モトリーフール米国本社、 2024年7月7日投稿記事より
流行は追わないが、AIの恩恵も
ウォーレン・バフェット氏は1965年から、持ち株会社バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のCEOを務めています。同氏は、着実に成長し、収益性が安定していて、経営陣が力強く、配当や自社株買いといった方針を取る企業に投資することを好んでいます。
この戦略は成功しています。バークシャー・ハサウェイの株価は、1965年から2023年の間に438万4748%上昇しています。年率リターンは19.8%であり、同期間のS&P500種指数の年率リターン10.2%の約2倍です。金額で見ると、1965年にバークシャー・ハサウェイ株に1,000ドル投資していたら、今頃は4300万ドルを超えていたことになります。同様に、S&P500種指数に同じ金額を投資していたら、配当を再投資しても31万2333ドルにとどまります。
バフェット氏は最新トレンドを追いかけるタイプの投資家ではないため、今話題の人工知能(AI)株を大量に保有しているとは思われないかもしれません。しかし、バークシャー・ハサウェイが保有する3銘柄は、AIから多大な恩恵を受けることが予想され、3987億ドルに上る上場株式ポートフォリオの45%超を占めています。
スノーフレーク[SNOW]はデータクラウドに強み
データクラウドのスペシャリストであるスノーフレーク[SNOW]が開発した「Data Cloud」は、企業が重要データを1つのプラットフォームに集約し、効果的に分析して最大限の価値を引き出すことをサポートします。このサービスは、マイクロソフト[MSFT]のアジュールやアルファベット[GOOGL]のグーグル・クラウドといった、複数のクラウドプロバイダーを利用し、そのために縦割り構造によるデータのサイロ化が生じているような、大規模で複雑な企業向けに設計されています。
スノーフレークは2023年に、企業が既製の大規模言語モデルと各社独自のデータを組み合わせて生成AIアプリケーションを作成することができる、Cortex AIプラットフォームを発表しました。Cortexには、請求書や契約書といった非構造化データから重要な情報を抽出するのを支援する「Document AI」などの、一連のAIツールが付属しているほか、Snowflake Copilotバーチャルアシスタントはプラットフォーム全体で、自然言語を用いてプロンプトを表示します。
2025年度第1四半期(2024年2~4月期)の製品売上高は、前年同期比34%増の7億8960万ドルでした。ただ、数四半期前から成長率は減速傾向にあります。スノーフレークはマーケティングや研究開発といった、成長に向けた取り組みに多額の投資を続けていますが、新規顧客の獲得は鈍化しており、既存顧客からの売上も以前ほど伸びていません。
バークシャー・ハサウェイは、2020年にスノーフレークが新規株式公開(IPO)した頃に投資したため、購入価格はおそらく1株120ドル前後だったと思われます。その後、株価は2021年に一時392ドルまで上昇しましたが、そこから63%下落して、現在は142ドルとなっています。
AWSで攻勢 アマゾン・ドットコム[AMZN]
バークシャー・ハサウェイがアマゾン・ドットコム[AMZN]の株式を初めて購入したのは2019年で、バフェット氏はたびたび、もっと早くアマゾン株の魅力に気づくべきだったと後悔しています。アマゾン・ドットコムはeコマース企業として設立されましたが、今ではクラウドコンピューティング、ストリーミング、デジタル広告、そしてここにきてAIと、事業を拡大しています。
クラウド部門のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、データセンター向け半導体を自社で設計しているため、AI開発者は、エヌビディア[NVDA]製半導体を搭載した他社のインフラと比較して半分近い価格で利用することができます。さらに、Amazon Bedrockプラットフォームは、アマゾン・ドットコムが自社で構築したTitanと呼ばれる大規模言語モデル・シリーズに加え、業界をリードするスタートアップ企業が開発した既製の大規模言語モデルのライブラリーを開発者に提供します。AWSは開発者が独自のAIアプリケーションを開発する際に必ず利用する主力サービスとなることを目指しています。
バークシャー・ハサウェイは20億ドル相当のアマゾン株を保有していますが、ポートフォリオ全体に占める割合は0.5%です。
アップル[AAPL]はデバイス利用層の厚さが強み
アップル[AAPL]は現在、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中で最大のポジションを占めています。バークシャー・ハサウェイは2016年からこれまでに、合計で約380億ドルを投じてアップル株を買い続け、2024年初めに税金を理由に持分の13%を売却しましたが、現時点の保有価値は1776億ドルとなっています。アップルは、iPhone、iPad、Apple Watch、AirPods、Macなど、世界でも高い人気を誇る各種デバイスのメーカーです。
同社は、新型ソフトウェア「Apple Intelligence」でAIの世界に参入しようとしており、2024年9月に、オペレーティングシステムのiOS 18と同時にリリースする予定です。Apple IntelligenceはオープンAIとの提携によって開発され、各デバイスのユーザーエクスペリエンスを一変させるとみられています。音声アシスタントのSiriや、「メモ」、メール、iMessageといったテキスト作成ツールは、ChatGPTの機能を活用し、ユーザーはコンテンツを素早く作成できるようになります。
アップル製品で実際に使用されているアクティブデバイスは全世界で22億台を超えています。つまり、同社は間もなく、消費者にAIを提供する世界最大の企業となる可能性があります。次世代モデルのiPhone 16は、デバイス上でAIワークロードを処理できる、強力で新しい半導体が搭載される見通しであることから、買い替えサイクルが一気に促進される可能性があります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケット元CEOのJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Anthony Di Pizioは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベット、アマゾン・ドットコム、アップル、バークシャー・ハサウェイ、マイクロソフト、エヌビディア、スノーフレークの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は以下のオプションを推奨しています。マイクロソフトの2026年1月満期の395ドルコールのロング、同2026年1月満期の405ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。