米連邦準備理事会(FRB)高官が必要なら適切な手段を取ると発言
世界の株式市場は、少し落ち着きを取り戻すでしょうか。先週(4月7日週)の日経平均は安値水準(30,792円)を切り上げて週の取引を終えており、底値確認後の買い戻しが意識されやすいでしょう。中国が米国に対する報復関税を125%に引き上げたものの、これ以上関税の引き上げ競争に付き合わないとしたことや、米連邦準備理事会(FRB)高官が必要なら適切な手段を取ると発言したことなどが目先の不安を幾分和らげる要因となりそうです。
米トランプ政権による関税関連のヘッドラインには右往左往する状況が続くでしょうが、FRBの高官発言が出てきたことは下支えの大きなポイントになるでしょう。
小型株で構成するグロース250指数の優位性が続く
さて、日本市場では小型株で構成するグロース250指数(以下、グロース250)の優位性が続いています。相場全体が値崩れを起こすときは、流動性が低い小型株の下落が大きくなることが多いと言われます。例えば、TOPIX(東証株価指数)の3月27日高値から4月7日安値までの下落率は18.7%、グロース250の3月26日高値から4月7日安値までの下落率は20.7%と、小型株の方が下落率は大きくなりました。
ただ、今回は大きな差がないことから、注目したいのはリカバリー率なのです。下落幅に対してどれだけ戻せたかをみると、4月11日現在でTOPIXの33.8%に対して、グロース250は69.6%までリカバリーしました。
TOPIXとグロース250の2023年夏場につけた高値以降の動きに注目
TOPIXの優位性には輸出企業のマインド改善に幾分時間が必要なことや、日米の金融政策の方向性、米国株や為替の安定が必要です。一方、グロース市場には内需主体の小型企業が多く、外部環境に比較的左右されない特性があります。
テクニカル面におけるグロース250の優位性に関しては、2月18日にこのコラム「東証グロース250指数は急落直前の高値に迫る」の中でご紹介した2024年8月に形成した「極端に長い下ヒゲ(下影)」に通じるものがあります。
そこで、TOPIXとグロース250の両指数の2023年夏場につけた高値以降の動きを見ました。TOPIXは2023年6月頃に上昇が一服した後も底堅く推移し、2024年の上昇相場につながっていきました。2024年7月には史上最高値を更新しました。
一方、東証グロース250は2023年の6月の高値を起点に下落相場をたどっていました。2020年10月の高値から、もっと大きな下落相場が続いていたことになります。
底入れサインの「たくり足」になったのは、グロース250だった可能性
両指数ともに、2024年8月の急落で、月足ローソク足は「極端に長い下ヒゲ(下影)」を形成しましたが、教科書通りの底入れサインの「たくり足」になったのは、グロース250の方だった可能性が高いです。たくり足は、日中(週、月)の途中で大きく売り叩かれたものの、終値では始値付近まで戻して終えた足型です。
TOPIXは「極端に長い下ヒゲの陰線」、グロース250は「極端に長い下ヒゲの陽線」でした。陰線と陽線に大きな違いはないですが、とにかく買い方の振るい落としによって形成されるこのパターンは、大きな下落相場をこなした後に出現するものと、上昇相場をこなした後に出現するものとでは、解釈の違いがあります。グロース250の場合は長い下落相場の末期に生じた「ダメ押し」の意味合いが強く、長い下落相場の終焉を意味する動きだったと言えるかもしれません。
2025年はグロース市場の売買代金も2月から大幅に増加し始めている
2025年はグロース市場の売買代金も増加しています。2013年以降、過去12年間の月ごとの1日当たりの売買代金を見ると、4~6月にかけては売買代金が増加する傾向があります。今年はすでに2月から大幅に増加し始めています。売買代金が増加する背景としては、特に小型株は株価上昇と直結するため、上昇再開のイメージを持ちやすいでしょう。
年を通じて月ごとに増えたり減ったりの凸凹はあるでしょうけど、このまま高水準が続けば、「極端に長い下ヒゲの陽線」と「売買代金増加」とを合わせて、長く続く下落相場の大底を打つ先行サインになる可能性が高いと見られます。