現在のファンダメンタルズ:短期的には米金利上昇による米ドル買いの動きに
先週(7月14日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 146.851円~149.181円 148.834円
・ユーロ/米ドル:1.15564ドル~1.17213ドル 1.16225ドル
・ユーロ/円: 171.693円~173.242円 172.994円
先週(7月14日週)の米ドル/円:6月23日以来の円安水準
先週(7月14日週)は、週前半は米国インフレ関連指標に反応した米ドル/円の上げとパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長解任騒ぎによる下げ、週後半は参院選に向けて与党過半数割れ思惑から海外勢を中心とした円売りの動きが目立ちました。
7月15日に発表された米国6月CPIはほぼ予想通りで、発表直後こそ米ドル売りで反応したものの、5月に発表された4月CPIで底打ち後は着実に上昇してきていることから米金利が上昇、それに伴い米ドル/円も上昇し149円台乗せの動きにつながりました。
翌7月16日の東京早朝には米10年債利回りは4.495%まで上昇、米ドル/円も東京昼過ぎには149.181円と4月3日以来の高値をつけました。しかしNY市場では米国PPIが予想よりも低かったことから米金利が低下、149円台を目先の高値に調整が入っていたところにホワイトハウスでトランプ米大統領が共和党議員にパウエルFRB議長解任の打診をしたとのニュースに米ドル/円は急落。週間安値となる146.851円をつけました。その後、トランプ米大統領が「議長解任の予定は無い」としたことで急速に値を戻し、7月17日には改めて149円台をトライしました。
日経平均株価が強かったことと、7月20日参院選で与党が過半数割れするとの見方から円売りが強まった動きと言えますが、個人的には149円台での上値の重さの方が印象に残った気がします。なお、参院選は事前予想通り与党過半数割れとなり、7月21日早朝市場では利食いの円買い戻しも出ていましたが、東京市場が休場ということもあり、荒っぽい値動きとなりました。
先週(7月14日週)のユーロ/米ドル:高値更新後の踊り場局面入り
先週(7月14日週)のユーロ/米ドルは、前週(7月7日週)末にトランプ米大統領がEUの新関税率を30%と発表したことからユーロ/米ドルの上値が重いスタートを切りました。米国CPI後の米ドル買いの動き、翌日(7月16日)もパウエル議長解任騒ぎまではユーロは水準を切り下げ1.15ドル台後半へと入り込んでいましたが、議長解任騒ぎによる米ドル売りの動きから週間高値となる1.17213ドルへと急反騰を見せました。
しかし、その後は米ドル/円同様に急速に値を下げ、7月17日には週間安値の1.15564ドルをつけています。7月18日には1.16ドル台後半まで戻していましたが、トランプ米大統領の「EUに対しての関税は最低15~20%になる」との発言を受け、引けにかけては1.16ドル台前半へと押して1週間を終えています。
なおユーロ/円は、週前半はじり高の流れを続け173.242円の高値をつけた後、パウエル議長解任騒ぎで172円割れ、しかし週初安値をトライしきれず、その後はあらためて買いの動きが強まり173円近くに戻して引けました。
米ドル/円チャート(週足)、移動平均線連続2週上抜け確定
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、前週に20週移動平均線(赤)を上抜けての週末クローズに続いて7月18日の終値も20週移動平均線を上抜けて引けました(図表1)。つまり2週連続で移動平均線を上回って引けたことから、長期的に米ドル高・円安トレンドに転換したという判断になります。トライアングル(黄色)を明確に上抜けてきたことも米ドル高・円安トレンドを強化する材料です。
日足チャートもご覧ください。
米ドル/円チャート(日足)、新たなゴールデン・クロスの発生を待ちたいところ
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
移動平均線とトライアングル、2つの米ドル/円上昇トレンドですが、日足チャートでは7月3日に点灯したゴールデン・クロス状態が続いています。やや狭く急角度ではありますが、ユーロ/円で息の長い上昇トレンドが続いた例もありますので、平行上昇チャンネル(青)も引いてみました。
現状149円台での上値が重く感じられ、この平行チャンネルの下限に近いため、保守的には次のデッド・クロスを待った上で新たなゴールデン・クロスの発生を待ちたいところです。ただ上述の通り、ユーロ/円の例もありますので、値頃感での売りはやめておいたほうがよさそうです。
ユーロ/米ドルは買いトレンド継続、上昇ウェッジ内での動きか
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持していますが、調整局面入りは続いています。あらたに上昇ウェッジ(黄色)を引き、当面はこの中での動きが続くのか、あるいは下抜けしていくのかを見守る週となりそうです。
日足チャート(図表4)では7月7日にデッド・クロスが点灯して以降その流れが続いていますが、3月下旬からのサポートライン(青)とレジスタンスラインとの平行上昇チャンネル下限に接近してきたことから、ここで下げ止まるかどうか、米欧間の関税協議次第という感じではありますが、テクニカルにも不明瞭な水準となっています。
ユーロ/円の長期トレンド、ユーロ買い継続もそろそろ調整入りか?
次にユーロ/円のチャートです。
ユーロ/円週足では、移動平均線よりも上での動きも、年初来安値からのサポートラインとそれに平行に引いたラインとの平行上昇チャンネル(黄)の中での上昇が長く継続しています。テクニカルでは変化が出てからの判断となりますので、警戒しつつも現状はユーロ高トレンド継続中となります(図表5)。
日足チャート(図表6)では相変わらず5月26日のゴールデン・クロス状態が続いています。「さすがにそろそろ調整が入ってもおかしくない」と2週間ほど続けて書いています。しかし、先週は上昇チャンネルを下抜き始め、上昇角度も緩やかになってきています。次のデッド・クロスは思いの外大きい流れになる可能性にも注意が必要でしょう。
それでは今週も良いトレードを!
