日米の政策金利差による円劣位急拡大で起こった2度の円売り「バブル」
日米の政策金利差(米ドル優位・円劣位)は、2022年9月から3%以上に拡大した。同年2月のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに原油などエネルギー価格が急騰、世界的なインフレの発生を受けて、FRB(米連邦準備制度理事会)などがインフレ対策として利上げを本格化したことが主因だった。
このように日米の政策金利差が3%以上と大幅に拡大したのは珍しく、2005年以降では、今回と2005~2008年だけだった。そしてこの2回ではともに、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、円の売り越し(米ドル買い越し)がこの統計の過去最高規模である18万枚程度まで拡大した(図表1参照)。
以上のように見ると、2022年以降、毎年のように繰り返された150円を超える米ドル高・円安を主導していたのは、異例の大幅な日米金利差の円劣位拡大を受けて有利な円売りを投機筋が拡大したことが一因だったのだろう。
着実に進む金利差円劣位の縮小
日米の政策金利差は、この先日銀の利上げやFRBの利下げなどにより3%以下への縮小が見込まれる。CFTC統計の投機筋の円ポジションをみると、日米政策金利差が3%未満の水準にとどまる中では、円売り越しが10万枚以上に拡大するケースは少なかった。ここからさらなる日米金利差円劣位縮小という円売りにとっての優位性の低下は、投機筋の円売りの縮小に影響してくる可能性があるのではないか。
また、日米の金融政策を受けた政策金利の差とは別に、市場金利、たとえば日米2年債利回り差は、一時2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻が始まった頃の水準まで縮小した(図表2参照)。これは、政策金利差以上に市場金利差で円売りの優位性が低下していることを示している。
日米金利差の縮小では限られてきた投機円売り拡大
過去に、大幅な日米金利差による円劣位が縮小に向かう中で何が起こったかを振り返ってみる。2007年まで5%以上と大幅だった日米政策金利差による円劣位が、2008年にかけて「リーマン・ショック」などを受けたFRBの本格利下げにより急縮小に向かうと、CFTC統計では、投機筋の円ポジションも買い越し(米ドル売り越し)圏での推移が数年にわたり続いた。
以上から改めて感じられるのは、短期売買を行う投機筋にとって金利差の影響は大きいということ。徐々に進む金利差による円劣位が示す、円売りにとっての優位性の低下が、投機筋の円売り優先という流れの変化につながる可能性は、この先注目されるテーマになるのではないか。
