年収300万円台で資産1億円を達成した個人投資家のまーしーさん。20代後半に社債から資産運用をスタートし、その後米国株に軸足を移してからわずか7年の投資期間で「億り人」を実現しました。そんなまーしーさんから爆速で資産を築き上げた道のり、成功要因、実際に実践している投資戦略の極意などをお聞きしました。

●まーしーさんプロフィール●

1988年生まれ。地方在住の団体職員。2019年に米国株投資を始め、2021年の33歳の時に金融資産が1億円を到達、「億り人」となる。著書『33歳で年収300万円台でも米国株で爆速1億円』(ポプラ社)。米国株投資の情報をnoteやXで発信している。

27歳、年収300万円から金融資産1億円を達成

――投資に興味を持ったきっかけを教えてください。

私はリーマンショックの年に大学を卒業し、就職活動で挫折を経験しました。学生時代、特に努力することなく過ごしていたため、就職活動で苦戦し、就職後に配属された経理職で将来の総収入を知り金銭的な不安を覚えずにはいられませんでした。経済状況が悪化する中でお金に敏感になっていたのだと思います。

当時の年収は300万円台です。不安を解消すべく天引き貯金に励み、倹約生活を心がけました。そんな矢先、友人との会話に衝撃を受けます。彼は24歳にしてお金に縛られない生き方を形成しつつあり、株式投資で資産を築き、いずれは雇われ人を卒業して経済的自由になりたいと語っていました。資産運用に成功していたそのような友人に背中を押され、私も投資の世界へと踏み出したのです。

――資金がどのぐらいあるときに投資を始めましたか?

貯蓄は天引き貯金と倹約生活で積み上げ社会人1年目のときから計画的に行っていました。

・2010年4月(22歳)―社会人1年目 毎月3万円貯蓄
・2011年4月(23歳)―社会人2年目 毎月5万円貯蓄
・2012年3月(24歳)―社会人3年目 毎月10万円貯蓄、賞与時40万円を別途貯蓄(年2回)

――7年で金融資産1億円を達成されたとのこと。その道のりを教えてください。

その後社会人5年目までに築いた800万円の資金のうち、300万円を元手にして2015年4月、27歳の時に投資を始めました。その当時からの金融資産の推移(すべて到達時)は以下の通りです。

・2013年12月(25歳)……社債を開始
・2015年4月(27歳)……800万円のうち300万円を元手にして投資開始
(複数のインデックスに連動する投資信託で全世界分散投資を開始)
・2015年12月(27歳)……1000万円
・2017年:インデックス投資から米国の個別株投資へシフト
・2018年7月(30歳)……2000万円
・2020年1月(31歳)……3000万円
・2020年5月(32歳)……4000万円
・2020年7月(32歳)……5000万円
・2020年8月(32歳)……6000万円
・2020年9月(32歳)……7000万円
・2020年10月(32歳)……8000万円
・2021年1月(33歳)……9000万円
・2021年2月(33歳)……1億円

投資デビューは社債で、次に投資信託のインデックス投資を開始しました。全世界の株式に分散したファンドを買いつけ、リスクヘッジを図るとともに世界経済全体の成長をとりにいく作戦でした。倹約することによる入金力増の効果もあり、2015年4年に投じた300万円は1年も経たないうちに500万円となりました。

投資先を大きく転換したのは2017年の時です。インデックス投資から米国の個別株投資へシフトしました。当初はバリュー株銘柄を取引し、グロース(成長)株銘柄に切り換えた後、2020年1月に金融資産が3000万円を超えました。

その後、2021年2~3月のコロナショックで一時資産が50%以上急落するも、弱気相場を脱出して同年5月に4000万円を突破。以降は月1000万円増ペースで順調に推移し、2021年2月に1億円に到達しました。トータルリターンは約400%で、元本を除いた投資の利益は約7000万円でした。

短期間で資産1億円を達成した3つの成功要因

――爆速で「億り人」になったのですね。短期間で1億円を築くことができた成功要因をどう捉えていますか。

何より、米国株を投資先に選んだことが大きいと思います。米国株市場は過去200年に渡り、右肩上がりの上昇相場を見せています。持続的な成長が米国株の魅力であり、米国の強さに他なりません。その原動力と言える要素は3つ考えられます。

(1)徹底した株式市場主義

第1は、徹底した株主市場主義です。米国は「会社は株主のもので、株主にとっての利益を最大化すべき」という考えが根づいています。日本は終身雇用制度を採用し、利益を伸ばすことより従業員を守る保守的な経営を主としていましたが、米国では最高経営責任者が株主にとって利益になる経営を推進し、積極的にリストラなどを行います。企業は常に新陳代謝され、利益を出すために効率の良い集団となるのです。

(2)継続する人口増加

第2は、継続する人口増加です。米国は所得が年約750万円もある中産階級以上が国民全体の50%を占めています。増加し続ける人口は強い消費をもたらし、移民文化による豊かな才能を生んで知識・技能のさらなる発展につながるのです。それが米国をより成長させるエンジンとなります。

(3)繰り返される創造的破壊

第3は、繰り返される創造的破壊です。創造的破壊とは、イノベーションによって既存の製品やサービスを古いものとし、新たな産業が創出されるプロセスを指します。創造的破壊の土壌を育む米国では、スタートアップ企業により優れたプロダクトやサービスが次々と誕生しています。結果、米国経済は絶えず成長を続けられるわけです。

――米国株では、バリュー投資からグロース投資に切り換えてから資産が増えたそうですね。この転換もポイントでしょうか。

私自身短期で成果を出したい時には、割安株に投資するバリュー投資よりも米国株を軸とし、成長株に投資するグロース投資のほうが適切と考えています。

バリュー投資の対象は、企業の本来の価値より割安な株価で放置されている銘柄です。市場が株価上昇を見込めないと判断している銘柄を買うため、正当に評価されて株価が値上がりするのを待たなければなりません。将来的にリターンは望めても、その時がいつなのかわからないのがネックになります。

一方で、グロース投資の対象は、企業の業績などから大きな成長が期待できる銘柄です。株価は割高な傾向にあるにもかかわらず、市場が「まだ伸びる」と判断している銘柄を買うため、短期的な株価上昇を見込めると思います。また、成長トレンドに入っている銘柄を早い段階でキャッチできれば、中長期的な大きな値上がりも期待できるのではないでしょうか。

――まーしーさんの投資スタイルの大きな特徴について教えてください。

私は、「フルインベストメント」と「集中投資」を実践してきました。この方式がなければ、7年という短期間で1億円の資産を築くことはできませんでした。爆速で資産が増加したのはこの両輪で資産形成したからです。

フルインベストメントとは、資金のほぼすべてを有価証券などのリスク資産への投資に回し、現金などの余剰資金を持たないことを指します。このような投資手法をあえて取り入れた結果、私は7年の間に1度も利益の取りこぼしがありませんでした。コロナショックのときも根強くフルインベストメントを続けて大きなリターンを得ました。「フルインベストメント、かつストロングホールド」という戦略は、暴落に巻き込まれたとしても、投資対象さえ間違わなければ報われると思います。

集中投資も同様です。リスクヘッジには分散投資が鉄則です。リターンや効率性を第1目的とするならば集中投資が望ましく、そのためには正しい銘柄選択をしたほうがよいでしょう。私自身は、株価上昇期待をもち、米国株の成長株を投資対象としています。なお、リスク許容度が低い場合にはフルインベストメントにはしないほうがよいかもしれません。

>> >>【後編】年収400万円未満でも億り人になれる、その極意とは

※本インタビューは2024年6月28日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。