明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2025年最初のポートフォリオのすすめでは、2024年の各資産クラスのパフォーマンスを振り返ることから始めたいと思います。
株式市場は総じて堅調でした。米国株はSP500指数で前年比23%と、2年連続で2割以上の上昇は1998年以来となりました。日本株も日経平均株価で前年比19%、世界株でもMSCIワールドで前年比17%上昇と好調でした。景気懸念が台頭する欧州株でもSTOXX欧州600指数で前年比6%、中国でもCSI300指数で前年比15%上昇しています。主要国ではメキシコ、ブラジル、フランスの主要指数が前年比でマイナスとなった程度です。
債券市場では世界債券総合指数は前年比1.7%の低下でしたが、米国債券総合指数は前年比1.3%の上昇、またハイイールド債といったリスクの高い企業の債券指数は堅調で、世界ハイイールドは前年比9.2%、米国ハイイールドは前年比8.2%上昇しています。
その他の資産クラスのうち目立ったのは金です。前年比27%の上昇は2010年以来の堅調さで、株式市場よりも高パフォーマンスとなりました。コモディティ関連はまちまちで、代表的な原油やブルームバーグ商品指数はほぼ変わらずとなりました。なお、ココアやコーヒー、オレンジジュースのなどは大きく上昇しましたが、大豆、綿、小麦は大きく調整しています。北米REITは前年比0.6%の上昇、東証REIT指数は前年比8.5%の低下と相対的に不振な資産クラスとなりました。金利上昇の影響懸念や株式対比での投資妙味の目立たなさが指摘できます。
為替はG10通貨では米ドルが堅調、続いて英ポンド、ユーロとなりました。日本円はニュージーランドドル、ノルウェークローネに次ぐ軟調な通貨となりました。
マクロ環境では米国が突出して強く、ドルは買われるべき資産となりました。株式・債券市場は世界的にリスクオンの様相を呈した一方、リスク回避資産である金が株式以上に堅調でした。この背景には、ファンダメンタルズ評価に加え、潤沢な流動性が各資産クラスへの資金流入を後押ししたと考えられます。
経済全体ではマネーサプライの動きは緩慢なものの、財政サポートによる資金余剰や株高による資産効果の恩恵が特定の資産層に現れています。その影響もあり、各国で選挙後も格差問題などを背景に財政支出への圧力が続き、債務残高への懸念も高まっています。経済がマーケットの中心である点に変わりはありませんが、政策によるマネーフローへの影響にも注目すべき1年となるでしょう。