今週(8月9日~8月15日)の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):売買材料が交錯する中で乱高下

ビットコインは売り買いの材料が交錯する中で乱高下する展開となった。

8月8日に発表された米国の新規失業保険申請件数が大幅減少し、7月の米雇用統計の鈍化によって広がったリセッションリスクが後退した。これを受け、ビットコインは株式とともに上昇し、一気にBTC=915万円(62,000ドル)付近まで値を伸ばした。

その後、ビットコインはもみ合う展開となったが、8月11日にイランがイスラエルへの報復攻撃を行うとの声明を発表し、両国間の軍事的緊張が高まったことで、BTC=856万円(58,000ドル)付近まで下落した。欧米5ヶ国がイランの自制を求める共同声明を発表し、対立の鎮静化に向けた動きは見られたが、イランがこれを拒絶したため、相場は不安定な状況が続いた。

さらに、ゴールドマン・サックス[GS]が大量のビットコイン現物ETFを保有していることが明らかになったことや、大手マイニング会社マラソン・デジタル・ホールディングス[MARA]がビットコインの追加購入に動いたことを受け、BTC=900万円(61,000ドル)付近まで上昇した。しかし、7月の米消費者物価指数を受けて米国金利が急騰し、金が急落する中でビットコインも下落。加えて米国政府関連アドレスによる売り圧力も懸念され、再びBTC=856万円(58,000ドル)付近まで下落した。

 

来週(8月16日~8月22日)の相場予想

BTC(ビットコイン)は底堅い展開を予想、ジャクソンホール会議と中東情勢に左右されるか

いよいよ来週、各国の中央銀行総裁らが集うジャクソンホール会議が開催される。特にパウエルFRB議長による講演では、米国経済の見通しや、それを踏まえた利下げ方針についての言及が注目される。9月のFOMCを前に無難な発言が予想されるが、金融政策の方針が変わらず、景気後退の可能性が言及された場合には、売り圧力が強まる恐れがあるだろう。一方で、大幅な利下げの可能性を残し、予想以上にハト派寄りの内容となった場合には、リスク資産への買いが強まり、ビットコインも上昇基調を取り戻すことが考えられる。

また、イランがいつイスラエルへの報復攻撃を始めるのか、世界中が注目している。もし大規模な攻撃が行われ、戦争に発展した場合、ビットコインはリスク資産として短期的に下落する可能性が高い。しかし、こうした世界情勢の不安定さの中で金価格が史上最高値を更新していることを踏まえると、ビットコインもデジタルゴールドとしての性質から、一部では買いが入ることが予想される。米国政府関連アドレスによる売りも警戒されているが、相応に底堅い値動きになるだろう。

直近、上値としてBTC=929万円(63,000ドル)、下値としてBTC=811万円(55,000ドル)を意識する。