20歳で株式投資をスタートし、33歳で資産3000万円、そして現在は資産1億円を突破して「ゆるFIRE」を実践している女性個人投資家・ちーさん。全くの初心者から数々の相場の荒波を乗り越え、どのようにして1億円という大きな資産を築き上げたのでしょうか。投資を始めたきっかけや、資産3000万円に到達するまでの投資ヒストリー、そして失敗から学んだリアルなエピソードなどお聞きしました。
●ちーさんプロフィール●
元年収300万円未満の会社員。新卒から33歳の間に年収アップに伴い年間100~300万円を投資に回して資産形成を行う。3000万円に到達した2018年より、好きな仕事を続けつつ、資産の運用益で生活費をまかなう「ゆるFIRE」生活に。著書に『自由に生きるためにお金にも働いてもらうことにしました。』(かんき出版)など。YouTubeチャンネル「ちーのゆるFIREな日々」も運営中。
20歳でお年玉貯金を元手にマクドナルド株からスタート
――20歳の時に株式投資をスタートされたとのことですが、投資に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
書店でたまたま「これからはネットで株を買う時代!」といったタイトルの雑誌を見かけたのがきっかけです。当時、ネットを使って何かやってみたいと思っていたので「これだ!」と直感的に思いました。
――投資の元手資金はどのように用意されたのですか? 初めて買った銘柄についても教えてください。
元手は、子どもの頃からコツコツ貯めていたお年玉やお小遣いをあわせた100万円です。初めて買ったのは日本マクドナルドホールディングス(2702)の株でした。大学生の自分にとって、身近なお店で使える株主優待はとても魅力的だったんです。
――当初、投資の勉強や情報収集はどのようにされていたのでしょうか。
実は、全く勉強せずにいきなり実戦から入りました(笑)。情報収集も主に雑誌を読んだり、Yahoo!ファイナンスの掲示板を見たりする程度でしたね。
ライブドアショックとリーマンショックを経験、「見て見ぬふり」で相場を生き残る
――その後、30代前半で資産3000万円に到達されています。そこまでの投資ヒストリーをお聞かせください。
最初は日本の個別株を中心に投資していました。中~大型株を30銘柄ほど分散保有するスタイルです。その後、2014年頃から米国株の取引手数料が安くなってきたので、米国個別株にも参戦しました。米国株はプロクター・アンド・ギャンブル[PG]やアップル[AAPL]など、超大型株を5銘柄ほど保有していました。
――3000万円に至るまでの過程で、資産形成に特に寄与したと感じることは何ですか?
リーマンショックでは資産が半減したのですが、「どうしても損を取り戻したい」という一心で、2011年頃から生活防衛資金を除く余剰資金のほとんどを株式に投資し始めたことです。その後、米国株にも投資したことで資産が大きく伸びました。
特に資産形成に寄与したのは、ケイアイスター不動産(3465)とアップルです。投資対象として銘柄の分散と業界の分散を心がけてはいたのですが、たまたまこの2銘柄の保有割合が大きかったことが功を奏しました。
――逆に失敗談があれば教えてください。相場の下落局面をどう乗り切ったのかもお聞かせください。
投資を始めてすぐのときにネットの掲示板を主な情報源にしていたことは良くなかったなと感じています。また、投資を始めていきなりライブドアショックに見舞われ、その後のリーマンショックでは投資元本が半分以下になってしまい…。さすがにダメージが大きく、現実逃避のために証券口座を全く見なくなりました。
でも、今振り返ると、株式投資に関しては「退場」するのではなく、そのまま「見て見ぬふり」をして市場に留まったのが結果的に一番よかったですね。
資産3000万円を機にインデックス投信積立へシフト、日本株は大手商社・銀行・不動産の3本柱に
――資産が3000万円に到達した後、そこからの資産形成においてはどのような投資手法や戦略を取られたのでしょうか。
投資手法をガラリと変えました。すでに保有している個別株はそのまま持ち続けましたが、新規の投資は全てインデックス型投資信託の積立に変更しました。主に世界株式、米国、新興国のインデックスファンドです。
――個別株からインデックス投信へ切り替えた理由を教えてください。
自分はあくまで「凡人」だと思ったからです。インデックス積立なら手間がかからない上に、市場平均のリターンが取れますし、クレジットカード積立などでポイントも貯まります。自分にとってはこれが「最適解」だと気づきました。
――銘柄選びの基準やポイントについても教えてください。
日本株は「円建ての配当金」をもらうことが目的なので、大手商社・銀行・不動産の3本柱で投資するようにしています。
一方、インデックス投信は「長期的な成長」に期待しているので、無配のものを、なるべくNISAやiDeCo口座で買うようにしています。素人に株価の動きは読めないので、ただただ分散して持つのみです。それが手軽にできるのがインデックス投信なので、なるべく手数料の安いものを選ぶのがベストだと思います。
1億円突破の秘訣は「放置」、相場にも助けられたと実感
――現在、資産が1億円を突破されているとのことですが、1億円に至るまでの戦略はありましたか?
