【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 40,743.33 △203.40 (7/30)
NASDAQ: 17,147.42 ▼222.78 (7/30)
1.概況
米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均は発表された経済指標を受けて米国経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待から反発しましたが、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数はハイテク株が売られたことで3日ぶりに反落となりました。82ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に240ドル高まで上昇した後伸び悩むと昼過ぎにマイナスに転じましたが、10ドル安で下げ渋ると持ち直し取引終盤には326ドル高まで上昇しました。その後引けにかけてやや上げ幅を縮めましたが結局203ドル高の40,743ドルで取引を終えています。一方でS&P500株価指数が27ポイント安の5,436ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も222ポイント安の17,147ポイントとなっています。
2.経済指標等
7月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数は100.3と前月から上昇し市場予想も上回りました。また、6月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数は818万4000件となり市場予想を上回りました。さらに5月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数で20都市圏住宅価格指数は前年同月比6.8%上昇し市場予想を上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が上げ、エネルギーと金融が1%を超える上昇となりました。一方で4業種が下げ、情報技術は2%以上下落しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄ではトラベラーズ[TRV]が目標株価の引き上げを受けて3%高となったほか、ゴールドマン・サックス[GS]とJPモルガン・チェース[JPM]も2%以上上げました。一方で業績見通しを引き下げたメルク[MRK]が10%近く下落し、決算で売上高が市場予想を下回ったプロクター・アンド・ギャンブル[PG]も5%近く下げています。また、取引終了後に決算を発表したマイクロソフト[MSFT]はクラウドサービス「アジュール」の伸びが市場予想に届かなかったことから時間外取引で大幅安となっています。ダウ平均構成銘柄以外では半導体関連株の下げが目立ち、半導体株ではエヌビディア[NVDA]が7%安となり、クアルコム[QCOM]も6%以上下げました。マイクロン・テクノロジー[MU]とウエスタン・デジタル[WDC]も5%近く下落し、ブロードコム[AVGO]も4%以上下げています。半導体製造装置株ではアプライド・マテリアルズ[AMAT]とラム・リサーチ[LRCX]が4%を上回る下落となり、KLA[KLAC]も2%以上下げています。英半導体設計大手のアーム・ホールディングス[ARM]も6%近く下落しました。さらに主力ハイテク株ではテスラ[TSLA]が4%余り下げています。
5.為替・金利等
長期金利は0.03%低い4.14%となりました。ドル円は日銀が金融政策決定会合で追加利上げを検討すると伝わったことで円高が進み152円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米ハイテク株安と円高を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の38,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。また、本日は昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。6月会合で決めた国債買い入れの減額に関する具体策に加えて、追加利上げに踏み切るかが焦点となりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)