アルファベット[GOOGL]とテスラ[TSLA]の決算は投資家の期待に応えられず下落
米国では第2四半期の業績発表が本格化しています。 これまでにS&P500採用銘柄のうち206社が決算発表を終えており、今週は138社が発表する予定です。また、発表済みの企業のうち78%の企業が予想EPSを上回っていますが、これは過去5年平均の77%、10年平均の74%を上回っています。
先週投資家が最も注目したのはアルファベット[GOOGL]とテスラ[TSLA]の決算発表でしょう。 市場の予想を下回った2社の決算発表を受け、7月25日のマグニフィセント7(※)の下げは2022年9月以来の大幅な下落となりました。アルファベットの決算発表については、 売上もEPSも市場予想を上回ったのですが、投資家の期待には応えられず株価は翌日1日で5%下落しました。検索事業や、クラウド事業は予想を上回ったものの、YouTube広告が予想を下回った他、AI関連の設備投資の莫大な増え方に対し懸念を示したようです。ただ、今回の決算発表後もウォール街のアナリスト達はアルファベットに対する強気のスタンスを変えていません。
テスラについては、売上は市場の予想を上回ったものの、EPSと粗利益率が予想を下回り、発表の翌日には同社の株価は1日で12%下落しました。同業他社が値下げを行なっているなか、同社としても値下げで対抗せざるを得なかったのです。同社が今後低コストモデルの生産を開始するまでは、利益率の改善は難しいとみていた方が良いでしょう。今後新型モデルが価格的にも機能的にも消費者にとって魅力的なものとなるかが売上増のポイントとなりそうです。
2024年に入ってからのテスラ株のリターンは、マグニフィセント7の中で唯一マイナスでした。しかし、8月8日に発表するとされていた「ロボタクシー」の説明会に対する期待感もあり、2024年4月22日の安値から7月19日の高値までほぼ7割も株価が上がっていました。そうした意味でも株価は下げやすい環境にありました。また、決算発表前にロボタクシーの説明会が10月10日まで延期と発表されたこともあり、市場の目先の注目が決算発表へシフトしたことも決算への期待感を高めたものと考えられます。
今週は決算発表で市場が注目する決算発表としてはマグニフィセント7銘柄のマイクロソフト[MSFT]が7月30日、メタ・プラットフォームズ[META]が7月31日、アップル[AAPL]とアマゾン・ドットコム[AMZN]は8月1日それぞれ現地時間の引け後に予定されています。
米国株市場は裾野が広がる、中小型株を含む広範な業種で株価上昇の流れが継続中
先週市場で注目されていたマグニフィセント7銘柄のアルファベットとテスラがともに市場の期待ほどではなく、市場全体を押し下げる結果となりました。一方で対照的な動きを示したのはマグニフィセント7以外の銘柄です。7月17日のコラムで「7月11日(木)に発表されたCPIが予想を下回ったことで、9月の利下げの可能性が高まり、これまで市場の上昇を牽引してきたマグニフィセント7銘柄は一休み、一方、これまで相対的にパフォーマンスが良くなかった中小型株が上昇し始めた」とコメントしました。現在もその流れが継続中です。
7月11日から先週末まででマグニフィセント7の7銘柄(時価総額加重平均)が7.7%下落するなか、S&P500は2.3%下落しました。一方、同じS&P500でも均等指数であるS&P500イコール指数(均等加重平均)は1.6%上昇しているのです。実際、S&P500の11のセクターのうちの8つのセクターはこの間上昇しました。また、小型株指数のラッセル2000についても、同期間6.4%上昇しています。つまり、市場では裾野が広がる中、広範な業種で株価が上昇し始めているということです。このようなトレンドは続くなかでも、マグニフィセント7がここからも大きく下落を続ける可能性は低いと考えており、小型株とのローテーションをこなしながらも上昇は継続するだろうと考えています。
(※)アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]