2025年1月31日(金)8:30発表
日本 2025年1月分東京都区部消費者物価指数(速報)

【1】結果:生鮮食品の高騰が寄与、ヘッドラインは大きな上昇が続く

【図表1】東京CPI 2025年1月速報値結果
出所:総務省よりマネックス証券作成
 
【図表2】東京CPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

2025年1月の東京都区部消費者物価指数は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比3.4%上昇し、市場予想の同3.0%を上回る伸びとなりました。前月からも伸びが加速し、グラフからは再びインフレ圧力が高まっている様子がうかがえます。

生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は前年同月比2.5%上昇と市場予想と一致する結果となりました。ヘッドラインと比較して、足元のインフレは生鮮食品による押し上げが顕著であることがわかります。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は前月から変わらず横ばいで、変動の大きい品目を除けば、ある程度インフレは落ち着いた様子もうかがえます。

【2】内容・注目点:サービスCPIは反動要因で低下、基調は変わらずか

【図表3】サービスCPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

賃金にも波及されるとして注目のサービスCPIは、前年同月比0.6%上昇と、前月から0.4%ポイント伸びが鈍化する結果となりました。1月は一般サービスに含まれる「通信・教養娯楽関連サービス」の伸びが減速したことが要因で、それを細かく見ると、2024年急騰した外国パック旅行費の反動による要因が大きいことがわかります。

【図表4】外国パック旅行費の推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

コロナ禍中に同品目の物価情勢は補足されておらず、2024年は前年同月比(正確には2020年同月比)60-80%と大きく上昇していたものが、2025年は昨年比となったことで伸びが低下となりました。2025年を通して同様の結果が現れることには注意が必要ですが、1月速報値では前年同月比1.9%と他品目と同程度の伸びが見られ、先行きについてサービス全体の物価基調は継続するものと考えられます。

【3】所感:先行き半年程度は高位の物価推移も許容されると考えられる

【図表5】先行きの物価見通し(コアCPI、前年比、%)
出所:日本銀行、Bloombergよりマネックス証券作成

ここ数ヶ月の物価動向は、食品類による押し上げが顕著な中で、日銀は先の金融政策決定会合にて物価見通しを引き上げました。市場予想の平均値も日銀ほどではないですが、見通しの後半(2025年、2026年)にかけて上方修正されています。

市場では次の利上げ時期を考える局面にあり、現在のOIS市場からは次回の利上げは10月での実施が織り込まれています。物価動向について言えば、現状のようにある程度高位で推移していく場合も、後半にかけて落ち着くといった見方が優勢であり、その意味では「オントラック」と評価されるでしょう。オントラックである場合の利上げ実施時期は予想し難い部分があるものの、市場とのコミュニケーションに注意を払う様子がうかがえ、その中でヒントを探っていく期間が続くと考えられます。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太