インデックス投資に関しては本当に「普通に放置しただけ」なんです。個別株については、四半期ごとの業績だけはしっかり確認して、自分が描いていた成長シナリオが崩れたと判断した時だけ売却しました。
ただ、資産形成に特に寄与した銘柄を挙げるとすれば、9割がたの銘柄が上がってくれたので「単に相場に助けられた」というのが正直なところです。
――逆に1億円に至る過程での失敗談はありますか?
コロナショックの時ですね。利益が取れるかもと調子に乗って少しブルやベアの投資信託を売買したのですが、素人が余計なことをやらないほうがよかったなと反省しました。やはり「放置」が一番強いと痛感した出来事です。
最新ポートフォリオとNISA活用術、「8:2」のマイルールも実践
――現在の資産のポートフォリオについて教えてください。
アセットアロケーションとしては、国内株式32%、国外株式45%、リート3%、暗号資産2%、貴金属11%、現金7%という比率です。
――資産配分を変更するタイミングは決めていますか?
「株式・リート」対「暗号資産・貴金属・現金」の割合を8:2に維持することがマイルールです。相場の変動によってこの比率が崩れてきたら、リバランスをするようにしています。
――2024年から始まった「NISA」はどのように活用されていますか?
NISA口座の資産は簿価を上げないために超長期で保有したいと考えています。そのため、成長投資枠もつみたて投資枠も、自分で細かく調整しなくても自動で世界中に分散・リバランスしてくれる「全世界株式型インデックスファンド」を主軸に買っています。
税引き後「2.5%ルール」の取り崩しと、「ゆるFIRE」を楽しむマイルール
――「ゆるFIRE」を実践される中で、大切にしているマイルールはありますか?
生活面でのルールは、楽に、楽しく生きるための「ゆるFIRE」なので、「楽じゃないこと、楽しくないことはやらない」と決めています。投資方針のルールは、「信用取引」と「集中投資」だけは絶対にしないことです。理由は私のリスク許容度を超えてしまうからです。
――FIRE後の資産の取り崩しについて、一般的に言われる「4%ルール」ではなく、ちーさんは「2.5%ルール」をご著書などで提案されています。現状はいかがでしょうか?
有名な「4%ルール」は税金面があやふやだったことと投資先が全て米国株であることが前提だったので、私は日本の税制と自分のポートフォリオを考慮して独自に「税引後2.5%」に設定しています。ただ、現状は予想以上に資産が増えているため、今後は物価高(インフレ)の状況などもみながら、場合によっては取り崩しのパーセンテージを増やすかもしれません。
――日常生活のなかで、投資の情報収集や管理にどのくらい時間をかけていますか?
今はインデックス投信の自動積立しかしていないので、時間はほとんどかけていません。保有している個別株の四半期決算の時期に業績をチェックしているくらいですね。
情報収集については、投資の手法そのものよりも「税制を制したほうが資産が増える」ということが今になって分かったので、凄腕の投資家さんよりも、税制に詳しい方の発信をよく追っています。個人ブログやX、YouTubeなどを参考にしています。
――今後の目標などがあれば教えてください。
私自身の目標資産額はすでに達成しているので、現在は家族で資産を増やし、世帯全体でのお金を増やすことに力を入れています。家族の資産はマイナスからのスタートだったので、難易度高めのニューゲームをやっているような感覚で、結構楽しんでいます(笑)。
――最後に、投資に苦手意識のある方へメッセージをお願いいたします。
資産がゼロでない限り、自分の保有する資産は必ずどこかに「投資」している状態にあります。もし、手元の資産が全て日本円になっている(つまり貯金のみ)だとしたら、それは「日本円への集中投資」であり、インフレなどで価値が下がるリスクが高い状態だと言えます。だからこそ、怖がらずに株式などの資産も加えて、適切な「分散投資」を心がけてほしいなと思います。
