モトリーフール米国本社 – 2026年6月8日 投稿記事より
大型IPOから間接的な恩恵を受ける企業
スペースXは2026年6月12日にNASDAQに上場する予定で、史上最大規模の新規株式公開(IPO)となる可能性があります。
歴史を振り返ると、大型IPOから恩恵を受けるのは、必ずしも上場する企業そのものだけではありません。例えば、人工知能(AI)ブームの象徴となったエヌビディア[NVDA]が良い例です。同社の急成長に伴い、バーティブ・ホールディングス[VRT]、アリスタ・ネットワークス[ANET]、スーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI]といった、AIインフラ投資の間接的な恩恵を受ける企業(二次的受益者)も大きな成功を収めました。
次のエヌビディア相場を探せ、スペースXIPOの恩恵を受ける銘柄は
スペースXのIPOも同様の効果をもたらす可能性が高く、ロケット打ち上げサービス、人工衛星技術、通信インフラに関わる、より小規模な宇宙関連企業に資金が流入すると予想されます。ここでは、注目すべき3銘柄をご紹介します。
ロケット・ラブ[RKLB]
宇宙経済における複数のセグメントで事業を展開
株式市場においてスペースXの「代替銘柄」となり得る企業があるとすれば、それはロケット・ラブ[RKLB]です。ロケット・ラブは小規模なロケット打ち上げ事業者としてスタートしましたが、現在では宇宙経済における複数のセグメントで事業を展開しています。同社はロケットの打ち上げ、人工衛星の製造、宇宙船部品の生産を行っており、さらに将来の民間・政府ミッションに向けて、より大型の「Neutron」ロケット(液体酸素と液体メタンを燃料とする部分再利用可能なロケット)の開発も進めています。
打ち上げサービスにおいてはスペースXが圧倒的なシェアを握っていますが、打ち上げ能力と人工衛星製造能力を併せ持ち、さらに売上高を伸ばしている「もう一つの上場企業」を求める投資家の動きが広がる可能性があります。ロケット・ラブはまさにその条件を備えています。
過去最高の受注残高を更新中
2025年、ロケット・ラブは約6億200万ドルの過去最高となる売上高を計上し、前年同期比38%増となりました。また、同社は2025年末時点で過去最高となる18億5,000万ドルの受注残高を有しており、将来の事業に対する高い見通しを確保しています。
この勢いは2026年も続いています。第1四半期において、ロケット・ラブは過去最高となる2億ドルの売上高を計上し、売上高、売上総利益率、調整後EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)のすべてで経営陣のガイダンスを上回りました。さらに、同社は四半期末時点で20億ドルを超える過去最高の受注残高を達成しました。
もちろん、これはロケット・ラブが次のスペースXになることを意味するわけではありませんし、そうなる必要もないでしょう。同社の時価総額がまだスペースXの想定評価額のごく一部にすぎないため、投資家の関心がわずかに高まるだけでも、株価に大きな影響を与える可能性があります。
レッドワイヤー[RDW]
レッドワイヤー[RDW]は、宇宙産業への投資における新たなアプローチを提示しています。同社はロケットそのものに注力するのではなく、宇宙ミッションを可能にするための数多くの技術を開発しています。その製品には、太陽電池アレイ(ソーラーパネル)、センサー、航空電子機器、ロボットシステムなどがあり、民間企業や政府機関、防衛分野の顧客向けに各種コンポーネントを提供しています。レッドワイヤーは、より広範な宇宙エコシステムを支えるサプライヤーとして捉えることができます。
同社は2025年に約3億3,500万ドルの売上高を計上し、人工衛星インフラ、国家安全保障プログラム、民間宇宙プロジェクトにおける存在感を拡大し続けています。
2026年第1四半期には、レッドワイヤーは9,700万ドルの売上高を計上し、さらに過去最高となる4億9,810万ドルの受注残高を記録しました。
ASTスペースモバイル[ASTS]
一般的なスマートフォンに直接接続できる衛星ネットワークを構築することが目標
ASTスペースモバイル[ASTS](以下、AST)は、今回挙げた中で最もリスクの高い銘柄です。同社はまだ、継続的なグローバルサービスを提供できる本格的な商業衛星コンステレーションを展開していないためです。
とはいえ、最も大きな上昇余地を秘めている銘柄でもあります。同社の目標は、専用のハードウェアを必要とせず、一般的なスマートフォンに直接接続できる衛星ネットワークを構築することです。これが成功すれば、対象市場は非常に巨大なものとなります。
衛星通信事業に対する評価が追い風になるか
世界の無線通信サービスの売上高は年間1兆ドルを超えており、ASTはその市場のごく一部を獲得するだけでも大きな価値を生み出すことができます。仮に同社が将来的に5,000万人のユーザーから1人当たり月額5ドルを売り上げることができれば、それだけで年間約30億ドルの売上高になります。ユーザー数が1億人に達すれば、年間売上高は60億ドルに迫ります。
そして重要なのは、ASTがすでにAT&T[T]、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、ボーダフォングループ[VOD]、楽天(4755)を含む、30億人以上の加入者を抱える通信事業者と契約を締結していることです。
しかし、スペースXのIPOという文脈においてASTが特に興味深い理由は、「Starlink」にあります。市場はStarlinkをスペースXの最も価値の高い資産の一つと見なしています。スペースXが上場すれば、衛星通信事業に対する市場評価がより明確になる可能性があります。投資家が同じ長期トレンドに投資するための別の投資機会を模索する中、これはASTにとって追い風となる可能性があります。
スペースXのIPOがもたらす「ハロー効果」に期待
ロケット・ラブ、レッドワイヤー、ASTスペースモバイルの株価が必ず2倍になる保証はありません。しかし、大型IPOはしばしば、上場する企業そのものを超えて広がる「ハロー効果(波及効果)」を生み出します。
スペースXは、民間宇宙分野における支配的な存在となっています。同社の株式公開は、新たな投資家をこの分野に呼び込み、さらにロケット打ち上げサービス、人工衛星インフラ、通信、宇宙技術に関連する、より小規模な企業への投資を促す可能性があります。
上記3企業はいずれも、この宇宙エコシステムの異なる領域への投資機会を投資家に提供しています。
そして、もしスペースXのIPOが宇宙経済全体への熱狂的な投資ブームを引き起こすのであれば、これら3社すべてが、スペースXそのものをはるかに超えて広がる投資家の注目から恩恵を受ける可能性があります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jeff Siegelは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、ASTスペースモバイル、アリスタ・ネットワークス、エヌビディア、ロケット・ラブ、ならびにバーティブ・ホールディングスの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。
