東京市場まとめ

1.概況

前日の米国市場にて主要3指数が揃って急騰した流れを引き継ぎ、日経平均は607円高の32,321円で寄付きました。トランプ米大統領が、発動したばかりの相互関税の上乗せ部分について、日本を含む一部の国・地域に90日間の一時停止を許可すると発表したことで、リスクオフムードが和らぎ買いが優勢となりました。朝方から早々に上げ幅を拡大し、寄付きから30分足らずで2,800円ほど上昇しました。節目の34,000円を上回る高値圏での推移となり、2,639円高の34,353円で前引けとなりました。

後場も34,000円台での推移となりました。米国の3月のCPI(消費者物価指数)が発表を控え、様子見姿勢がうかがえるも、引け間際の15時15分に2,925円高の34,639円をつけ本日の高値を更新し、最終的には2,894円高の34,609円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が7.1%高と反発で取引を終えました。

2.個別銘柄等

セブン&アイ・ホールディングス(3382)は9.8%高の2,030円をつけ大幅反発となりました。9日、最大6,000億円の自社株買いを実施すると発表し、株式需給の引き締まりへの期待から買いが集まりました。同日に2026年2月期(今期)の業績ガイダンスを発表し、当期純利益は前期比47.3%増の2,550億円を見込むとし、市場コンセンサス2,960億円を下回りましたが相場の強さもあって株価は大きく上昇しました。

川崎重工業(7012)は15.5%高のストップ高7,457円をつけ大幅反発となりました。国内証券が目標株価を従来の8,700円から9,400円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。米国における造船業の復活といったニュースも株高を後押ししました。

電子部品メーカーの芝浦電子(6957)は12.2%高の4,700円をつけ大幅反発となりました。日本経済新聞がミネベアミツミ(6479)が同社にTOB(株式公開買い付け)を提案すると報じ、公開価格が4,500円と同社が台湾の国巨(ヤゲオ)から提示されているTOB価格4,300円を上回っていることから買いが入りました。

医療機器メーカーのマニー(7730)は一時5.7%安の1,108.5円をつけ年初来安値を更新しました。9日に第2四半期決算を発表し、当期純利益は前年同期比7.9%減となる29億円と市場予想を下回り、会社予想にも未達となったことが嫌気され売りが優勢となりました。

小型SAR(合成開口レーダー)衛星を開発、運用するSynspective(290A)(シンスペクティブ)はストップ高水準となる15.0%高の1,148円をつけ上場来高値を更新する大幅反発となりました。航空自衛隊の入札案件である、宇宙システムにおけるセキュリティガイドラインの作成を受注したと発表し、政府案件の受注が業績に寄与することを期待した買いが集まりました。

VIEW POINT: 明日への視点

米中関係等、引き続き不透明感はあるものの相互関税の90日間の延期はトランプ米大統領が株式市場に配慮し始めたとの受け止めから大幅高となりました。明日の材料は企業決算では、引け後にファーストリテイリング(9983)の第2四半期決算発表、経済指標では3月の米CPI(消費者物価指数)があげられます。CPIは前年同月比2.6%増と前月から伸びの鈍化が見込まれており、米利下げ見通しにも影響することからその水準に注目です。

( マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太 )