現在のファンダメンタルズ:関税協議の行方と為替調整の思惑と
先週(4月14日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 141.611円~144.080円 142.178円
・ユーロ/米ドル:1.12643ドル~1.14241ドル 1.13941ドル
・ユーロ/円: 161.251円~163.284円 161.959円
先週(4月14日週)の米ドル/円:日米関税協議はやや肩透かし
先週(4月14日週)は、世界で最初の関税協議となる日米関税協議が4月16日(日本時間17日朝)に行われることから、その日にむけて米ドル安バイアスがかかりやすい週となりました。当初、PCとスマホが関税の対象外と発表されたことを受け、週初は株高と円安でスタートを切ったもののすぐに反落。NY市場で改めて米ドル買いが入った144.080円が週間高値となり、その後は着実に水準を切り下げる動きを見せました。
日本時間4月17日に行われた日米関税協議は、日本側から事前に拙速な合意とはならないことが示されていたこともあり、早朝に週間安値141.611円をつけた後は買い戻しが目立ちました。しかし、今後も早い段階で協議が重ねられる予定で、主要国の中では最初に結果が出ることも確実視されていることから、戻り局面では米ドル売りが出やすい地合いは変わっていません。
週末はイースター休暇で欧米の市場が休場となったことから、4月18日の米ドル/円値幅は35銭にとどまり年初来で最低の値幅となりました。イースターは欧州の主要市場が休場となりクリスマスと並んで流動性が低下するため、何もなければ18日のように静かな動きとなります。しかし、週明け4月21日の早朝市場では日米財務相会議が4月24日に開催されるとのニュースを受け円高に振れてスタートしています。
4月17日の日米関税協議はやや肩透かしであったものの、日米間の関税協議の結果は比較的早い段階で出てくるであろうこと、また4月23~24日のG20財務相会議にあわせて開かれる日米財務相会談において為替調整の話が行われるかもしれないとの憶測も根強く、引き続き米ドル/円は140円の大台を試しに行くという流れは変わらなそうです。
先週(4月14日週)のユーロ/米ドル:前週急騰後の調整局面
先週(4月14日週)のユーロ/米ドルは、前週11日に一時1.14729ドルと2022年2月以来の高値をつけた後ということもあって高値圏での調整局面入りとなりました。1.13ドル割れの買いと1.14ドル超えの売りとに挟まれ1.13ドル台半ばから後半でのもみあいに終始しました。
日米関税協議が最大の注目となったことで、その結果を待った上で米ドル/円に動きがあればユーロ/米ドルでも追随という参加者が多かったことに加え、イースター休暇で4月18日から21日まで欧州市場が休場となるため、ユーロ関連の取引が手控えられたということも大きかったと見られます。
ECB(欧州中央銀行)理事会では大方の予想通り0.25%の利下げが実施されましたが、こちらはほぼ無風通過で22日からのイースター休暇明けまでは動きたくないという市場となっていた様子です。
米ドル/円チャート(週足):下降トレンドを継続、チャンネル下限も下抜けか
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開と年初来高値からのレジスタンスライン(青)とそれに平行なライン内での動きを継続中でしたが、後者の平行ラインの下側のラインをまさに下抜けようという動きになってきました(図表1)。週明け21日早朝の米ドル/円が円高に振れるスタートを切ってきたこともあり、今週(4月21日週)はこのチャンネルを明確に下抜けるかどうかが長期チャートの注目点となります。
週初の段階では下ヒゲでのトライで終わる可能性もあるため、週末のクローズを見ないと明確な判断はできないものの、このラインを下回ってくる場合には2024年9月安値への100%押し139.575円がターゲットとなりますので、大台140円を視野に入れる流れになって行きます。
米ドル/円チャート(日足):4月11日のデッド・クロス状態が続く
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートでは、移動平均線が下げ方向で推移する中で4月11日に発生したデッド・クロス状態が続いていますので米ドル/円は売りのままとなります(図表2)。
週足での下降トレンドをトライする動きは、日足で見るとやや見た目が異なってくる可能性もあり、3月下旬から4月初めにかけて週足のチャンネルでは上側のレジスタンスラインで抑えられていたところを、日足では上抜ける展開を見せました。
チャートを見る場合、ザラバより日足、日足より週足とより長期のチャートでのチャートパターンを重視するため、今回もライン下抜けの判断は週足チャートで行うこととなります。米ドル売りで出遅れている人、既に利食いを入れてしまった人にとっては難しい局面ではありますが、保守的にはいったんゴールデン・クロスが出るのを待って、その後のデッド・クロスでの売りを考えることとなるでしょう。
ユーロ/米ドル:長期トレンドはユーロ買い継続
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持しています。先週(4月14日週)高値を超えた場合のターゲットは大台1.15ドルとなりますが、テクニカルにフィボナッチ・プロジェクション(フィボナッチ・リトレースメントの100%超え)からも1.15ドルという水準が出てきます。2024年9月高値と2025年1月安値の127.2%戻し1.14954ドル(黒のターゲット)はほぼ1.15ドルとなっています。
日足チャート(図表4)では3月28日にゴールデン・クロスへと転換した状態が続いていることに変化はありません。日足チャートからは2024年9月高値と2025年2月下旬からの上昇ウェッジ(青)の上限がサポートとなることを確認できます。1.12ドル台半ばから1.15ドルの間での取引となりそうですが、米ドル/円での米ドル売りの動き次第では1.15ドルを大きく上抜ける可能性も高いでしょう。
ユーロ/円:引き続き日足チャートで見る
次にユーロ/円のチャートです。
ユーロ/円週足では週足終値が移動平均線からあまり離れず方向感が出にくい流れが続いていますが、一応移動平均線よりも上にあるためトレンド的には上昇トレンド継続中ではあります。(図表5)。
日足チャートでは4月7日にゴールデン・クロスが発生し、その後も終値移動平均線(青)が始値移動平均線(赤)を上回った動きをしていましたが、本日時点でデッド・クロスが発生する可能性が出てきました(図表6)。
NY終値を待つ必要があるものの、米ドル/円での円買いの勢いが強くなれば、ユーロ/円でも円高方向の動きが出てくる可能性があります。4月21日(月)朝の段階では米ドル/円もユーロ/米ドルも同じような米ドル安となっていますが、21日は欧州市場が休場となるため、流動性が低い中でユーロ/円が下げる可能性はありそうです。ただ、ユーロ買い方向で動く可能性もあるため、21日の終値を見ての判断となります。
それでは今週も良いトレードを!
