2026年2月27日(木)8:50発表
日本 鉱工業生産指数2026年1月速報値

【1】結果:1月の鉱工業生産指数は増加も従来見込みからは鈍化/先行きは生産減の見込み

2026年1月の鉱工業指数は、生産指数が前月比2.2%増と前の月から大きく上昇しました。3ヶ月ぶりの上昇となりました。しかし、12月分の製造予測では補正値ベースで7.2%増と大幅増が見込まれていましたが、それと比較すると小幅な上昇にとどまりました。業種別には、自動車工業が前月比9.1%増、プラスチック製品工業が同8.1%増となりました。一方で、半導体製造装置などで構成される生産用機械は2ヶ月連続で低下し、1月は同2.0%減となりました。

先行きの生産予測では、2026年2月分は同0.5%減、2026年3月分は同2.6%減が見込まれています。実績とのズレを統計的に補正した補正値では2月は同1.9%減とされ、いずれにせよ生産活動の減速が見込まれています。業種別には電子部品デバイスや輸送機械が低下見込みで、向こう数ヶ月は生産に陰りが見られる局面と考えられます。

【図表1】鉱工業生産・第3次産業活動指数の推移
※鉱工業生産指数は2020年=100、第3次産業活動指数は2019-2020年平均=100、両指数ともに季節調整済
出所:経済産業省よりマネックス証券作成

その他、出荷は前月比3.2%増となり3ヶ月ぶりに増加、在庫は同0.1%増となり概ね横ばい、在庫率は同4.6%減となりました。在庫の縮小が見られるも、想定よりも生産は伸びなかったと評価できます。

【図表2】鉱工業出荷・在庫・在庫率指数の推移(2020年=100、季節調整済)
出所:経済産業省よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:設備投資は好スタート 中長期的な成長期待は大きい

本レポートでは、鉱工業生産指数でも注目される設備投資関連の指標にフォーカスします。コロナ禍以降の日本経済は、設備投資が実質GDPを支えてきました。実質GDPが概ね横ばい圏で推移したのに対し、設備投資は緩やかな拡大傾向であったことが図表3から読み取れます。もっとも、2025年については、設備投資も伸び悩んで推移していることがわかります。こちらは、トランプ米政権による関税政策などグローバルに不確実性が高まったことで、企業側が設備投資をいったん控えたことなどが要因と考えられます。

【図表3】実質GDPは設備投資が伸びをけん引してきた
出所:内閣府よりマネックス証券
※グラフは2020年10-12月期の四半期GDP(季節調整値、年率換算)を基準化したもの。

一方で2026年1-3月期は、政策不確実性もある程度解消されたことから、設備投資の再加速が期待されます。実際に直近のデータを確認すると、2026年1月の生産財または建設財の出荷は、前月比で大きな増加しました(図表4、左)。同様に、設備投資の先行指標とされる機械受注の動向を確認すると、受注額は緩やかながらプラス成長が拡大して推移していることが分かります(図表4、右)。これらから判断すると、2026年1-3月期の設備投資も好成長が期待できるものでしょう。

【図表4】設備投資関連指標の推移
出所:経済産業省、内閣府、一般社団法人 日本工作機械工業会よりマネックス証券作成

もっとも、出荷や機械受注の動向は一進一退に推移する傾向があり、最新データが一時的な上振れに過ぎないといったリスクがあります。しかしながら、企業の既存設備の更新投資や人手不足への代替策を理由に、根底にある設備投資需要は強いのが現状です。そのことから中長期的には、設備投資は堅調に成長していくでしょう。加えて、高市内閣では投資促進減税といった政策も議論されており、経済成長を柱とする同政権の下、企業の設備投資のインセンティブがより喚起されていくと推察されます。

また、足元では外需主導で設備投資が強い面がありますが、半導体セクターでみられるように、同政権が地方活性の文脈で国内での設備投資を誘致していくといった可能性も指摘できます。そのため、短期的減速は起こりうるものの、中長期的には外部環境の後押しもあり、設備投資が堅調に成長をしていくと想定します。

【3】所感:機械や精密機器セクターも増益予想トレンドが続く

設備投資関連では、機械や精密機器セクターの業績動向を確認すると、アナリスト予想を集計した12ヶ月先予想EPSは、2025年中ごろ以来、右肩上がりで推移しています。設備投資需要が今後も旺盛であると見込まれ、その果実を得るためにある程度、これらのセクターには資金流入が続いていくと見込まれます。一方、足元の株価はセクターを問わず堅調で、バリュエーション面では割高感が意識されやすい局面でしょう。設備投資セクターは景気敏感セクターに分類され、中国など外需の影響を大きく受ける面があることから、経済の減速が意識された際には巻き戻しのリスクも相応にあると考えられます。中長期的な成長が期待できる一方で、バリュエーション見合いでの投資決定が重要な局面と考えられます。

【図表5】TOPIX機械・TOPIX精密機器の12ヶ月先予想EPSの推移
出所:FactSetよりマネックス証券

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太