現在、米国経済は転換期を迎えています。トランプ政権が4月2日に発動した「相互関税」は貿易相手国との摩擦を激化させ、実体経済への影響が意識されるようになっています。IMF(国際通貨基金)は、これらの関税措置がサプライチェーンに打撃を与える「供給ショック」を引き起こし、インフレを高進させる一方で、生産性を抑制すると指摘し、米国の実質GDP成長率見通しは、2025年が1.8%、2026年が1.7%と、それぞれ前回から0.9ポイント、0.4ポイント下方修正されました。

このように相場の先行きが不透明になるなかで注目されるのが、「財務体質の強さ」と「安定した収益力」を兼ね備えた企業群です。特に、財務指標の健全性が高い企業は、景気の逆風に耐えうる余力があり、業績や株価の下方耐性にも期待がもてます。

そこで今回は、自己資本比率75%以上、流動比率200%以上、インタレストカバレッジレシオ5倍以上、そして過去5年平均ROE(自己資本利益率)が15%以上という4つの条件を満たす、米国株を抽出してみました。

このフィルタリングを通過した企業には、ファスナル[FAST]、モンスター・ビバレッジ[MNST]、グレーコ[GGG]、テラダイン[TER]、ユナイテッド・セラピューティクス[UTHR]、マーケットアクセス・ホールディングス[MKTX]などが名を連ねています。いずれも、自己資本による資金調達が多く、手元資金の厚さや債務返済能力に優れた、まさに「守りの強さ」と「攻めの効率性」を兼ね備えた銘柄群と言えます。

企業ごとの詳細な事業内容は異なりますが、例えばモンスター・ビバレッジは景気に左右されにくい嗜好品としての需要を背景に高い利益率を維持しており、ファスナルは景気循環に左右されがちな工業資材市場においても、安定した顧客基盤と営業キャッシュフローを武器に成長を継続しています。

概してこれらの優良企業はバリュエーションが高く付いていることが多く、バリュエーションの観点から割高じゃないかの確認が必要ですが、マクロ経済環境に不安要素がある今、「財務の堅牢さ」や「高い資本効率性」に注目し、リスク耐性の高い企業を選ぶことで、ポートフォリオ全体の安定性向上に寄与すると言えるでしょう。

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