トランプ米大統領就任、マーケットはポジティブな反応
先週1月20日(月)、トランプ氏が第47代米大統領に就任しました。就任直後のマーケットの反応は、トランプ政権の主に経済成長を加速させる政策への期待から、非常にポジティブな動きを見せました。S&P500は先週1.74%の上げ、ナスダック100は1.55%、FANG+指数は4.27%上昇しました。
トランプ大統領は、就任日に20以上の大統領令に署名しました。まずは、バイデン前大統領が承認した78件の大統領令を撤回することから始めましたが、この数は、過去の米大統領の中で最も多いものです。その内容には、温室効果ガス排出削減、連邦公有地の石油掘削からの保護、処方薬のコスト削減に関する取り組みが含まれています。バイデン政権の政策を完全に否定し、トランプ政権のアメリカに変える第一歩であり、規制の強化ではなく、規制の緩和を行うという方針転換です。
他にも、2021年1月の米連邦議会議事堂襲撃事件で有罪判決を受けたほぼ全員に対する恩赦や刑の執行猶予、TikTok禁止の一時停止、世界保健機関(WHO)からの脱退を試みることなどが含まれています。トランプ大統領は就任初日から有言実行のスタンスを示しています。
トランプ政権による規制緩和の動きや関税政策に投資家も注目
トランプ政権が進める規制緩和の動きは、特にテクノロジー企業、製造業にとってポジティブな材料となるため、企業の収益力強化への期待が高まっています。規制緩和により、企業活動の自由度が増し、エネルギー業界や金融業界では新たな成長機会が見込まれるでしょう。
一方、トランプ政権の政策には不確実性も伴い、特に貿易政策や関税に関する強硬姿勢は市場に不安をもたらしましたが、初日には強硬策は発表しませんでした。トランプ大統領の関税政策には引き続き注目が集まっており、これが国内外のインフレに与える影響を投資家は注視しています。関税が引き上げられることで、特定の産業や企業にとってコストが増加する可能性があり、その影響が企業業績にどのように反映されるかが重要なポイントとなります。
オラクル[ORCL]、ソフトバンクグループ(9984)などの大規模なAI投資を発表
先週1月21日(火)に発表されたスターゲート・プロジェクトもマーケットに勇気を与えました。トランプ大統領は、Open AI、オラクル[ORCL]、ソフトバンクグループ(9984)などがAI開発で最大5000億ドル(約78兆円)の投資を行い、データセンターの建設を行うと発表しました。
これを受け、オラクルの株は先週14%上昇しました。データセンターで必要なGPUの提供を行うエヌビディア[NVDA]の株価も3.57%上昇し、ナスダック100の上昇に貢献しています。また、メタ・プラットフォームズ[META]のマーク・ザッカーバーグCEOは、2025年の設備投資額が最大で650億ドル(約10.1兆円)にあがるとの見通しを明らかにし、先週メタ・プラットフォームズの株価は5.67%上昇しました。これは数年前メタバースへの巨額投資を発表、株価が暴落した時とは大きな違いです。
今週(1月27日週)、アップル[AAPL]、メタ・プラットフォームズ[META]、テスラ[TSLA]が決算発表
米国では2024年第4四半期の決算発表が進んでいます。これまでにS&P500構成企業の16%が決算発表を終えています。このうち80%の企業が予想EPSを上回っており、過去5年平均の77%を上回っています。
今週はアップル[AAPL]、メタ・プラットフォームズ[META]、テスラ[TSLA]の決算発表が特に注目されています。アップルは、AI技術の導入や中国市場での販売減少に直面しているため、次期決算でどのような方針を示すかが重要な焦点となっています。メタ・プラットフォームズは、AIへの巨額投資を進めており、その結果としての成長がどのように市場に反映されるかに注目が集まっています。
テスラについては、新モデルの発表や自動運転技術に関する進展が引き続き株価に大きな影響を与える可能性があります。2024年11月の米大統領選挙後にテスラの株価は急騰しましたが、この勢いを維持できるかは、新技術の商業化にどれだけ成功するかが焦点となるでしょう。