【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 42,140.43 ▼269.67 (5/13)
NASDAQ: 19,010.09 △301.74 (5/13)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数は高安まちまちとなりました。CEO(最高経営責任者)の交代と収益見通しの撤回を発表したユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が17.8%下落の大幅安となり、ダウ平均を400ドル分押し下げました。一方で、4月のCPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことで、関税によるインフレ懸念が緩和する中、エヌビディア[NVDA]などハイテク株が指数の支えとなりました。
ダウ平均は97ドル高の42,507ドルで取引を開始しましたが、始値がこの日の高値となり、その後は終始軟調な推移が続きました。取引終盤にかけて下げ幅を広げ、一時は278ドル安の42,132ドルまで下落しました。最終的には269ドル安の42,140ドルと安値圏で取引を終え、反落しました。
一方で、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は301ポイント(1.6%)高の19,010ポイントで取引を終え、5日続伸となりました。S&P500株価指数も42ポイント(0.7%)高の5,886ポイントで取引を終え、続伸しました。
2.経済指標等
4月の米CPI(消費者物価指数)は、前年同月比2.3%上昇となり、市場予想と前回結果(ともに2.4%上昇)を下回ってインフレ鈍化を示しました。前月比ベースでみても、0.2%上昇となり、市場予想の0.3%上昇を下回っています。また、変動の大きいエネルギーと食品を除いたコアCPIは、前年同月比2.8%上昇となり、市場予想と前回結果と一致しました。前月比ベースでは、0.2%上昇となり、前月の0.1%上昇からは加速したものの、市場予想の0.3%上昇は下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は、全11業種のうち6業種が上昇となりました。特に情報技術が2%超上昇したほか、一般消費財・サービスやエネルギー、コミュニケーション・サービスが1%超上昇しました。一方で、5業種が下落となり、特にヘルスケアは3%近く下落しました。また、不動産と生活必需品も1%超下落しています。
4.個別銘柄動向
昨日の米国市場では、ダウ平均構成銘柄は全30銘柄中15銘柄が上昇しました。特に、エヌビディアは、サウジアラビアの政府系ファンド傘下の人工知能(AI)関連企業と提携したと発表したことが好感され、5%超上昇しました。また、キャタピラー[CAT]やボーイング[BA]、ゴールドマン・サックス[GS]が2%超上昇したほか、アイビーエム[IBM]やアマゾン・ドットコム[AMZN]、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]、アメリカン・エキスプレス[AXP]、アップル[AAPL]が1%超上昇しました。一方で、15銘柄が下落となり、特にユナイテッドヘルス・グループ[UNH]は、CEOの交代とあわせて、2025年12月期通期の収益見通しを取り下げたことが嫌気され、17.8%下落の大幅安となりました。また、メルク[MRK]が4%以上下落したほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]は3%以上下落、アムジェン[AMGN]やプロクター・アンド・ギャンブル[PG]、トラベラーズ・カンパニーズ[TRV]、マクドナルド[MCD]は1%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、太陽光発電モジュールのファースト・ソーラー[FSLR]が22.7%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。同社は、米国の予算調整法案が太陽光、風力、地熱の各企業に対する投資家の期待を上回る内容となったことが好感されています。また、暗号資産取引プラットフォームを提供するコインベース[COIN]が、S&P500株価指数の構成銘柄に採用されると発表されたことを受け、24.0%上昇しました。
そのほか、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は8,1%上昇、テスラ[TSLA]とブロードコム[AVGO]は4.9%上昇、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]は4.0%上昇、メタ・プラットフォームズ[META]とネットフリックス[NFLX]は2.6%上昇となりました。
一方で、ユナイテッドヘルス・グループの大幅安を受けて、医療保険関連銘柄も連れ安となり、ヒューマナ[HUM]は9.5%安、シーブイエス・ヘルス[CVS]は6.7%安、モリーナ・ヘルスケア[MOH]は5.3%安となりました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.01%低い4.46 %で取引を終えました。ドル円は、147円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場では、ユナイテッドヘルス・グループが17.8%下落したことでダウ平均こそ反落となりましたが、エヌビディアが5%超上昇するなどハイテク株が支えとなり、ナスダック総合株価指数とS&P500株価指数は続伸となりました。米ハイテク株高を受けて、本日の日本市場でも半導体関連株などを中心に買いが先行すると見込まれ、上昇してのスタートが予想されます。
また、本日も国内では決算発表が相次ぐ予定で、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、楽天グループ(4755)、KDDI(9433)などの決算が予定されています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)