東京市場まとめ

1.概況

先週末の米国市場でハイテク株を中心に上昇した流れを引き継ぎ、日本市場でも買いが先行しました。日経平均は257円高で寄付くと、上げ幅を広げ一時は369円高の36,075円を付ける場面も見られました。節目の3万6000円台を付けるのは、取引時間中としては4月1日以来約1ヶ月ぶりです。しかし、その後は上値も徐々に重くなり、前場は182円高の35,887円と、3万6000円を下回って取引を終えました。

後場は117円高の35,823円で寄付きました。その後は、30日に赤沢亮正経済財政・再生相が訪米しベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議が開かれることを控え、様子見ムードが広がったことから、じりじりと横ばいの展開となりました。最終的に134円高の35,839円で取引を終え、4日続伸となりました。

新興市場では東証グロース250指数が0.6%高と、続伸しています。

2.個別銘柄等

信越化学工業(4063)は、一時8.9%高の4,405円を付け、4日続伸しました。同社としては過去最大となる、発行済み株式総数(自己株式を除く)の10.2%にあたる2億株、5,000億円を上限に自社株買いを実施すると発表したことが好感されています。なお、同時に発表した2025年3月期連結決算では、売上高が前期比6.1%増の2兆5,612億円、営業利益が同5.9%増の7,421億500万円となりました。また、2026年3月期の業績予想は非開示とし、第1四半期の見通しのみを開示し、売上高は前年同期比2.0%増の6,100億円、営業利益は同13.1%減の1,660億円としています。

日本経済新聞電子版が28日、「米政府が造船業を巡り日本に安全保障と経済の両面で協力を求めていることが分かった」と報じると、造船関連株が急騰しました。三井E&S(7003)は10.1%高、名村造船所(7014)は16.5%高、内海造船(7018)は14.3%高、ジャパンエンジンコーポレーション(6016)は14.7%高となりました。

また、防衛関連も買われ、三菱重工業(7011)は2.4%高、川崎重工業(7012)は1.1%高、IHI(7013)は2.7%高となりました。

豊田自動織機(6201)は、ストップ高となる22.7%高の16,225円を付け、大幅続伸しました。22日、日本経済新聞電子版が25日夜に「豊田織が株式非公開化を検討していることがわかった」と報じたことをきっかけに、一定のプレミアム(上乗せ幅)を乗せたTOB(株式公開買い付け)をにらんだ買いが広がっています。報道によると、トヨタ自動車(7203)などが出資する特別目的会社(SPC)を立ち上げ、豊田自動織機に対してTOBを実施して買収する案が浮上しています。なお、これを受け、トヨタ自動車は3.6%上昇しています。

アステラス製薬(4503)は、一時5.8%高の1,462円を付け、続伸となりました。25日の取引終了後に2025年3月期連結決算を発表し、売上高は前の期比19.2%増の1兆9,123億円、営業利益は同60.8%増の410億3,900万円となり、市場予想を上回りました。また、2026年3月期の売上高は前期比0.9%増の1兆9,300億円、営業利益は同289.9%増の1,600億円の予想を開示したほか、増配見通しも公表し、好感した買いが入っています。

一方で、アドバンテスト(6857)は、一時5.8%安の5,654円を付け、4日ぶりに反落しました。25日の取引終了後に、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比11%増の1,790億円になる見通しだと発表しましたが、市場予想を大幅に下回り、嫌気した売りが広がりました。

さくらインターネット(3778)は、10.9%安の3,355円で取引を終え、4日ぶりに反落しました。28日の前引け後に2025年3月期の決算を発表し、営業利益は41.5億円で前期比4.7倍となり、市場予想を上振れしたものの、2026年3月期は38億円で同8.3%減と一転減益の見通しを示し、減益見通しを嫌気した売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

先週末の米国市場でハイテク株を中心に上昇した流れを引き継ぎ、本日の日本市場も4日続伸となりました。一方、30日に赤沢亮正経済財政・再生相が訪米し、ベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目の協議が控えていることから、様子見ムードも強く、上値は重い展開となりました。

このほか今週は、30日~5月1日に日銀金融政策決定会合が開催されるほか、日米で月末・月初の主要経済指標の発表が相次ぐ予定で、各種結果に注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)