東京市場まとめ
1.概況
寄付き前に、トランプ米大統領が日本に対する相互関税率を25%から15%に引き下げることで合意したと伝わったことで、日経平均は414円高の40,189円で取引を開始しました。自動車向けの関税率も15%にするとされ、ここまで売りが優勢であった輸送機器に見直し買いが入りました。上昇基調で推移した日経平均は1,278円高の41,053円で前引けとなりました。
後場も勢いを落とすことなく、上げ幅を拡大する展開となりました。14時51分に1,567円高の41,342円をつけ本日の高値を更新しました。その後も高値圏で推移した日経平均は最終的に1,396円高の41,171円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が続伸、1.9%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
トヨタ自動車(7203)は14.3%高の2,854.5円をつけ3日ぶりに大幅反発となりました。トランプ米大統領が日本に対する相互関税を25%から15%に引き下げるとしたことで、これまでコスト増要因とされていた関税負担の軽減につながるとの見方からポジティブサプライズとなり、自動車セクター全般に買いが入りました。本田技研工業(7267)は11.1%高、マツダ(7261)はストップ高水準となる17.8%高となりました。
IHI(7013)は3.7%安の15,545円をつけ反落となりました。前日の米国市場では、防衛大手のロッキード・マーチン[LMT]の4~6月期決算が大幅減益であったことから株価は大幅安となり、それを受けて航空・宇宙・防衛事業が営業利益の大半を占める同社にも連想売りが出ました。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は4.9%高の2,097.5円をつけ大幅続伸となりました。米関税政策を巡る不確実性の後退で日銀が利上げに動きやすくなるとの見方から、利ザヤ改善による業績押し上げを期待した買いが優勢となりました。
業務スーパーを運営する神戸物産(3038)は1.9%安の4,145円をつけ3日続落となりました。6月の売上高が前年同月比6.2%増の451億円だったと発表し、売上高の伸び率が2024年11月以来の低水準となったことが嫌気され、売りが優勢となりました。
米穀の専門商社である木徳神糧(2700)は4.7%安の2,088円をつけ反落となりました。トランプ米大統領が日本への相互関税を15%と発表した一方で、米国からの米などの農産品の市場開放を約束したとされ、輸入米の増加でコメ価格が下落するとの見方から同社株の売りが出ました。
VIEW POINT: 明日への視点
関税交渉の合意がサプライズとなり、日経平均は大幅高となりました。ここまで関税による業績懸念から、敬遠されてきた自動車セクターなどに買いが入り、市場のセンチメントも上向きとなった印象です。
明日に向けて、米テック大手の決算発表に注目が集まります。アルファベット[GOOGL]とテスラ[TSLA]が控えるほか、Tモバイル[TMUS]やエーティー・アンド・ティー[T]、アイビーエム[IBM]など主要銘柄の決算発表も予定されています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
