現在のファンダメンタルズ:日米金利差縮小と地政学リスクの影響
先週(2月17日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 148.926円~152.385円 149.333円
・ユーロ/米ドル:1.04008ドル~1.05061ドル 1.04597ドル
・ユーロ/円: 155.815円~159.829円 156.203円
先週(2月17日週)の米ドル/円:日米金利差縮小が円買いの原動力
先週(2月17日週)は週初こそ前週(2月10日週)後半の米金利低下による米ドル売りの動きを受け円買いが先行したものの、その後は151.70円水準をもみあいの中心として2月19日まで横ばいの展開が続きました。しかし米金利低下以上に、円金利の上昇が強まる動きから日米金利差が縮小し、円一段高の動きへとつながります。
2月19日には高田日銀審議委員が、「見通しが実現していけば一段のギアシフトを進める局面」と追加利上げに積極的と取れるタカ派的な発言をしたことで、先日の田村審議委員の2025年度後半に1%という水準がにわかに現実的と捉えられることとなりました。
さらに2月20日のNY市場ではベッセント米財務長官が「債券増発は先のこと」と発言したことをきっかけに債券高(金利低下)となったことも米ドル売りの動きとなり、21日早朝には149円台前半まで円高が進行。
しかし、上田日銀総裁が衆議院の委員会において緩和的スタンスを示し、「長期金利が急激に上昇すれば機動的に国債を買い入れる」と、直近の10年債利回りが上昇した動きに懸念を示す発言をしたことで150円台後半まで急反発と荒っぽい展開に。しかし米国株が急落し、弱い経済指標も重なって週末の引けにかけては148円台に突入後、149円近辺に戻して引けました。
先週(2月17日週)のユーロ/米ドル:ウクライナ情勢とドイツ連立の結果待ち
先週(2月17日週)のユーロ/米ドルは、週前半は緩やかなユーロ売りが続きましたが、週後半には買い戻され週末23日のドイツ総選挙を控えて方向感がはっきりしない展開となりました。またロシア・ウクライナの停戦に向け米国とウクライナとの協議が難航していることも欧州情勢の不透明感に繋がったと考えられます。
なお、ドイツ総選挙は2月24日東京時間昼頃には大勢が判明し、予想通り中道右派のCDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)が第1党となり、極右のAfD(ドイツのための選択肢)が第2党、現与党、中道左派のSPD(社会民主党)は第3党となりました。フランス同様に第1党が極右と組む可能性が無いことからCDU・CSUはSPDとの連立を組む可能性が高く、2党合わせて約45%となります。昔ならばそれぞれの得票率がもっと高かったことで大連立と言われる組み合わせです。
東京市場ではドイツ政権交代期待によるユーロ買いの動きが強かったのですが、その後は週明け早朝の水準へと押していて、連立の行方を確認したいということとウクライナ問題に対して米国と欧州の温度差に対する懸念が上値を重くしている状況です。
米ドル/円チャート(週足)、下降トレンドを継続
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開が続いていますので長期的には米ドル安・円高トレンドの状態にあります。また先週(2月17日週)引いた年初来高値からのレジスタンスライン(青)はしっかりと効いていますので、それに並行なラインを新たに引き平行下降チャンネルを想定しました(図表1)。
今週(2月25日週)もこの下降チャンネルの中での推移が想定されますが、チャンネル下限に近いこと、2024年12月安値148.642円にも近いことからいったん下げ止まりやすい水準に近い状態です。12月安値を週末終値で明確に下回れば更なる下げにつながりますが、抜けられない場合は短期的に反発する可能性もあります。戻り売りを考えるか、下抜けでの突っ込み売りを考えるかになりそうです。
米ドル/円チャート(日足)、2月19日にデッドクロス発生
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートの判断では、週足チャートで新たに引いたレジスタンスラインがより明確に効いていることを確認できます。また週足でも考えた短期的にはいったん止まりやすいということをフィボナッチ・エクスパンションで検証してみます。フィボナッチ・エクスパンションは上昇N波動、下降N波動が現れている時に3波目の値幅観測を行う手法です。
ここでは下降N波動の起点を年初来高値(1月10日)の158.872円、最初の下げを2月7日の150.927円、その後の戻しを2月12日の154.797円としています。この場合、既に61.8%エクスパンションは下抜けていますので、次のターゲットとしては76.4%エクスパンションの148.727円となります。週足で見た148.642円とも近い水準ですので、ざっくりと148円70銭前後をイメージしておくと良いでしょう(図表2)。
なお、デッドクロス状態は2月19日以降続いていますので、短期とはいえ反転待ちでの米ドル買いは注意が必要です。戦略は今回も次のデッドクロスを待って良い条件での米ドル売りポジションを作ることです。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ売りも週足移動平均線に近づく
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は移動平均線よりも下で推移しているものの、今週は上ヒゲで移動平均線を試しています。上昇に転換するには2週連続で上抜ける必要があるので今週はまだですし、日足チャート(図表4)では2月21日にデッドクロスとなっているため、スタンスはユーロ売りです。
ただレジスタンスラインにも近く、しばらく現在の水準で推移するとレジスタンスラインを上抜け、移動平均線も上抜けるという流れになっていくでしょう。1月下旬以降1.05ドルの大台を上抜けできずに反落を繰り返していますので、ポイントとしては1.05ドルの大台をしっかりと上抜けるようであれば、買い転換に向かっていくという流れになるのではないかと見ています。
ユーロ/円は、長期三角もちあいを改めて下抜け
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ/円は移動平均線を下回った状態ではあったものの、いったん下抜けたトライアングル(三角もちあい)の中へと戻す動きを見せていました。しかし米ドル/円での円高の動きもあり改めてサポートラインを下抜けてきたことで、現状はユーロ/円の売り継続を再確認という見方で良いと思います(図表5)。

日足チャートでは戻り高値からの下げの途中2月19日にデッドクロスが発生しユーロ/円は短期的にも売りの状態へと転じました(図表6)。2月半ばに一時的にユーロ/円は160円の大台を越えましたが、その後ユーロ/円の売りオーダーも出た後に米ドル/円での日米金利差縮小による円買いが強まり、それがユーロ/円の下げにも波及したという展開です。
それでは今週も良いトレードを!