【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 41,433.48  ▼478.23 (3/11)
NASDAQ: 17,436.10  ▼32.23 (3/11)

1.概況

昨日の米国市場は、主要3指数が揃って続落となりました。カナダのオンタリオ州政府が米国に供給する電力に追加料金を課すと発表したことに対抗し、トランプ大統領がカナダから輸入される鉄鋼製品とアルミニウムへの関税を25%ではなく50%に引き上げると警告したことが伝わり、貿易摩擦拡大の懸念が相場の重荷となりました。一方、ウクライナとロシアの停戦交渉が進むとの期待が相場を下支えしたほか、午後にはオンタリオ州政府が電力の追加料金を停止すると報じられ、下げ幅を縮める展開となりました。

ダウ平均は73ドル安で取引を開始し、じわじわと下げ幅を広げて一時736ドル安まで下落しました。午後にかけては下げ幅を縮める展開となりましたが、引けにかけては再び売りが強まり、結局478ドル安の41,433ドルで取引を終え、続落しました。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は32ポイント安の17,436ポイント、S&P500株価指数は42ポイント安の5,572ポイントで取引を終え、いずれも続落しました。

2.経済指標等

1月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数は前月から23万2000件増の774万件となり、市場予想を上回りました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数は、11業種すべてが下落となり、なかでも資本財・サービスや生活必需品、ヘルスケア、不動産が1%以上下落しました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では、30銘柄のうち6銘柄が上昇となり、特にボーイング[BA]は4%近く上昇しました。また、エヌビディア[NVDA]やセールスフォース[CRM]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、アマゾン・ドットコム[AMZN]が1%以上上昇しました。一方で、24銘柄が下落となり、特にベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]が6%以上下落、ウォルト・ディズニー[DIS]が5%以上下落しました。また、マクドナルド[MCD]とアイビーエム[IBM]が3%以上下落したほか、アップル[AAPL]やナイキ[NKE]、ビザ[V]など8銘柄が2%以上下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、格安航空会社のサウスウェスト航空[LUV]が手荷物受託を一部無料から有料に切替える方針転換を発表したことで、収益改善への期待から8.3%上昇しました。また、直近下落が続いていたテスラ[TSLA]は3.8%上昇し、4日ぶりに反発しました。一方、デルタ航空[DAL]は前日引け後に第1四半期のガイダンスを更新し、EPS(1株当たり純利益)の見通しを従来の約半分に下方修正したことで、7.3%下落しました。また、百貨店のコールズ[KSS]は、第4四半期決算で既存店売上高とEPSが市場予想を下回ったうえ、26年度通期のガイダンスも弱く、24.1%下落する大幅安となりました。

5.為替・金利等

米長期金利は前日から0.07%高い4.28%となりました。ドル円は、147円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は、昨日の米国市場が続落したことから軟調な出だしが予想されます。こうしたなか国内では、寄付き前に2月国内企業物価指数や1-3月期法人企業景気予測調査の発表があるほか、春闘の集中回答日であることもあり、これらの結果を受けた日銀の早期利上げ観測の変化に注目が集まります。また、今晩の米国では、2月のCPI(米消費者物価指数)が公表される予定です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)