必需品、資本財・サービスなどの7業種が1%未満の下落となりました。

4.個別銘柄動向

米国市場では、ダウ平均構成銘柄は30銘柄中12銘柄が上昇となりました。アマゾン・ドットコム[AMZN]が3%近い上昇となり、騰落率トップとなりました。そのほか、マクドナルド[MCD]とジェイピー・モルガン・チェース[JPM]が1%以上上昇しています。

一方で、18銘柄が下落となりました。特にスリーエム[MMM]は2%超下落、ホームデポ[HD]やシスコシステムズ[CSCO]、セールスフォース[CRM]、アイビーエム[IBM]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]など計7銘柄が1%以上の下落となりました。そのほか、シェブロン[CVX]、ウォルト・ディズニー[DIS]、アップル[AAPL]など10銘柄以上が1%未満の下落となっています。

ダウ平均構成銘柄以外では、インテル[INTC]に対しての米政府による財政支援や、株式取得の可能性が報じられたことを受けて、7.0%上昇しました。イーライ・リリー[LLY]は、英国での薬価引き上げ報道が好感され3.6%上昇しました。一方で、ディア[DE]が、第3四半期決算の内容が減収減益となったほか、通期の業績見通しも引き下げたことが嫌気され、6.8%急落しました。高級ブランドのコーチやケイト・スペードを展開するタペストリー[TPR]は関税影響が230億ドルに見込むとし、またそれにより通期業績見通しが、市場予想を下回ったことで売られ、15.7%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は前日比0.05%高い4.28%となりました。15日朝のドル円は、147円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

昨日の米国市場は高安まちまちの結果となりました。昨日発表の経済指標からは、労働市場の底堅さとインフレの加速といったFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測を後退させる内容となりました。

本日の日本市場では午前中に発表される2025年度4~6月期の国内総生産(GDP)の発表が注目されます。前回のマイナス成長からの持ち直しが予想されており日本経済が底堅い成長を示せるかに注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)