【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 42,322.75 △271.69 (5/15)
NASDAQ: 19,112.32 ▼34.49 (5/15)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数は小幅に高安まちまちとなりました。ウォルマート[WMT]などの小売企業が関税の影響に対する懸念を表明したことが相場の重しとなったほか、米当局が不正の疑いで捜査を進めているとの報道を受け、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が10%以上の大幅安となり、指数を押し下げました。一方で、昨日発表された小売売上高が前月から大きく低下したものの市場予想を上回ったことで、景気減速懸念がやや緩和したほか、生産者物価指数(PPI)も予想外に低下し、関税によるインフレ懸念が後退しました。これを受け、米長期金利が低下し、株式市場に買いが広がりました。
ダウ平均は273ドル安の41,777ドルで寄付くと、始値がこの日安値となり、その後は取引終盤にかけて買いが優勢の展開となりました。取引終盤には一時300ドル高まで上昇する場面も見られ、最終的に271ドル高の42,322ドルと高値圏で取引を終え、3日ぶりに反発となりました。また、S&P500株価指数も24ポイント高の5,916ポイントで取引を終え、小幅に4日続伸しています。
一方で、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は34ポイント安の19,112ポイントで取引を終え、7日ぶりに小反落となりました。
2.経済指標等
4月の米小売売上高は前月比0.1%増となり、市場予想(0.0%)を上回ったものの前月の1.7%増からは大きく低下しました。また、自動車を除くコア指数は0.1%増となり、市場予想(0.4%増)を下回りました。4月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.5%低下となり、市場予想(0.3%増)と前回結果(0.0%)を下回りました。食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.4%低下となり、こちらも市場予想(0.2%増)と前回結果(0.4%増)を下回りました。5月のニューヨーク連銀製造業景気指数はマイナス9.2となり、前月と市場予想を下回りました。5月のフィラデルフィア連銀景況指数は前月から22.4ポイント上昇のマイナス4.0となり、市場予想を上回りました。先週の新規失業保険申請件数は前週からほぼ横ばいの22万9,000件となり、市場予想どおりとなりました。4月の米鉱工業生産指数は前月比横ばいとなり、市場予想(0.1%増)をやや下回りました。設備稼働率は77.7%となり、市場予想(78.0%)を下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は、全11業種のうち8業種が上昇となり、特に公益事業と生活必需品は2%以上上昇しました。また、不動産やヘルスケア、素材、資本財・サービスも1%以上上昇しています。一方で、一般消費財・サービスやコミュニケーション・サービス、情報技術の3業種は1%未満の下落となりました。
4.個別銘柄動向
昨日の米国市場では、ダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が上昇となりました。シスコシステムズ[CSCO]が4%超上昇したほか、アムジェン[AMGN]とコカコーラ[KO]、アイビーエム[IBM]、トラベラーズ・カンパニーズ[TRV]が3%超上昇しました。その他、シャーウィンウィリアムズ[SHW]やプロクター・アンド・ギャンブル[PG]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、ハネウェル・インターナショナル[HON]、マクドナルド[MCD]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]が2%超上昇しています。一方で、7銘柄が下落となり、特にユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が10%超下落しました。米司法省が、同社についてメディケア(高齢者向け公的医療保険)事業で不正行為の疑いがあるとして捜査していると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが14日に報じたことが嫌気されています。その他、アマゾン・ドットコム[AMZN]が2%超下落しています。
ダウ平均構成銘柄以外では、感染予防を重視した医療機器・サービスを提供するステリス[STE]が、8.5%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。同社は、2025年3月通期の決算で増収、営業増益となったほか、通期配当を前期から0.20ドル多い2.23ドルへ増配することが好感されています。また、農業機械メーカー大手のディア[DE]は、第2四半期決算で、売上高、EPS(1株当たり純利益)ともに市場予想を上回ったほか、ガイダンスにて通期の純利益の見通しを下方修正したものの、懸念されていたよりも悲惨ではないとの評価から、株価は3.8%上昇しました。
一方で、メタ・プラットフォームズ[META]は、主力の人工知能(AI)モデル「Behemoth」の開発が遅れているとの報道を受け、2.3%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.11%低い4.43 %で取引を終えました。ドル円は、145円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場で主要3指数が小幅に高安まちまちとなったことを受け、本日の日本市場は小動きでのスタートが予想されます。日経平均は、昨日の大幅安を受けて自律反発を狙った買いが入ることが期待される一方、外国為替市場での円高基調が引き続き外需株の重荷となりそうです。また、昨日決算発表を行った三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)やみずほフィナンシャルグループ(8411)などの値動きに注目が集まります。
昨日で国内主要企業の決算発表も大方一巡しましたが、本日はフジ・メディア・ホールディングス(4676)や東映アニメーション(4816)など11社の決算が予定されています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)