米国市場の調整と下落要因

・2025年2月19日に市場最高値をつけた後、3月13日までにS&P500は10.5%、NASDAQ100は13.8%下落した。この下落は世界主要市場の中で米国が最も大きく、メキシコは+10%、トロントは+1%、中国は横ばいとなっている。

・主な下落要因はトランプ政権の関税引き上げに関する不透明感である。2月4日に中国製品に10%の関税、3月12日に鉄鋼とアルミに25%の関税を課すと発表し、さらに同盟国にも関税圧力をかける姿勢を示している。

・その他の要因として、イーロン・マスク氏による政府コスト削減、ソフトデータ(消費者信頼感指数)の弱さ、エヌビディア[NVDA]のGTCカンファレンスが投資家の期待を満たさなかったことなどがある。

市場をサポートする要因

・雇用統計は依然として強く、求人数も増加している。また、10年債利回りが下がってきていることも市場にとってプラス要因となっている。

・企業業績は悪くなく、主に政策リスクによる不安心理が市場を下げている。バリュエーションは昨年末と比べて魅力的なレベルになってきている。

・投資家センチメントが極度に悲観的になっている。ブル・ベア指数では弱気の人が58%、強気の人が22%となっており、ネットで-36%と2022年以来の低水準である。これはコントラリアン・インディケーター(逆張り指標)として、市場リバウンドの兆候となる。

今後の展開と業績見通し

・4月2日が関税交渉の分岐点とされており、歴史的に市場は事前に底をつける傾向がある。今回の下落は企業業績の悪化が原因ではなく政策リスクが原因のため、政策がより明確になれば市場は落ち着くと考えられる。

・ボトムアップで見たS&P500は現在より約20%のアップサイドを示唆しており、長期投資にとって割安で買える機会となっている。アナリスト予想と現在の株価のギャップが過去最大級に広がっている。

・2025年第1四半期の企業業績は前年比6.8%増益の予想となっている。通年でも2025年は9.7%、2026年は14.2%の増益が予想されており、企業のファンダメンタルズは健全である。

長期投資の魅力

・S&P500は1年間に平均で1回の10%調整と3回の5%程度の調整を経験する。今回の調整もその一環であり、長期的には上昇トレンドを続けている。

・2000年3月から2013年2月までの期間、S&P500の価格リターンは-8.4%だったが、配当再投資を含めると+27%となった。同時期のイコール・ウェイト指数は106.8%上昇し、配当再投資を含めると119%のリターンとなった。

・長期投資の核としてS&P500(世界経済成長の代表)、NASDAQ100(イノベーション指数)、MSCI新興国指数(長期的な高成長が期待できる新興国)の3つを持つことが推奨される。これら3つを持つことで分散効果も得られる。

バリュエーションと市場の見通し

・現在のS&P500のPERは下落と企業業績の改善により魅力的なレベルになっている。2026年のEPSを使うと18.6倍、2027年では17倍程度まで低下する見込みである。

・S&P500のイコール・ウェイト指数は時価総額加重の指数と比較して下落が小さく、年初からほぼ変わらないレベルとなっている。これは時価総額の大きな銘柄が下がったものの、それ以外の銘柄は平均で下がっていないことを示している。

・マネーマーケットファンドの残高が約7兆ドルとなり、ピークをつけた後若干減少している。歴史的にマネーマーケットファンドがピークをつけると株式市場が上昇し始める傾向がある。

ベトナム株式市場の魅力

・ベトナムは経済成長が続いており、中間層の増加が見られる。都市化が進行中で、ハノイでは新たな都市開発プロジェクトが進められている。工業団地も整備され、Foxconnなど多国籍企業が生産拠点を置いている。

・ベトナムの1人当たりGDPは現在約60万円で、日本の1969年頃のレベルに相当する。日本はその後10年間でトピックスが15倍になった経験があり、ベトナムも同様の成長ポテンシャルを持っている。

・ベトナム株式市場のバリュエーションは魅力的で、平均PERは13倍、現時点では10.5倍、2026年のEPSを使うと8.6倍となっている。イギリスのFTSEが2025年の秋にベトナムをフロンティア市場から新興国市場へ格上げする可能性が高く、これにより新たな資金流入が期待できる。

テスラ[TSLA]の現状と見通し

・テスラ[TSLA]の株価は2024年12月18日から2025年3月11日までの間に55%下落し、1月17日から9週間連続で下落という記録を達成した。これは主に関税問題とイーロン・マスク氏の言動が原因とされている。

・3月中旬に状況が変わり始め、イーロン・マスク氏が従業員向けスピーチで自動運転技術とロボティクスの進展がテスラの未来を保証すると強調した後、3月11日から25日までに33%の株価上昇を記録した。

・テスラは自動車会社ではなくAI企業として捉えるべきであり、中長期的には新型モデルの発売、6月のロボタクシー発表、人型ロボット「オプティマス」の量産など複数の成長要因がある。現在の株価はこれらのポジティブな展開をまだ織り込んでいない。

長期投資の重要性と高配当株の価値

・長期投資の例として、コカ・コーラ[KO]の1990年からの成長が挙げられる。90年に100万円投資した場合、株価は13倍になり、配当金は19倍に増加。初期投資に対する現在の配当利回りは約40%となっている。

・タイミングを見て売買するより、長期保有する方がリターンが高い傾向にある。アメリカの個人投資家も、市場のタイミングを図ろうとして平均的にS&P500のリターンを下回っていることが多い。

・ポートフォリオの一部に高配当株やそれらを組み入れた投資信託を持つことで、市場が下落した際のクッションになるとともに、安定したインカムを得ることができる。

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